143 / 415
新章 溺愛編
久しぶりに騎士団へ
しおりを挟む
なんだかんだと、もうすぐ出産の時期が来た。
公爵家の馬車に揺られ、久しぶりに騎士団へ行く。
5歳になったアリスは、俺のボディーガードのつもりみたい。
剣を腰に構えて、周囲に気を配っている。
本当に大きくなったなぁ。
でももう少し、ゆっくり成長してもよかったのに。
こんなに早く、大人にしてしまって申し訳ないと思う。
思えばアリスには、赤ちゃんの頃からいろいろあった。
攫われて、殺されそうになったり。
発語が早かったのは、元々頭もよかったんだろうけど、あんな幼い時に、事件に巻き込まれたせいだと思ってる。
アリスは頭もいいけど、俺から見ても剣の才能がある。
まだ子どもだから力はあまりないけど、きっと大きくなったら、俺というよりお祖父様に近いタイプの剣士になるんじゃないかな。
キッと馬車の車輪が止まる音がし、アリスのエスコートで馬車を降りた。
「副団長!」
「クリス!」
俺が顔を出すと、訓練中の若い騎士や、ミカエルとハデスが集まってきた。
「もう少しで出産だから、その前に一度顔を出そうと思って。」
はい、と家でまとめた書類仕事を手渡す。
「本当に、クリスが妊娠してるのねぇ…。」
ミカエルが、俺の膨れた腹をなでる。
「ミカエルとハデスの子の1つ下になるのかな? 可愛がってくれると嬉しいな。」
ミカエルとハデスの子は、ハデスに似た女の子だった。ハデスはかわいそう!と言ってたけど、ハデスのお姉さまだって綺麗な方なのだから、そこまで悲観するものではないと思う。
「きっとおもちゃにするわよ~。女の子はお人形遊びが好きなんだから。」
「それはそうと、いつもみんなに助けてもらって。ありがとう。今日はそれが言いたくて。」
そういうと、女性士官の人が集まってきた。
「いいんですよ! 副団長が妊娠育児出産をこなしているから、私たちもいざという時休暇が取りやすいんです!」
「そうそう、副団長は私たちのために切り拓いてくれる先駆者なんです!在宅勤務もできるようになりましたし、女性でも出世できるって…!」
そっか。迷惑かけてるなーって思ってたけど、みんなのためにもなってるんだったら嬉しい。
「そういえば、具体的にいつ出産するの?」
「今週末かな。だから、3日後。男だから帝王切開になるんだ。だから、陣痛が来る前に出さないとって。」
「そうなの、それならよかったわ。」
「なんで?」
「明日あたり、嵐が来そうなのよ。嵐の時に産むってなんかいやじゃない?」
「確かになぁ。縁起が悪そうだよな。」
騎士団の庭では、アリスが部下から剣の手ほどきを受けて、褒められてる。
「俺も少し、動いていこうかな。」
「やめときなさいよ、妊婦でしょう。」
「もう産み月なんだから、少しくらい平気だよ。」
まぜて~~~~~~~!
そういうと、アリスにめっちゃ叱られた。
えー、いいじゃん。ちょっとくらい。
公爵家の馬車に揺られ、久しぶりに騎士団へ行く。
5歳になったアリスは、俺のボディーガードのつもりみたい。
剣を腰に構えて、周囲に気を配っている。
本当に大きくなったなぁ。
でももう少し、ゆっくり成長してもよかったのに。
こんなに早く、大人にしてしまって申し訳ないと思う。
思えばアリスには、赤ちゃんの頃からいろいろあった。
攫われて、殺されそうになったり。
発語が早かったのは、元々頭もよかったんだろうけど、あんな幼い時に、事件に巻き込まれたせいだと思ってる。
アリスは頭もいいけど、俺から見ても剣の才能がある。
まだ子どもだから力はあまりないけど、きっと大きくなったら、俺というよりお祖父様に近いタイプの剣士になるんじゃないかな。
キッと馬車の車輪が止まる音がし、アリスのエスコートで馬車を降りた。
「副団長!」
「クリス!」
俺が顔を出すと、訓練中の若い騎士や、ミカエルとハデスが集まってきた。
「もう少しで出産だから、その前に一度顔を出そうと思って。」
はい、と家でまとめた書類仕事を手渡す。
「本当に、クリスが妊娠してるのねぇ…。」
ミカエルが、俺の膨れた腹をなでる。
「ミカエルとハデスの子の1つ下になるのかな? 可愛がってくれると嬉しいな。」
ミカエルとハデスの子は、ハデスに似た女の子だった。ハデスはかわいそう!と言ってたけど、ハデスのお姉さまだって綺麗な方なのだから、そこまで悲観するものではないと思う。
「きっとおもちゃにするわよ~。女の子はお人形遊びが好きなんだから。」
「それはそうと、いつもみんなに助けてもらって。ありがとう。今日はそれが言いたくて。」
そういうと、女性士官の人が集まってきた。
「いいんですよ! 副団長が妊娠育児出産をこなしているから、私たちもいざという時休暇が取りやすいんです!」
「そうそう、副団長は私たちのために切り拓いてくれる先駆者なんです!在宅勤務もできるようになりましたし、女性でも出世できるって…!」
そっか。迷惑かけてるなーって思ってたけど、みんなのためにもなってるんだったら嬉しい。
「そういえば、具体的にいつ出産するの?」
「今週末かな。だから、3日後。男だから帝王切開になるんだ。だから、陣痛が来る前に出さないとって。」
「そうなの、それならよかったわ。」
「なんで?」
「明日あたり、嵐が来そうなのよ。嵐の時に産むってなんかいやじゃない?」
「確かになぁ。縁起が悪そうだよな。」
騎士団の庭では、アリスが部下から剣の手ほどきを受けて、褒められてる。
「俺も少し、動いていこうかな。」
「やめときなさいよ、妊婦でしょう。」
「もう産み月なんだから、少しくらい平気だよ。」
まぜて~~~~~~~!
そういうと、アリスにめっちゃ叱られた。
えー、いいじゃん。ちょっとくらい。
0
あなたにおすすめの小説
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる