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新章(アリスの結婚編)
そのころの騎士団
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くしゅっ。
「どうした?アヴニール、風邪か?熱はないか?無理はするな、屋敷に帰れ。馬車を手配しよう。付き添いは必要か?」
「ぶたいちょ、大丈夫ですよ…。なんか、嫌な胸騒ぎがして。」
普通、噂話でくしゃみするのであって、胸騒ぎでくしゃみはしないんじゃないだろうか。
騎士団で、副団長のミカエルの傍で書類仕事を頑張っている若き斥候部隊長は、見習いの恋人を心配していた。
彼の母親で団長であるクリスが2週間も休みをとってしまったので、騎士団は右往左往である。
まあ、最近は平和だから自分たちで何とか出来ているのであるが。
「俺とお母さまって、双子親子って言われてて、なんかどっかでつながってる感じなんですよ。お母さまが体調崩したり、何かあると、俺も調子悪くなるから。お母さま大丈夫かなあって。」
「向かったのはフルールだったか。友好国の一つだが、昔いざこざも起こした国だな。王女がいる間はよかったが、王女がマシューさんに嫁いだ後は微妙な感じになっているらしい。」
「王様は一緒でしょ?なんでですかね。」
「自分の子の能力を正しく評価できないからそうなったというか。本当は、母親の血筋とか権力とか出生順、性別関係なしに能力のある者を王太子にできればよかったんだろうが。無尽蔵に嫁をとって子どもを作りまくるから、収拾がつかなくなったんだよ。めんどくさいから一番血筋の良く、一番先に生まれた王子を王太子にしたのに、色ボケして廃嫡になるし、同じ素養があるかもって同じ母親からの王子も×。その結果、後継者争いでもめにもめて、いまだに次の継承者が決まらず、仕方なくずっと今の王だが、ついに老いには勝てず…といったところ。」
「うわあ。」
「王女が王になるべきだったんだよ。人気もあったし王の器だった。その点、アリスは適度な数だと思う。妻同士も仲良しだし。あいつみたいに、平等に妻を愛せて、不満がないように扱えるのでなければ、複数妃は持つべきではないと思うね。」
「戦争になるとか思います?」
「戦争になるかは微妙だ。ただ、国内でよくない事件が頻発しているようだし、その収集も出来ていない。そのうちクーデターが起きて、スノーフォレストのように、民主制になるかもしれないな。」
ふーん。
そう、会話していると、とんでもない通信がお父様から部隊長に入った。
『キャッツアイ!』
「どうしたんですか、公爵。ちょうど今、そちらの話を…
『クリスが攫われた!』
「えっ?」
あの団長が?? また、薬でも盛られたのか?
『たまたま、クリスが人身売買犯のターゲットになって、実行犯を逆に捕まえたんだが、これを機に一網打尽したいってことになって。現地の憲兵団と協力して、わざとつかまって、オークション会場で人身売買組織のボスと顧客を捕らえたんだが…。捕り物の最中で姿が消えて。』
「…まったくもう、あの人は…。」
呆れを通り越す。
『私も散々止めた!だが、フルールの憲兵組織が機能していなくて、国家機能がめちゃくちゃで、クリスがどうしても手伝いたいっていうから、すぐ助け出せるように私も会場に控えてはいたんだ!…それで、捕まえた来場客と、招待した数が合わないと、実行犯から証言があって。』
「なるほど。顧客データを送ってもらえますか?」
『お願いしたい。だが、そのデータからも怪しい顧客の情報が消されていた!お前なら、なんとかできるだろう?』
「任せてください。」
データを送ってもらい、ミカエルも見守る中、消されたデータを復旧する。
新しくスノーフォレストが開発したパソコンは、まだ普及していないから、消したデータの復旧ができるなんて、使いこなせている人間しか分からない。
ぱちぱち、と流れるような指さばき。真剣なまなざしで画面を見つめるキャッツアイに、アヴニールはほれぼれする。
「出ました!」
「…これはっ!」
ミカエルがはっとなる。
ーーーーーローザ=フルール。
以前、クリスに横恋慕してストーカーになり、クリスの記憶を消してフルールに連れ帰ろうとした男。
フルールに強制送還後は、廃嫡後幽閉され、果てはクリスのドッペルゲンガー相手に腹上死した元第一王子、ローズ=フルールの弟。
母親を同じくする、ローズに瓜二つの弟王子の名前がそこにあった。
「フルールの斥候部隊を回せ!公爵と合流、ローザ=フルールの屋敷、ねぐら、すべて洗い、一刻も早く団長を救出!」
ミカエルが、全部署へ通達する。
『ローザ=フルールだな!分かった!!』
「お母さま…!」
無事を願うアヴニールの肩を、キャッツアイが抱いた。
本当にもう、団長は今度こそ懲りてもらいたい。
「どうした?アヴニール、風邪か?熱はないか?無理はするな、屋敷に帰れ。馬車を手配しよう。付き添いは必要か?」
「ぶたいちょ、大丈夫ですよ…。なんか、嫌な胸騒ぎがして。」
普通、噂話でくしゃみするのであって、胸騒ぎでくしゃみはしないんじゃないだろうか。
騎士団で、副団長のミカエルの傍で書類仕事を頑張っている若き斥候部隊長は、見習いの恋人を心配していた。
彼の母親で団長であるクリスが2週間も休みをとってしまったので、騎士団は右往左往である。
まあ、最近は平和だから自分たちで何とか出来ているのであるが。
「俺とお母さまって、双子親子って言われてて、なんかどっかでつながってる感じなんですよ。お母さまが体調崩したり、何かあると、俺も調子悪くなるから。お母さま大丈夫かなあって。」
「向かったのはフルールだったか。友好国の一つだが、昔いざこざも起こした国だな。王女がいる間はよかったが、王女がマシューさんに嫁いだ後は微妙な感じになっているらしい。」
「王様は一緒でしょ?なんでですかね。」
「自分の子の能力を正しく評価できないからそうなったというか。本当は、母親の血筋とか権力とか出生順、性別関係なしに能力のある者を王太子にできればよかったんだろうが。無尽蔵に嫁をとって子どもを作りまくるから、収拾がつかなくなったんだよ。めんどくさいから一番血筋の良く、一番先に生まれた王子を王太子にしたのに、色ボケして廃嫡になるし、同じ素養があるかもって同じ母親からの王子も×。その結果、後継者争いでもめにもめて、いまだに次の継承者が決まらず、仕方なくずっと今の王だが、ついに老いには勝てず…といったところ。」
「うわあ。」
「王女が王になるべきだったんだよ。人気もあったし王の器だった。その点、アリスは適度な数だと思う。妻同士も仲良しだし。あいつみたいに、平等に妻を愛せて、不満がないように扱えるのでなければ、複数妃は持つべきではないと思うね。」
「戦争になるとか思います?」
「戦争になるかは微妙だ。ただ、国内でよくない事件が頻発しているようだし、その収集も出来ていない。そのうちクーデターが起きて、スノーフォレストのように、民主制になるかもしれないな。」
ふーん。
そう、会話していると、とんでもない通信がお父様から部隊長に入った。
『キャッツアイ!』
「どうしたんですか、公爵。ちょうど今、そちらの話を…
『クリスが攫われた!』
「えっ?」
あの団長が?? また、薬でも盛られたのか?
『たまたま、クリスが人身売買犯のターゲットになって、実行犯を逆に捕まえたんだが、これを機に一網打尽したいってことになって。現地の憲兵団と協力して、わざとつかまって、オークション会場で人身売買組織のボスと顧客を捕らえたんだが…。捕り物の最中で姿が消えて。』
「…まったくもう、あの人は…。」
呆れを通り越す。
『私も散々止めた!だが、フルールの憲兵組織が機能していなくて、国家機能がめちゃくちゃで、クリスがどうしても手伝いたいっていうから、すぐ助け出せるように私も会場に控えてはいたんだ!…それで、捕まえた来場客と、招待した数が合わないと、実行犯から証言があって。』
「なるほど。顧客データを送ってもらえますか?」
『お願いしたい。だが、そのデータからも怪しい顧客の情報が消されていた!お前なら、なんとかできるだろう?』
「任せてください。」
データを送ってもらい、ミカエルも見守る中、消されたデータを復旧する。
新しくスノーフォレストが開発したパソコンは、まだ普及していないから、消したデータの復旧ができるなんて、使いこなせている人間しか分からない。
ぱちぱち、と流れるような指さばき。真剣なまなざしで画面を見つめるキャッツアイに、アヴニールはほれぼれする。
「出ました!」
「…これはっ!」
ミカエルがはっとなる。
ーーーーーローザ=フルール。
以前、クリスに横恋慕してストーカーになり、クリスの記憶を消してフルールに連れ帰ろうとした男。
フルールに強制送還後は、廃嫡後幽閉され、果てはクリスのドッペルゲンガー相手に腹上死した元第一王子、ローズ=フルールの弟。
母親を同じくする、ローズに瓜二つの弟王子の名前がそこにあった。
「フルールの斥候部隊を回せ!公爵と合流、ローザ=フルールの屋敷、ねぐら、すべて洗い、一刻も早く団長を救出!」
ミカエルが、全部署へ通達する。
『ローザ=フルールだな!分かった!!』
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