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本編
フルール家からの招待状
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国際会議は1週間続く。
その間、会議に参加しない夫人や、子女たちは、思い思いに観光したり、ほかの王族と結びつきを深めて過ごす。
夫人たちの接待は、お妃さまがやっているので、俺が特に何をすることもなく。
大分お話が上手になったアリスと、オフを楽しんでいた。
最近は、モンスターも暴れないし、事件もないし。
俺の部隊は暇なものだ。
モンスターが暴れないのは、メガンテの病気が治って、瘴気を垂れ流すことがなくなったことも影響しているんじゃないか?とアイスが言っていた。
メガンテは、ハロルド山にオーロラと帰って、仲睦まじく暮らしているようだから、
もう二度とモンスターが暴れることはないのかも。
そのうち、二匹に可愛い赤ちゃんが生まれることだろう。
「アリス。これなにかなぁ?」
「わんわ!」
「これは?」
「おはな!」
「これはぁ?」
「ママ! ママすきっ。」
カードを使って、言葉を教えている。
アリスは物覚えがいい。
「おおじじはぁ?」
「おおじじ好き!」
「じーじは?」
「好き!」
「コルママは?」
「スキスキ!」
みんなできゅるーんとなる。
「クリス、家令が。私たちにフルール家から招待状が来てる。」
自室で仕事をしていたアイスが、応接間にやってきた。
「フルールって、会議に来てる王族の?」
「無碍にはできないからな。支度をしてくれないか。」
支度をして、宿泊している城内のゲストハウスへ向かうと、第一王子のローズがいた。
ピンクブロンドの巻き毛に、緑色の目。
年齢は、実家の兄より少し上くらいに見える。
「私服も素敵ですね。」
俺は公爵夫人だけど女じゃないのに、俺の手をとってキスをする。
こなれてるなあ、こいつ。
通された応接間で、ワインと特産品のチーズ、チーズを使ったケーキが出てきた。
「実はですね…。うちの陛下から、末の妹に、キリス様と結婚してはどうかと話がありまして。」
やっぱり!
「ご存じの通り、うちは鉱物資源に乏しいですからね。輸入で頼っている状況なので。懇意にしたいというのもあります。ですが、この相談を受けた妹が、お兄様の写真を見てたいそう気に入っておりまして。鉱山見学に今日、伺っておりますが、実際にお会いして、好きになったら、プロポーズをしたいと。そう、申しておりまして。」
「つまり、俺にとりもてと、兄の背中を押してくれと、そういうことでしょうか。」
「そうしていただけると助かりますが、別にどちらでも構いません。」
「ここまでは、父のお使いです。伝えはしましたので、これで私の役目は終わり。」
実は、単に仲良くなりたいと思ったのです。
そう言って笑う王子は気さくで、人好きのする男だった。
・・・・・・・30分後
「えぇ!それでは、公爵が一目ぼれをして?」
「…そうなんだ、あの時クリスはまだ19歳で。何も知らない清らかな躰だった。私はどうしても欲しくて、酒に薬を混ぜて寝たところを拘束して無理やり…。」
「ああ、拘束しないと腕っぷしで勝てないからですね!」
やめてぇ!酒を飲みながらやめてぇ!!
「それで、寝ている間に結婚を成立させてな。今ではラブラブだ!」
がくっとアイスは寝てしまった。
「うまくやりましたねぇ。クリス様、本当にこんな人でよかったんですか?ほかにもっといい人がいたかも。
たとえば、私とか…。」
寝ているアイスの傍で、俺の手をとる。
ああ、こいつ。
パーティで見て、俺に?
「…冗談はやめてください。俺は子持ちの人妻ですよ。」
腰に手が触れる。のを、手で止める。
「パーティでのあなたの語学力。社交術。あれは見事だった。あなたは、王妃の器だ。」
「斥候で培ったスキルだよ。あれが王妃の器だというなら、自分の国で似たような仕事をしているやつから選べば?」
「強姦された人って、そのショックで、自分は相手のことを好きだと思い込んでしまう人もいるみたいですよ。」
本当に、あなたはその人のことが好きなんでしょうか?
「…好きに決まってるだろ。」
俺は、アイスを起こして家に帰った。
家に帰ると、キャサリンが遊びに来ていた。
身の回りの荷物を持って。
その間、会議に参加しない夫人や、子女たちは、思い思いに観光したり、ほかの王族と結びつきを深めて過ごす。
夫人たちの接待は、お妃さまがやっているので、俺が特に何をすることもなく。
大分お話が上手になったアリスと、オフを楽しんでいた。
最近は、モンスターも暴れないし、事件もないし。
俺の部隊は暇なものだ。
モンスターが暴れないのは、メガンテの病気が治って、瘴気を垂れ流すことがなくなったことも影響しているんじゃないか?とアイスが言っていた。
メガンテは、ハロルド山にオーロラと帰って、仲睦まじく暮らしているようだから、
もう二度とモンスターが暴れることはないのかも。
そのうち、二匹に可愛い赤ちゃんが生まれることだろう。
「アリス。これなにかなぁ?」
「わんわ!」
「これは?」
「おはな!」
「これはぁ?」
「ママ! ママすきっ。」
カードを使って、言葉を教えている。
アリスは物覚えがいい。
「おおじじはぁ?」
「おおじじ好き!」
「じーじは?」
「好き!」
「コルママは?」
「スキスキ!」
みんなできゅるーんとなる。
「クリス、家令が。私たちにフルール家から招待状が来てる。」
自室で仕事をしていたアイスが、応接間にやってきた。
「フルールって、会議に来てる王族の?」
「無碍にはできないからな。支度をしてくれないか。」
支度をして、宿泊している城内のゲストハウスへ向かうと、第一王子のローズがいた。
ピンクブロンドの巻き毛に、緑色の目。
年齢は、実家の兄より少し上くらいに見える。
「私服も素敵ですね。」
俺は公爵夫人だけど女じゃないのに、俺の手をとってキスをする。
こなれてるなあ、こいつ。
通された応接間で、ワインと特産品のチーズ、チーズを使ったケーキが出てきた。
「実はですね…。うちの陛下から、末の妹に、キリス様と結婚してはどうかと話がありまして。」
やっぱり!
「ご存じの通り、うちは鉱物資源に乏しいですからね。輸入で頼っている状況なので。懇意にしたいというのもあります。ですが、この相談を受けた妹が、お兄様の写真を見てたいそう気に入っておりまして。鉱山見学に今日、伺っておりますが、実際にお会いして、好きになったら、プロポーズをしたいと。そう、申しておりまして。」
「つまり、俺にとりもてと、兄の背中を押してくれと、そういうことでしょうか。」
「そうしていただけると助かりますが、別にどちらでも構いません。」
「ここまでは、父のお使いです。伝えはしましたので、これで私の役目は終わり。」
実は、単に仲良くなりたいと思ったのです。
そう言って笑う王子は気さくで、人好きのする男だった。
・・・・・・・30分後
「えぇ!それでは、公爵が一目ぼれをして?」
「…そうなんだ、あの時クリスはまだ19歳で。何も知らない清らかな躰だった。私はどうしても欲しくて、酒に薬を混ぜて寝たところを拘束して無理やり…。」
「ああ、拘束しないと腕っぷしで勝てないからですね!」
やめてぇ!酒を飲みながらやめてぇ!!
「それで、寝ている間に結婚を成立させてな。今ではラブラブだ!」
がくっとアイスは寝てしまった。
「うまくやりましたねぇ。クリス様、本当にこんな人でよかったんですか?ほかにもっといい人がいたかも。
たとえば、私とか…。」
寝ているアイスの傍で、俺の手をとる。
ああ、こいつ。
パーティで見て、俺に?
「…冗談はやめてください。俺は子持ちの人妻ですよ。」
腰に手が触れる。のを、手で止める。
「パーティでのあなたの語学力。社交術。あれは見事だった。あなたは、王妃の器だ。」
「斥候で培ったスキルだよ。あれが王妃の器だというなら、自分の国で似たような仕事をしているやつから選べば?」
「強姦された人って、そのショックで、自分は相手のことを好きだと思い込んでしまう人もいるみたいですよ。」
本当に、あなたはその人のことが好きなんでしょうか?
「…好きに決まってるだろ。」
俺は、アイスを起こして家に帰った。
家に帰ると、キャサリンが遊びに来ていた。
身の回りの荷物を持って。
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