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アヴニール編【学園編】
あの人には敵わない
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失敗した…。
考え事をしながら歩いていて、完全に道を外れてしまった。
とりあえず、開けたところへ出たい。
光を探してさまよって、出たところは崖だった。
「…くっ。」
えっと、思い出せ俺。
仲間に持たせていた地図の画像を懸命に思い出す。
崖はコースから北に離れたところにあったはず。
だけれど、そこからコースに戻るには、また森の中に入らなければならなかったはずだ。
万が一のために、発煙筒くらい持っておくんだった。
詰んだ…。
「キリア!」
アヴ…!どうして…!!
「お前、どうして昨日の今日でお前が追いかけてくるんだよ!!!」
アヴニールは慣れた手つきで発煙筒に火をつけて打ち上げる。
「だって、森の中追いかけるんだったら、俺の方が最適なんだから仕方ないじゃないか!俺なら子どもの頃から騎士団で見習いをしてたから、迷わず最短で追いつけるし…!それに。」
キリア、ずっと俺避けてたじゃん。
「俺、お前が友達じゃなくなっちゃったら嫌だよ…。キリア、俺と友達じゃ辛い…?俺もうちゃんと、警戒するから!キリアを誘惑するようなことしないようにするから…!」
「俺のこと…友達だと思ってくれるのか? まだ俺と笑ってくれるの?」
残酷だけど。
どうしようもないのかもしれない。
俺だって、友達でもいられなくなるのはイヤだ。
「アヴーーーーーーーーーーーーーーーーーーうわあぁっ!」
「キリア!!?」
突然、立っていたところの地盤が崩れて、俺は落ちた。
と、思っていた。
パラパラと土が、俺の顔に当たる。アヴニールが、俺の腕を掴んでいた。
「…っ。はやく、あがって…」
「無理だ、アヴニール!土が柔らかすぎて足場がない。」
「じゃあ、俺がひきあげる…」
アヴニールの顔が赤く、汗がにじみ出ている。
「アヴ、俺はいいから!これは俺の罰なんだよ!自業自得だから見捨てろ!この地盤じゃお前がいるそこもーーーーーーー
「俺のことなんだと思ってるの?確かに俺は嫁側かもしれないけど、お母さまよりは体格だっていいし、キリアほどじゃなくても、それなりに男の腕力はあるんだよ。大事な友達を見捨てられるわけ、ないだろっ!」
「頼むから!お前を道連れにしたくないんだよ!」
ぐぐっと、体が少しずつ引き上げられる。
しかし、また俺は急落した。
地盤がーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アヴ…!!!!」
彼を心配して叫んだ瞬間、俺は浮遊した。
木にワイヤーを括り付け、飛んできたその人は俺を片腕で抱え、崖の上まで運ぶ。
「キャッツアイ…部隊長。」
なんで俺を?
「…アヴニールは!?」
なんで俺の方を!
彼の目は冷えていて、親指で後ろを指した。
「騎士団で散々鍛えた俺のアヴニールが段取りを間違えるはずないだろ。俺の持たせたワイヤーで、ちゃんと命綱は作ってたよ。」
友達が死んだら、アヴニールが泣くからな。
「キリア!よかった!!!!」
アヴニールが駆けてくる。
服と顔が土で汚れてる。
「アヴニールも偉かったぞ。」
「えへへ。」
部隊長はデレデレして、アヴニールの顔を拭いた。
「部隊長、アヴニール。申し訳ございません。」
頭を深々と下げる。
「俺は、アヴニールに手を出そうとしました。」
殴られるのを覚悟した。
「…踏みとどまったのは評価する。俺とアヴニールはアヴニールが卒業して、18歳になったら結婚することになっている。」
「はい。」
「それまでに、アヴニールの気が変わるなら、俺は身を引くつもりではいる。」
「部隊長、俺は部隊長一筋ですよ?」
「わかっているとも。俺も、誰にも負ける気はない!」
「分かりました。俺、アヴの友達として、アヴに好かれるように頑張ります。」
「絶対に欲情だけはするなよ?俺だってもう5年も我慢してるんだからな?アヴニールを愛してる、俺からかっさらおうと思ってるんだったら、お前だってそのくらい耐えられるよなあ?」
「はい!耐えます!」
できなかったときは、事が起きる前にどうぞ斬り落としてください!
「その意気やよし!お前を俺のライバルとして認めてやろう!精進せよ!」
「はっ!」
「と、いうことだから。これからもよろしくな。」
「うん!」
雨降って地固まる。
…固まってるのだろうか?
考え事をしながら歩いていて、完全に道を外れてしまった。
とりあえず、開けたところへ出たい。
光を探してさまよって、出たところは崖だった。
「…くっ。」
えっと、思い出せ俺。
仲間に持たせていた地図の画像を懸命に思い出す。
崖はコースから北に離れたところにあったはず。
だけれど、そこからコースに戻るには、また森の中に入らなければならなかったはずだ。
万が一のために、発煙筒くらい持っておくんだった。
詰んだ…。
「キリア!」
アヴ…!どうして…!!
「お前、どうして昨日の今日でお前が追いかけてくるんだよ!!!」
アヴニールは慣れた手つきで発煙筒に火をつけて打ち上げる。
「だって、森の中追いかけるんだったら、俺の方が最適なんだから仕方ないじゃないか!俺なら子どもの頃から騎士団で見習いをしてたから、迷わず最短で追いつけるし…!それに。」
キリア、ずっと俺避けてたじゃん。
「俺、お前が友達じゃなくなっちゃったら嫌だよ…。キリア、俺と友達じゃ辛い…?俺もうちゃんと、警戒するから!キリアを誘惑するようなことしないようにするから…!」
「俺のこと…友達だと思ってくれるのか? まだ俺と笑ってくれるの?」
残酷だけど。
どうしようもないのかもしれない。
俺だって、友達でもいられなくなるのはイヤだ。
「アヴーーーーーーーーーーーーーーーーーーうわあぁっ!」
「キリア!!?」
突然、立っていたところの地盤が崩れて、俺は落ちた。
と、思っていた。
パラパラと土が、俺の顔に当たる。アヴニールが、俺の腕を掴んでいた。
「…っ。はやく、あがって…」
「無理だ、アヴニール!土が柔らかすぎて足場がない。」
「じゃあ、俺がひきあげる…」
アヴニールの顔が赤く、汗がにじみ出ている。
「アヴ、俺はいいから!これは俺の罰なんだよ!自業自得だから見捨てろ!この地盤じゃお前がいるそこもーーーーーーー
「俺のことなんだと思ってるの?確かに俺は嫁側かもしれないけど、お母さまよりは体格だっていいし、キリアほどじゃなくても、それなりに男の腕力はあるんだよ。大事な友達を見捨てられるわけ、ないだろっ!」
「頼むから!お前を道連れにしたくないんだよ!」
ぐぐっと、体が少しずつ引き上げられる。
しかし、また俺は急落した。
地盤がーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アヴ…!!!!」
彼を心配して叫んだ瞬間、俺は浮遊した。
木にワイヤーを括り付け、飛んできたその人は俺を片腕で抱え、崖の上まで運ぶ。
「キャッツアイ…部隊長。」
なんで俺を?
「…アヴニールは!?」
なんで俺の方を!
彼の目は冷えていて、親指で後ろを指した。
「騎士団で散々鍛えた俺のアヴニールが段取りを間違えるはずないだろ。俺の持たせたワイヤーで、ちゃんと命綱は作ってたよ。」
友達が死んだら、アヴニールが泣くからな。
「キリア!よかった!!!!」
アヴニールが駆けてくる。
服と顔が土で汚れてる。
「アヴニールも偉かったぞ。」
「えへへ。」
部隊長はデレデレして、アヴニールの顔を拭いた。
「部隊長、アヴニール。申し訳ございません。」
頭を深々と下げる。
「俺は、アヴニールに手を出そうとしました。」
殴られるのを覚悟した。
「…踏みとどまったのは評価する。俺とアヴニールはアヴニールが卒業して、18歳になったら結婚することになっている。」
「はい。」
「それまでに、アヴニールの気が変わるなら、俺は身を引くつもりではいる。」
「部隊長、俺は部隊長一筋ですよ?」
「わかっているとも。俺も、誰にも負ける気はない!」
「分かりました。俺、アヴの友達として、アヴに好かれるように頑張ります。」
「絶対に欲情だけはするなよ?俺だってもう5年も我慢してるんだからな?アヴニールを愛してる、俺からかっさらおうと思ってるんだったら、お前だってそのくらい耐えられるよなあ?」
「はい!耐えます!」
できなかったときは、事が起きる前にどうぞ斬り落としてください!
「その意気やよし!お前を俺のライバルとして認めてやろう!精進せよ!」
「はっ!」
「と、いうことだから。これからもよろしくな。」
「うん!」
雨降って地固まる。
…固まってるのだろうか?
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