【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

文字の大きさ
202 / 415
新章 溺愛編

時は流れて…

しおりを挟む
あれから、何年もたって、俺は35歳になった。



年相応になったと言いたいところだが、まだまだ20代で通用すると言われる。

渋みのあるナイスミドルに憧れる…。



騎士団長が引退し、新しく団長に就任したが、あまりやることは変わっていない。


お祖父様は、アリスに全ての技を伝授し、称号を譲り渡すと、安心したかのように去年亡くなった。


かつて、娘が駆け落ちして寂しい思いをしていたお祖父様は、孫やひ孫に囲まれて幸せそうに、天国へ旅立って行った。







「クリス。」

自室で書類に目を通していると、アイスが後から抱きしめてくる。


もう、何年経っても変わらないんだから。





「アイスはもう、仕事終わったんだ。」


「ああ。新製品も完成したぞ!」



もう47歳なのに、あまり変わらないアイス。


アイスはと衰えたくないらしくて、いろんな研究に手を出している。


マシューさんは共同研究者だ。



「この間は、アンチエイジングの基礎化粧品を作ったとか言ってたよな。んで、その前は育毛剤だっけ?
んで、今度は何を作ったの?」


そのうち不老不死の研究をしそうで怖い。

この間、イデンシガーとかインシヲトクテイシタとか分けわからないことをアリスと話してたし。

あんまり老けないのはいいけど、ずっと死なないのは、それはそれでいやかなあ。


「今度発明したのはですね、奥様も大喜びだと思いますよ?」


「もったいぶって何なのさ。」


「加齢によるアッチの元気をモリモリに治します!」



「……お前は、50前になってもまだそれか。」




本当にいい加減にしてほしい。



「だって、クリスが魅力的だから!」


「お前は何を言ってるんだ。俺だってもうおじさんだぞ。若いころじゃあるまいし。」

華だっていつか枯れるわ。



「そんなことはない。若いころは若いころの、今は今の魅力があるよ。年を重ねて熟成した上質なワインのような色気がある。」


「そんなこと言うのは、お前だけだ。」


「ご存じないのかな?我が国の騎士団長は、男も女も虜にする魔性と、あちこちで言われているんだぞ?」


そんなモテモテなクリスを取られたくないから、必死に若さを保っているのに。




「しーらない。」




椅子の後ろから降りてくる口づけに応えて。


「…んっ。」


自然とベッドに足が行くのは、もういつものこと。











「では、行ってまいります。」

「行ってきます!」

「行ってまいりますわ!」



「お兄さま、いってらしゃい!」

「いいなあ、俺も早くいきたいなあ。」

朝、可愛い妹と弟が見送ってくれる。



僕は15歳になり、レッドキングダム学園に入学した。


婚約者のルージュも同い年で、留学という形をとって我が家から一緒に通っている。

ザオラルは、年齢からするとまだ先なのだけど、神獣の成長は人間と違うらしい。
実は既に成獣なのだと言われ、そういえば身長も伸びて大人っぽくなったと思った。


ザオラルも学園に通いたいというので、こうして3人で学園することになったのだ。




学校の勉強は僕にとって新しい学びはないけれど、それでも友達を作って、世界を広げるのは必要なことだと。
他の人の考え方や、感じ方を知るのも大事なことだと。

そう、お父様とお母様に言われた。


「今朝も、アイスお父様とクリスお母様に会えませんでしたわ。」


「いつまでも仲良しだから仕方ないよ。」


「そうだね、ザオラル。でもそろそろ騎士団に行かないといけないから、お母さまはお父さまにぷりぷり怒りながら、ベッドから跳ね起きると思う。」


いつまでも元気なのはいいことだ。

だけど、あの調子だと、『もうできないと思ってたから油断してたらできちゃった子』が出来てしまう、そんな気がする。



それでも僕はいいけどね。




学園を卒業したら、すぐに結婚しよう。


お父様のように、大好きな奥さんたちを大切にしたい。

そして、二人のようにいつまでも仲良しの夫婦でいたいと思う。







しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました

こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...