わんこな庶務は魔王な生徒会長に憧れる

竜鳴躍

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熟年編

オリエ=ペンタゴン

「久しぶり…!」

馬車を寄せて、駆け寄る。


次に姿を現す時は、引退したときだと言っていた彼は、引退したのだろうか。

何をしていたか、何者だったのか。

一切詮索はできない。


でも、このくらいは聞いてもいいのかな。


「オリエ、今、一緒に住んでいる家族はいるの?ペンタゴン家には戻っていないんでしょう?」


「あー。女と結婚はしていないし、子どももいない。だけど、家族はいるよ。」


「引退はしたの?」


「そうだね。」


「また、昔みたいに会える?」


「たまにお茶するくらいは。」



「私、ゼロ先輩と結婚したんだ。今、サンダルフォン公爵家にいるんだよ。」


オリエが目を丸くする。


「お前、跡取りは?家は??」


「私もゼロ先輩も、子どもが大きくなって爵位を譲って、それから結婚したんだよ。」


馬車の方で待っているゼロ先輩を手のひらで示す。



「………そっか。どうしたって、そういう運命は結局曲げられないものなんだな。」









どこら辺に帰るの?送ろうか?と言ってくるシュヴァリエを丁重に断って、俺は家に戻った。

ペンタゴン伯爵家は、普通の伯爵家とは違う。


そういう、『家族』の振りをした『組織』だ。


代々の王の『親』―――前王の直轄する暗部。

王も、王子たちも、宰相も騎士団も誰も知らない、組織。

王位を退位して自らの親から聞かされるか、前王が死に瀕しているときになって、やっと1名にのみその存在が告げられる。



その任務は、貴族の監視。
貴族が犯人となるような繊細な証拠を収集し、こっそり騎士団や宰相が気づくように情報を渡したり、王太子や姫の伴侶選びをしたりする。


辺境伯は、俺の正体を知っていたわけではなく、本当に純粋にお願いされた。

だから俺は、父親役を通して職を一時休職し、辺境伯家のために動くことを許可してもらっていた。

私的な任務。

ゆえに、その延長線上で知ったルナ様の能力のことは、上には報告しなかった。






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