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私、乙女ゲーの悪役令嬢。喪女で腐女子の官僚だったことを思い出しました。
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「……れ、レア?いつもはこうじゃないんだ!こうじゃないんだからね!?」
青い髪を右側に垂らした美貌のお父様は、てんてこ舞いの宰相府の真ん中でオロオロとしている。
学園の小等部の課題で父親の職場参観に来たのだが、タイミングが悪かったらしい。
曰く、南の領地で海難事故があった。
北の領地で虫と気温の影響で不作があった。
西の領地では小競り合い。
東の領地では長雨による土砂崩れ。
緊急を要する事態があちこちで勃発し、その対策と支援事業(金銭的な支援も含む)を立てるために、国庫と相談し、あーでもないこーでもないと文官たちは調整に追われていたのである。
「ああぁぁああっ!あのっ!くそ狸!王族と貴族の生活費のための予算を削らせろよ!夜会なんかこういうときは減らしていいんだよ!出席するのにお金も使うんだから!!!!!」
「あぁぁ!家に帰りてぇ!」
眼の下真っ黒の文官らは、多少脂っぽく汚れた髪をかきむしりながら、数字と格闘している。
「はあぁあ!!?神殿に融資??バッカじゃないの!人間を救うのは神じゃないわ!祈りなんて何の解決にもならんわ!」
あ……。なんかどっかで見たことある……。
私の視界は立ったまま一瞬シャットアウトし、脳は走馬灯のように、『私』の人生を映していた。
私は日本という国の、官僚だった。
ちょっと小太りでたいしてスタイルもよくなく、髪も化粧も適当な、冴えない社会人。
仕事に明け暮れ、まぁ、私自身も人のため、国をよくするためという使命感に燃え滾っていたし、麻痺してたんだと思う。
上司に強制されてたわけでもないのに、毎日毎日朝早くから夜遅くまで働いて、健康診断で引っかかった数値も無視して、忙しいことを理由に精密検査もせず。
それで、ある日、目を覚ますことができなくなった。
同居していた両親や兄弟には悲しい思いをさせただろう。
トラウマを植え付けてなきゃいいんだけど。
その代わり、お金はたくさん残してたはずだから、老後の足しにでもしてもらえたら少しは親孝行だろうか。
早死にした時点で親不孝なんだけどさ。
そう思わなきゃやってられない。
だってこうなっちゃったのはどうしようもないし。
兄弟がいてよかった。孫の顔もそっちでみせてやってほしい。
仕事が恋人で40が近づいても、婚約者どころか恋人の気配もなくて、実は処女のままだった私。
楽しみといえば、アニメやゲームで、学生の頃にはまって続けている同人誌活動だ。
こうみえても、シャッター前を陣取る大手だったんだぞ!
あー。
BL同人誌の在庫とか原稿とは処分しとくんだったかもしれない。
あとは隠してあるBL本な…。
最後にはまってたのは乙女ゲームだった。
『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』
乙女ゲームなんだけどさ、攻略対象同士の友情がまたいいのよ。
絶対あいつら、裏でできてる!
なんて妄想働かせて、際どいのを描いてましたとも。
男の体なんて実際は見たことないのに、意外となんとかなるんだよな。
どうせモザイクだし…。
―――――――――――って。
そこで、私の意識は浮上した。
「れあちゃん!レアちゃーん!!しっかりー!ごめんね、こんなところを見せちゃって。ショックだったんだよね!」
「だ、大丈夫ですわ。お父様。国のために、みなさま、ありがとうございます。」
年の割には綺麗なカーテシ―を披露し、金髪縦ロールが揺れた。
ここは、乙女ゲーム『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』の世界。
私は、転生者。宰相の愛娘、金髪縦ロール完璧お嬢様のカトレア=バイオレット公爵令嬢。
私、王太子の婚約者で断罪される悪役令嬢じゃない?!
せっかく王太子の婚約者で公爵令嬢で美少女なのに、断罪も嫌だし、身分も捨てたくない!
よくある悪役令嬢モノで、断罪されないように王太子の婚約者にならないようにするってあるけど、どーせ強制力があるんだし、私だったら、王太子の婚約者として最後まで幸せになってみせるわ!
元同人作家の力で脚本を書き換えて、フラグをぶっ潰してやるんだから!
青い髪を右側に垂らした美貌のお父様は、てんてこ舞いの宰相府の真ん中でオロオロとしている。
学園の小等部の課題で父親の職場参観に来たのだが、タイミングが悪かったらしい。
曰く、南の領地で海難事故があった。
北の領地で虫と気温の影響で不作があった。
西の領地では小競り合い。
東の領地では長雨による土砂崩れ。
緊急を要する事態があちこちで勃発し、その対策と支援事業(金銭的な支援も含む)を立てるために、国庫と相談し、あーでもないこーでもないと文官たちは調整に追われていたのである。
「ああぁぁああっ!あのっ!くそ狸!王族と貴族の生活費のための予算を削らせろよ!夜会なんかこういうときは減らしていいんだよ!出席するのにお金も使うんだから!!!!!」
「あぁぁ!家に帰りてぇ!」
眼の下真っ黒の文官らは、多少脂っぽく汚れた髪をかきむしりながら、数字と格闘している。
「はあぁあ!!?神殿に融資??バッカじゃないの!人間を救うのは神じゃないわ!祈りなんて何の解決にもならんわ!」
あ……。なんかどっかで見たことある……。
私の視界は立ったまま一瞬シャットアウトし、脳は走馬灯のように、『私』の人生を映していた。
私は日本という国の、官僚だった。
ちょっと小太りでたいしてスタイルもよくなく、髪も化粧も適当な、冴えない社会人。
仕事に明け暮れ、まぁ、私自身も人のため、国をよくするためという使命感に燃え滾っていたし、麻痺してたんだと思う。
上司に強制されてたわけでもないのに、毎日毎日朝早くから夜遅くまで働いて、健康診断で引っかかった数値も無視して、忙しいことを理由に精密検査もせず。
それで、ある日、目を覚ますことができなくなった。
同居していた両親や兄弟には悲しい思いをさせただろう。
トラウマを植え付けてなきゃいいんだけど。
その代わり、お金はたくさん残してたはずだから、老後の足しにでもしてもらえたら少しは親孝行だろうか。
早死にした時点で親不孝なんだけどさ。
そう思わなきゃやってられない。
だってこうなっちゃったのはどうしようもないし。
兄弟がいてよかった。孫の顔もそっちでみせてやってほしい。
仕事が恋人で40が近づいても、婚約者どころか恋人の気配もなくて、実は処女のままだった私。
楽しみといえば、アニメやゲームで、学生の頃にはまって続けている同人誌活動だ。
こうみえても、シャッター前を陣取る大手だったんだぞ!
あー。
BL同人誌の在庫とか原稿とは処分しとくんだったかもしれない。
あとは隠してあるBL本な…。
最後にはまってたのは乙女ゲームだった。
『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』
乙女ゲームなんだけどさ、攻略対象同士の友情がまたいいのよ。
絶対あいつら、裏でできてる!
なんて妄想働かせて、際どいのを描いてましたとも。
男の体なんて実際は見たことないのに、意外となんとかなるんだよな。
どうせモザイクだし…。
―――――――――――って。
そこで、私の意識は浮上した。
「れあちゃん!レアちゃーん!!しっかりー!ごめんね、こんなところを見せちゃって。ショックだったんだよね!」
「だ、大丈夫ですわ。お父様。国のために、みなさま、ありがとうございます。」
年の割には綺麗なカーテシ―を披露し、金髪縦ロールが揺れた。
ここは、乙女ゲーム『ロイヤル・ガーデン~聖女と光の騎士~』の世界。
私は、転生者。宰相の愛娘、金髪縦ロール完璧お嬢様のカトレア=バイオレット公爵令嬢。
私、王太子の婚約者で断罪される悪役令嬢じゃない?!
せっかく王太子の婚約者で公爵令嬢で美少女なのに、断罪も嫌だし、身分も捨てたくない!
よくある悪役令嬢モノで、断罪されないように王太子の婚約者にならないようにするってあるけど、どーせ強制力があるんだし、私だったら、王太子の婚約者として最後まで幸せになってみせるわ!
元同人作家の力で脚本を書き換えて、フラグをぶっ潰してやるんだから!
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