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あと落ち着いてないのはお前だけ

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めでたい!

弟たちの縁談が無事まとまり、俺は満足だ!



リロンデルも加わって、お茶会が始まる。

リロンデルとサンベリル、ハーバードとネニュファールが隣り合って座り、幸せそうだ。


「うむ。確かに書類を確認した。それでは、サインをして…。控えをお持ちください。」

父は、婚約の手続き書類にサインをして、ハーバード王子に持たせた。
ハーバード王子はすっかりネニュファールのとりこだ。

我が弟ながら、一発で虜にするとは…。



「申し訳ありません、こちらの書類は今持ち合わせていなくて…。急ぎ作りますので。」
リロンデルは、両親に謝っている。

急だったもの、仕方ないよ。
でも真面目でいいやつだ。好感がもてる。


弟たちは、それぞれに合った伴侶を得て、きっと幸せになるだろう。



「そこでホクホク顔でいるけれど、これでプリンシパルが王太子確定したんだからね?次はあなたの縁談です。」

しまった。他人事のような顔をしていたら、母にツッコミを入れられてしまった。


「プリンシパル、あなたいい人はいないの?いないなら貴方にも釣書はたくさん来ているんだけど。」
「シン、『影』が言うには、残念ながら色恋のいの字も見当たらないらしい。」


え……。えーっと…。


「将来の王妃になるんだから、僕が教えてあげるとしても…。ある程度の素養とか必要だし。絶対にオッケーできる保証はないけど、可能なら好きな相手と結婚させてあげたいって気持ちはあるんだよ?」





俺の…


好きな人?



「例えば、学園で気になった方はいなかったの?いい人ができたって報告もないまま、もう最終学年じゃない。」



胸によぎったのは。




学園の数学教師のアムール=マックイーン先生。

輝く金色の髪の、アイスブルーの瞳の。自分よりも一回り年上の男の先生。


「………いない。」





その様子を見て、サンベリルは考えていた。

双子だから分かる。

お兄様には好きな人がちゃんといる。

僕の恋を後押ししてもらったように、今度は僕が、お兄様の恋を成就させてあげたい。 
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