【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

文字の大きさ
193 / 415
新章 溺愛編

毒の出処

しおりを挟む
事件の後、アンジュも思うところがあったらしい。


実母に付き添われ、マシューのところへ定期的に不妊治療に通っている。

その他、陛下に夫婦二人、意識的に児童養護施設等の慰問をまわされ、欠けている母性を育む教育が始まっていた。


娘を甘やかしている騎士団長や、惚れた弱みで妻を甘やかす王太子は、陛下とミレニアにこっぴどく叱られた。
あまりにもひどく叱るものだから、私の出番はないわと静観しているように見える王妃も、実は酷く怒っているので、息子夫婦を突き放している。


私がもう一人、男の子を産んでいれば。
産めたらいいのだけど。
もう一人男児がいるのなら、デイビッドをただの王子にしたいくらいだったが、残念ながら、不妊治療をしたり、今から子を持つには、年齢的にもう若くはない。
息子夫婦に何としてでも、変わってもらいたいと願っていた。





「そういえば、お母さま。侍女はどこから毒を入手したのでしょう。」

個室で待っている間、アンジュは母親相手に疑問を口にした。


「それはそうなのよね。あの子、そこまで行動範囲は広くないはずなのよ。普通の子よ。毒にも詳しくなかったはずだわ。」

元はと言えば、王家にも落ち度がある。

かといって、あの侍女は心を病みすぎていて、修道院行きも難しく、城の牢の中でまずは治療を受けている。
実家からは、縁を切られたらしい…。
状態さえよくなれば、王家で面倒をみたいと思っている。
もう、結婚も難しいだろうが、何か生きがいになるものを。手に職をつけてあげたい。





ガラッと扉が開く。

ブロンドで碧眼の、美しい女性と別れ、マシューが入って来た。


「あら、あの方。フルールのバイオレット様じゃないですか。」


「ええ、そうなんですよ。フルールの依頼で知り合って。…実は、お付き合いをしています。年の差が気にならないくらい、彼女とは話が合うんですよ。」

「年の差婚もいいものですよ。」
10代半ばの学生時代に、当時30代だった騎士団長と付き合い始めたアンジュの母親は、昔を懐かしんだ。


「ふふ、ありがとうございます。そういえば、彼女は職務で世界中を飛び回っているのですが、気になる情報を教えてもらいました。この情報を、国にお持ち帰りいただきたいと思います。」


マシューは、部屋の外に聞こえない声の大きさで、注意深く、ゆっくり話した。




「世界には、戦争に関わり、商売をしてきた闇の商人なる者がおります。1人、2人じゃありません。組織、といいましょうか。そして、公爵家の発明や副団長らの活躍により、もはや世界に戦争はありません。どっかの国で何か困りごとが起きたとしても、対話でどうにかなりますからね。」


「戦争がないということは、闇の商人たちは、商売あがったりってことね。」


「さすがミレニア様。2人目の陛下と呼ばれるだけのことはありますね。」


「お母さま、闇の商人たちは、世界をもう一度、戦争のある状態にしたいと思っているってことなの?」

「おそらく。そうよね?」


「ええ。戦争を引き起こさせようと、あの手この手を使うはずです。例えば、抑止力になっているクリス様を毒殺しようという動きもあるようです。たった今、入手した情報なので、公爵家にもお伝えください。」


ああ。

毒の出処はここか。
きっと、出入りの業者にでも混じって、アイリスに接触したんだわ。
もしかしたら、少しずつ、歪むように洗脳されていっていたのかもしれない。


しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO
BL
 【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!  僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして? ※R対象話には『*』マーク付けます。

【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました! ありがとうございました!! いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い <あらすじ> 魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。 見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。 いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。 ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。 親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。 ※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。 └性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。 その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー? 十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。 転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。 どんでん返しからの甘々ハピエンです。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

処理中です...