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本編

俺はアイスを愛してる

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無我夢中で雨の中、走って行くと。

スライム達も追いかけてきた。 

みんな、アイスが心配なんだよな。


山道を駆け抜けてショートカットで行く。

これなら馬車より早くつく。




大きな落石。

木々は倒れ、土砂が覆いかぶさる様に。

公爵家の馬車はぺしゃんこで。

御者は大怪我をして、運ばれていた。





「アイスは…?」





ずぶぬれで駆けつけた俺を見て、現場を指揮していたキャンディスが走ってきた。


「部隊長…! それが…。」




キャンディスは何も言わない。





…うそ、だろ?



嫌だ、あたまが、われるようにいたい…。

うずくまって、吐き戻して。

痛みがサイレンのように駆け巡って過ぎたとき。ぱっと開ける様にーーーーーーーー。





「アイスのバカ! 一人にしないって約束しただろ! アリスがいるからいいとかじゃないんだぞ!」


俺は、えづいたものを拭い去りながら、雨の中立ち上がり、叫ぶ。





ぜんぶ、全部。やっと思い出した。

ハロウィンとかクリスマスとか、お前と過ごした毎日が楽しかった。

お前と結婚したのをきっかけに、俺は家族に愛されていたことを知った。

家族がつながって、うれしくて。

お前を幸せにしたいって思ったんだ。

アリスができて、3人になって。

もっといっぱい、いっぱい楽しい思い出を作りたいんだ。

俺を大切にするって言ったのに。





「ばかっ! 俺だってもう、お前のこと。同じくらい愛してるんだぞ!!!!!!」












「ーーーーーーうれしい。」




「へ??」





ひょっこり、神獣・オーロラの背に乗って、クリスが降りてくる。



「あの、部隊長。公爵はすんでのところで神獣を呼んで脱出してですね…。土砂崩れがひどくならないように、応急処置を上の方でしてくれてたんですよ…。」


すみません、なんか、言い出しにくい雰囲気だったので…。

キャンディスが謝る。



俺の顔はたぶん、真っ赤になっている。


でもーーーーー



「アイス!」

「クリス!」


雨の中、駆け寄って抱き合う。


「俺、記憶戻ったよ…!」

「うん、よかった。」


抱き合いながら、アイスが俺にキスをしようとする。

「やめて、アイス。俺、さっき吐いたから…、きたな…


んっ…。



深い、深いキス。
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