【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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アヴニール編【学園編】

レッドキングダムに咲く鈴蘭の花

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今から3年以上前。

公爵家の次男で、母親譲りの美貌と剣才に恵まれた彼とブライト伯爵令息との婚約のお披露目が行われた。


覚めるような青のスーツに黄色のコサージュを重ね、トルコ石で飾った彼は、輝くようなあどけない笑顔で。


隣に立つ貴公子も彼を守るように立ち。


公爵家の鈴蘭の花の婚約は、多くの人をがっかりさせた。

あの可愛らしい子を、息子の妻にほしい。
僕の婚約者になってくれないかしら?

そう考えていた者は、キャッツアイの読み通り、かなりいたのである。




そして、そんな彼が学園に入学する。



学園は色めきだっていた。






「今日から学園かあ!楽しみだなあ。」


「アヴニール、キャッツアイが迎えに来たよ。」
お母様が呼びに来る。

「はあい!」


お兄様は、忙しそう。
早くお手伝いしたいなあ、と思っているけど、まずは勉強してこいって。


屋敷の玄関には、キャッツアイ先輩がいる。

えへへ、俺の婚約者。

かっこいいなあ。

毎日、仕事に行く途中、学園に送ってくれるって!

学園の帰りは他の人が迎えてくれるらしいけど、誰だろう?





「じゃあ、アヴニール。気をつけるんだよ。勉強頑張ってね。」

キャッツアイは、これみよがしに頬に口付け、お弁当を持たせた。

ばいばい、と手を振るアヴニールの右の薬指には、トルコ石の婚約指輪が飾られている。


ブライト伯爵令息との婚約指輪は、学園において牽制にはなるだろう。






ぱあっと明るい笑顔。
人懐っこく愛嬌のある表情は可憐で、彼の魅力をいっそう引き立たせる。

婚約者がいなければ、アタックするのに。


地団駄を踏む男子生徒たちの中で、彼はそうではなかった。


彼はキリア。
成績優秀で、奨学金を獲得して入学した少年。
平凡な色合いながら、野性味のある整った顔をした彼は、アヴニールに惹かれていた。

貴族って分からない。
婚約してるからって結婚してるわけじゃないのに。
子どもの頃の気持ちなんて、変わることもあるだろう。


そう、思っていたら。



「宜しくね、キリア。」


クラスの隣の席に、彼が来た。


ここ、騎士クラスだけどなあ。
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