前世喪女の腐女子ですが、悪役令嬢に転生したので、脚本をぶっ潰しますね♡

竜鳴躍

文字の大きさ
1 / 3

私、乙女ゲーの悪役令嬢。喪女で腐女子の官僚だったことを思い出しました。

しおりを挟む
「……れ、レア?いつもはこうじゃないんだ!こうじゃないんだからね!?」

青い髪を右側に垂らした美貌のお父様は、てんてこ舞いの宰相府の真ん中でオロオロとしている。
学園の小等部の課題で父親の職場参観に来たのだが、タイミングが悪かったらしい。


曰く、南の領地で海難事故があった。
北の領地で虫と気温の影響で不作があった。
西の領地では小競り合い。
東の領地では長雨による土砂崩れ。

緊急を要する事態があちこちで勃発し、その対策と支援事業(金銭的な支援も含む)を立てるために、国庫と相談し、あーでもないこーでもないと文官たちは調整に追われていたのである。


「ああぁぁああっ!あのっ!くそ狸!王族と貴族の生活費のための予算を削らせろよ!夜会なんかこういうときは減らしていいんだよ!出席するのにお金も使うんだから!!!!!」

「あぁぁ!家に帰りてぇ!」

眼の下真っ黒の文官らは、多少脂っぽく汚れた髪をかきむしりながら、数字と格闘している。



「はあぁあ!!?神殿に融資??バッカじゃないの!人間を救うのは神じゃないわ!祈りなんて何の解決にもならんわ!」



あ……。なんかどっかで見たことある……。



私の視界は立ったまま一瞬シャットアウトし、脳は走馬灯のように、『私』の人生を映していた。





私は日本という国の、官僚だった。
ちょっと小太りでたいしてスタイルもよくなく、髪も化粧も適当な、冴えない社会人。

仕事に明け暮れ、まぁ、私自身も人のため、国をよくするためという使命感に燃え滾っていたし、麻痺してたんだと思う。
上司に強制されてたわけでもないのに、毎日毎日朝早くから夜遅くまで働いて、健康診断で引っかかった数値も無視して、忙しいことを理由に精密検査もせず。
それで、ある日、目を覚ますことができなくなった。

同居していた両親や兄弟には悲しい思いをさせただろう。
トラウマを植え付けてなきゃいいんだけど。
その代わり、お金はたくさん残してたはずだから、老後の足しにでもしてもらえたら少しは親孝行だろうか。
早死にした時点で親不孝なんだけどさ。

そう思わなきゃやってられない。
だってこうなっちゃったのはどうしようもないし。
兄弟がいてよかった。孫の顔もそっちでみせてやってほしい。
仕事が恋人で40が近づいても、婚約者どころか恋人の気配もなくて、実は処女のままだった私。
楽しみといえば、アニメやゲームで、学生の頃にはまって続けている同人誌活動だ。

こうみえても、シャッター前を陣取る大手だったんだぞ!

あー。

BL同人誌の在庫とか原稿とは処分しとくんだったかもしれない。

あとは隠してあるBL本な…。

最後にはまってたのは乙女ゲームだった。

『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』


乙女ゲームなんだけどさ、攻略対象同士の友情がまたいいのよ。
絶対あいつら、裏でできてる!
なんて妄想働かせて、際どいのを描いてましたとも。

男の体なんて実際は見たことないのに、意外となんとかなるんだよな。
どうせモザイクだし…。



―――――――――――って。





そこで、私の意識は浮上した。


「れあちゃん!レアちゃーん!!しっかりー!ごめんね、こんなところを見せちゃって。ショックだったんだよね!」

「だ、大丈夫ですわ。お父様。国のために、みなさま、ありがとうございます。」

年の割には綺麗なカーテシ―を披露し、金髪縦ロールが揺れた。


ここは、乙女ゲーム『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』の世界。
私は、転生者。宰相の愛娘、金髪縦ロール完璧お嬢様のカトレア=バイオレット公爵令嬢。
私、王太子の婚約者で断罪される悪役令嬢じゃない?!

せっかく王太子の婚約者で公爵令嬢で美少女なのに、断罪も嫌だし、身分も捨てたくない!

よくある悪役令嬢モノで、断罪されないように王太子の婚約者にならないようにするってあるけど、どーせ強制力があるんだし、私だったら、王太子の婚約者として最後まで幸せになってみせるわ!


元同人作家の力で脚本を書き換えて、フラグをぶっ潰してやるんだから!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結済】監視される悪役令嬢、自滅するヒロイン

curosu
恋愛
【書きたい場面だけシリーズ】 タイトル通り

悪役令嬢は断罪の舞台で笑う

由香
恋愛
婚約破棄の夜、「悪女」と断罪された侯爵令嬢セレーナ。 しかし涙を流す代わりに、彼女は微笑んだ――「舞台は整いましたわ」と。 聖女と呼ばれる平民の少女ミリア。 だがその奇跡は偽りに満ち、王国全体が虚構に踊らされていた。 追放されたセレーナは、裏社会を動かす商会と密偵網を解放。 冷徹な頭脳で王国を裏から掌握し、真実の舞台へと誘う。 そして戴冠式の夜、黒衣の令嬢が玉座の前に現れる――。 暴かれる真実。崩壊する虚構。 “悪女”の微笑が、すべての終幕を告げる。

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

処理中です...