暗殺者は王子に溺愛される

子どもたち

シャルは自由になりたい

もう、嫌だ。

シャル=ノース公爵令息は、父親を女性寄りにしたような美しい容姿と、母親に似た魅力的な黒髪黒目を持つ。

前王妃のお祖母様によれば、自分はお父様のお母様によく似ているらしい。


確かに自分は産む体だけど、だからといって御婦人に混じって、花嫁修業をやるなんて、まっぴらだった。

できるけど、やりたいは違う。



同い年の叔母のアンジェラも、従兄のヒースも、幼なじみたちも皆して、お嬢さん扱いして。


俺だって、体は小さいかもしれないけど、強いんだ。

なのに、学園を卒業して２年。
花嫁修業ばかりで、俺には騎士団に入ることも許されない。

学生時代だって、危ないからって剣を持たせてもらえなかった。

多少、領地経営は手伝っているけど、大した手伝いではなくて。


この家の跡取りは、弟のアイも、叔父のホークもいるから、俺は完全に嫁に行く子なのだ。


俺にはまだ婚約者はいない。

だけどこの国の第一王子のヒースも、宰相の息子のエアルも、隣国の第一王子のホーリーも。

皆が俺を狙っている。


バカあ！

俺の体は俺のものだ！

このまま外堀埋められるくらいなら、家出して、冒険者になる！