暗殺者は王子に溺愛される

竜鳴躍

文字の大きさ
23 / 202

相談

しおりを挟む
学校が終わると、俺は城へ行く。

お父様の仕事場へ研修に行くのだ。


お父様もケヴィンも、俺たちに、『お前たちは悪くない。』って言ってくれる。

本当に、こんなに幸せでいいのだろうか。

俺は人殺しだ。


そういうと、お父様は、

『お前が人殺しなら、私もそうだ。殿下だってそうだ。剣をふるうことを仕事にしている。』

と言ってくれた。


せめて、これからは、お父様たちのように、この国を守るために剣をふるいたいと思う。



「おかえり、サン。今日も学校は楽しかったかい?」

お父様は騎士団の訓練場にいて、部下たちの鍛錬をしている。

お父様の俺を見る瞳は、いつも優しい。


「はい。お父様、今日も剣を教えてください。皆様も、お邪魔してすみません。一緒に剣を習わせてください。」

そう言って、お辞儀をして、中に混じる。


「型も様になって来たなぁ。」

「早いだけで、センスで誤魔化してたのが、きれいな太刀筋になった。」


お父様の部下たちは、褒めてくれるけど、きっとお世辞だよね。

もっともっと頑張らなくちゃ。



お父様は俺と屋敷に帰るために、書類仕事は俺が学園に行っている間に終わらせているらしい。


何かあれば、遠征に行ったり、帰れない日も多いから、一緒にいられる時は、なるべく一緒にいたいんだって。

うれしいなあ。




「ねえ、お父様。」

帰りの馬車で、お父様に尋ねる。


「お父様って、リッシュ辺境伯と仲良し?」

「同じ高位貴族だし、子どもを攫われた者同士だから知り合いではあるが、仲良し?というほどではないかな。」

なんで、そんなことを聞くんだい?


「ボヌールのお父様ってどんな人なのかなぁって思って…。」

「ああ、今日から彼も編入したんだったね。辺境伯は、仕事熱心な男ではあるんだが、ほぼ城と辺境の防衛拠点に行きずっぱりで、あまり家庭的な男ではないかな。だから、細君を失って、ボヌールが攫われて、5歳になるかならないかの長男と二人残されたときに、親戚の勧めで再婚したんだよ。屋敷に幼子が一人になるからね。」

……そうなんだ。


「ボヌール、寮なんだって。」

俺の暗い顔を見て、何かを察したらしい。お父様は続けた。


「今度の週末に、みんなでどこか遊びに行くといい。」

お父様は、俺の頭を優しくなでてくれた。











そのころ、サンダルフォン公爵家では。

「リッシュ辺境伯は、家庭のことがよくわかっていない。俺が調べたところ、再婚してから、あの家の使用人は、全て後妻の実家から派遣された人間にすげかわっている。家庭教師の依頼だって、辺境伯はちゃんとやっていた。あの後妻がキャンセルしたようだ。」

温和で人当たりのいいデュークは、情報収集が得意だ。

調べ上げた情報を、夕餉の時間、飯を食べながら、つらつらと報告した。


「同じ痛みを負う者として許せませんわ!せっかく帰って来たのに、虐げるなんて!」

リリーナは怒りに燃えていた。

「私、あそこの長男と同級生なの!呼び出してとっちめてやりますわ!なんで、そんなことをするのか、何が原因なのか、吐かせてやります!」


「父親はほぼ不在で、家庭のことは後妻がしきってて、使用人もそうで、その中で5歳から一緒なんでしょ?絶対にその後妻のせいだよね。後妻にも言い分があるかもしれないけど。」

アンは冷静だ。


「……辺境伯のことは私に任せなさい。あれは、間抜けなだけだから。お前たちも暴走はしないように。一方の言い分だけでは、正しい道筋は見えてこないからね。」



「みんな、すげえな。俺だったら、お前が悪い!ってぶちのめしてる。」


「トロワ、ぶちのめして解決できることとできないことがあるんだよ。ぶちのめすより、よりいい解決になることもある。双方から聞かないと、真実は見えてこないものさ。」

すぐには解決できないだろう。

まずは、できることから。

トロワの話を聞く限り、元々あの子の出来はいいはずだ。
ちゃんと教えてあげれば、学園生活を楽しめるくらいには、すぐに学習は追いつくだろう。

俺たちで助けになろうじゃないか!


デュークは意欲に燃えていた。

しおりを挟む
感想 82

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...