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熟年編
釣り
ヒューズ様はまだまだオリエにべったりながらも、ケイとグレイには心を許したようだ。
みんなで釣り場に向かいながら、子どもたちは三人固まって歌を歌っている。
この島の人はあまり釣りをしないようで、現地の人に教えてもらったあまり人の来ない、岩が多めの海岸で釣りをする。
こちらの波はそれほど荒くはないけれど、念のために腕に小さな浮き輪や水に浮くジャケットをつけて、潮が引いている時間帯に出かけた。
浜辺に荷物を置いて、釣り竿に餌をつけた。
「なんかぐろい。こわい。僕、荷物番してるから……っ。」
餌をみて驚いたケイは、一瞬で断念したようだ。
それを見てシュヴァリエは、ケイに好きな道に進ませて正解だったと思った。
武門の家の子だからといって、みんながみんな剣が得意だったり、血が平気なわけじゃない。
努力や慣れでどうにかなる場合もあるが、そうではない者もいるし、その場合、苦痛な人生を歩んだうえ、あまりぱっとしない人生を送ることになる。
ケイにはやっぱり剣や戦いは向いていなかったんだな。
グレイは、ケイの手前いいカッコをしたいのだろう。
指が震えているし、内心は嫌なんだろうけど、おそるおそる餌をつまんで釣り竿に刺している。
意外だったのはヒューズ様だ。
手際よく餌を掴んで竿にセットしている。
「お父様と釣りをなさったんですか?」
「はい!」
ゼロが尋ねると、元気いっぱいな返事が返って来た。
「釣りと言っても、敷地の庭にある釣り堀のようなところですけど。お父様のために魚が定期的に補充されていました。お父様は湖だっていってましたけど、今ならあれは釣り堀だったって分かります。」
前陛下は、ヒューズ様をデュラン様と間違えたり、陛下と間違えたりはしょっちゅうだったそうだ。
誰と間違えてるのか分からなかったヒューズは、今ではそれをよくわかっていた。
「たぶん、お父様は、僕が物心つく前から。心が過去にとんだままになってしまってたんだと思う。亡くなった奥さんのことが本当に大好きで、ショックで、信じたくなくて。僕のお母様、もしかしてどこか奥さんに似てたとかで間違えたんじゃないかって…。」
想い出の中で生きていたお父様。
それで、僕のお母様は不幸になってしまったけど、お父様を憎めない。
「誰も、お父様のご病気は…?」
ヒューズは首をふった。
「たぶん、誰も気づいていなかったんだと思うよ。お父様が生きていらっしゃったときは、離れに侍女もたくさんいたけど、最低限の仕事をしたら関わろうとはしなかったし、僕を小さい子みたいにいつまでもそばに置いている以外は、どこもおかしいところはなかったから。……ずっと見ていないと気づかないじゃない、そういうのは。」
随分立派に話をされるようになったことに関心する一方で、なぜ、前陛下が侍女に手をだしてヒューズを産ませたのか、そしてなぜ、その侍女の処遇をケアできず、ヒューズを幼子のように扱ったのか。
在りし日の前陛下を少なからず知っている者としては、甚だ疑問だったものが、すっと胸におちた。
不幸に不幸が重なり、誰を責めたらいいのか分からない。
「ゼロさま、たくさん釣りましょうね!僕、得意なんですよ。」
「ふふ、私も得意なんですよ。競争ですね?負けませんよ?」
ハタ科の魚がたくさん採れて、シュヴァリエが採って来たシャコガイとあわせると、結構な大量だった。
オリエにおいしく料理してもらうか。
みんなで釣り場に向かいながら、子どもたちは三人固まって歌を歌っている。
この島の人はあまり釣りをしないようで、現地の人に教えてもらったあまり人の来ない、岩が多めの海岸で釣りをする。
こちらの波はそれほど荒くはないけれど、念のために腕に小さな浮き輪や水に浮くジャケットをつけて、潮が引いている時間帯に出かけた。
浜辺に荷物を置いて、釣り竿に餌をつけた。
「なんかぐろい。こわい。僕、荷物番してるから……っ。」
餌をみて驚いたケイは、一瞬で断念したようだ。
それを見てシュヴァリエは、ケイに好きな道に進ませて正解だったと思った。
武門の家の子だからといって、みんながみんな剣が得意だったり、血が平気なわけじゃない。
努力や慣れでどうにかなる場合もあるが、そうではない者もいるし、その場合、苦痛な人生を歩んだうえ、あまりぱっとしない人生を送ることになる。
ケイにはやっぱり剣や戦いは向いていなかったんだな。
グレイは、ケイの手前いいカッコをしたいのだろう。
指が震えているし、内心は嫌なんだろうけど、おそるおそる餌をつまんで釣り竿に刺している。
意外だったのはヒューズ様だ。
手際よく餌を掴んで竿にセットしている。
「お父様と釣りをなさったんですか?」
「はい!」
ゼロが尋ねると、元気いっぱいな返事が返って来た。
「釣りと言っても、敷地の庭にある釣り堀のようなところですけど。お父様のために魚が定期的に補充されていました。お父様は湖だっていってましたけど、今ならあれは釣り堀だったって分かります。」
前陛下は、ヒューズ様をデュラン様と間違えたり、陛下と間違えたりはしょっちゅうだったそうだ。
誰と間違えてるのか分からなかったヒューズは、今ではそれをよくわかっていた。
「たぶん、お父様は、僕が物心つく前から。心が過去にとんだままになってしまってたんだと思う。亡くなった奥さんのことが本当に大好きで、ショックで、信じたくなくて。僕のお母様、もしかしてどこか奥さんに似てたとかで間違えたんじゃないかって…。」
想い出の中で生きていたお父様。
それで、僕のお母様は不幸になってしまったけど、お父様を憎めない。
「誰も、お父様のご病気は…?」
ヒューズは首をふった。
「たぶん、誰も気づいていなかったんだと思うよ。お父様が生きていらっしゃったときは、離れに侍女もたくさんいたけど、最低限の仕事をしたら関わろうとはしなかったし、僕を小さい子みたいにいつまでもそばに置いている以外は、どこもおかしいところはなかったから。……ずっと見ていないと気づかないじゃない、そういうのは。」
随分立派に話をされるようになったことに関心する一方で、なぜ、前陛下が侍女に手をだしてヒューズを産ませたのか、そしてなぜ、その侍女の処遇をケアできず、ヒューズを幼子のように扱ったのか。
在りし日の前陛下を少なからず知っている者としては、甚だ疑問だったものが、すっと胸におちた。
不幸に不幸が重なり、誰を責めたらいいのか分からない。
「ゼロさま、たくさん釣りましょうね!僕、得意なんですよ。」
「ふふ、私も得意なんですよ。競争ですね?負けませんよ?」
ハタ科の魚がたくさん採れて、シュヴァリエが採って来たシャコガイとあわせると、結構な大量だった。
オリエにおいしく料理してもらうか。
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