【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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本編

体はこの手を覚えてる

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「初めて会った時、私は父親に殺されるところだったんだ。縛られた状態で、ここで、ワイバーンを仕掛けられて。」

屋敷の広い庭の、小高い丘で、木々が繁り、領地が見渡せる場所。
そこに公爵に連れ出された。


「クリスはミカエルたちと、父が雇った冒険者の体で現れて、私を救ってくれた。」

その、右側の額の生え際の傷は、私をそのときワイバーンから庇ってできた傷なんだよ。


そう言って、傷痕をいとおしそうに撫でる公爵の瞳が優しい。



俺は、本当にこの人に愛されてたんだな。



この人は、父親に裏切られて。
父親が捨てたすべてを守ろうとして。
母親と二人、必死に生きてきた人。

初め、俺はこの人にどんな感情を持ってたんだろうか。



きっと、嫌いじゃない。

俺も割と寂しい思いをして育ったから、どっか共感するものがあったと思うし、
友情くらいはあったのかもしれない。


「戦うクリスがダンスをしてるみたいに綺麗だなって、一目ぼれをしたんだ。今まで、釣書が来ても、だれが来ても、心動かされることがなかったのに。絶対にクリスを自分のものにしたいって思って。」


「それで?」


「お礼をしたいって酒に誘って、薬混ぜて酔わせて寝かせて、ミカエルたちは返して、無理やり。先に陛下に根回しして、結婚成立させて逃げられなくして。」

「やばい奴だな、お前。」


呆れる。俺、怒っただろうなぁ。
でも、こいつの性格でそこまでやるくらい好意を寄せられたら、悪い気はしなかっただろう。


「…どんなふうにしたの?教えて?」






俺にとっては今更なのだろうからと、ベッドルームにつくなりシュルシュルと服を脱いで、公爵のシャツのボタンも外してやった。

公爵は驚いてたけど。

なんだ、俺そのくらいしなかったのか。どんだけ受け身だったんだ。

公爵の体は俺よりずっと大きい。

上背もあって体格も悪くない。

意外と締まった体だな、と思いながら腹筋に触れたら、公爵に微笑まれた。


公爵は俺をベッドに寝かせると、どこからかジャラジャラ鎖を持ってきて、手首と足首全部にはめて、ベッドに固定した。

「なんでそんなのが、家にあるんだ。」

「…父親が浮気相手を家に連れ込んだ時に使ったらしくて。」


公爵が俺に覆いかぶさるようにして、キスを落としていく。

「…ん。」

舌が絡まるようなキスをされて、息苦しい。

その間には、くちゅくちゅと、俺の後ろを指で解している。

「…あ、 ああっ…。」


ああ、俺はこの指を覚えている。

この手を覚えている。





記憶がなくても、体が覚えてる。


俺の心は?


分からない。だけど、この人に抱かれたい。

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