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不器用な人
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「法務大臣、和泉瑠璃。」
北村が呟く。
「蜜璃。久しぶりだな。試験合格、おめでとう。やったな。」
「…………なんで。まさか」
なんで知っている。
それに、確かに自己採点の結果もよかったし、手ごたえはあったけど。
まだ、結果は発表されていないのに。
俺の試験に口添なんかしてないよな?
「私はバース性に関係なく合否をつけるよう釘を差しただけだ。私の息子が受けたなど、誰もわからん。……やろうと思えば、全員の結果を調べられる立場にはいるからな。お前は実力だ。胸を張っていい。」
それに引き換えお前らは。
睨まれた二人の息子は萎縮した。
背景では、父の黒服が悪いアルファたちを拘束していく。
北村も先生もお客さんたちも、なんのことかとこちらを見守っている。
「蜜璃はしっかりしてるから一人でも安心だったが、これだからお前らは目が離せないのだ!自分の力不足を棚に上げて、弟を羨んで妬んで。お前らから守るために蜜璃を家から出したのに!お前らは!!」
え?
戸惑う俺の代わりに、紀里谷先生が尋ねる。
「和泉大臣。蜜璃君の指導教官の紀里谷です。蜜璃君は、あなたに愛されていないと感じていたようです。実家では使用人にまで迫害されていたと。なんだか、話が違うようですね。」
「愛していない訳はないだろう。ただ、私の最初の妻は有名政治家の娘だった。その手前、ハッキリした行動がとれなかった。最初から私は、蜜璃の幸せを願っている。バース性が分かった後も変わらない。」
「じゃあ、なんで勝手に高校を辞めさせたの?俺、受かって嬉しかったのに。」
「北斗高校はアルファだらけだ。まだお前が薬でどのくらいヒートコントロールできるか分からなかったのに、狼の群れに置いておけるか!」
さて。
父は兄たちに向き直る。
「静璃。野鶴。お前たちは一生、私のそばから離れるな。大学も退学させる。外に出したらよけいなことをするとよく分かった。スマホやパソコンも無し!親の責任として監視しなければならない。勿論、お前たちに権限は一切与えない。お前たちの母の実家にも、お前たちがいかに愚かで危険かよく伝えておく。」
「「そんなあ!」」
「刑事罰にしないだけいいだろう。」
「それじゃあ跡継ぎは?やっぱり蜜璃にっ!」
静璃が叫ぶ。
「蜜璃は籍を抜いたんだぞ!有能な秘書に継がせる。血筋は関係ない。」
…………そんな。それじゃあ。俺たちは何を妬んで。
後始末をして、父は背中を向けた。
「蜜璃。幸せにな。それだけ、会って言いたかった。立派になった。」
良い伴侶候補もたくさんいるようだ。
しっかり、いい人を選ぶんだよ。
もしかしたら、俺は。
アルファ全員を一緒くたに捉えて。
意固地になっていたかもしれない。
アルファでも、信じられる人がいるのかも。
北村が呟く。
「蜜璃。久しぶりだな。試験合格、おめでとう。やったな。」
「…………なんで。まさか」
なんで知っている。
それに、確かに自己採点の結果もよかったし、手ごたえはあったけど。
まだ、結果は発表されていないのに。
俺の試験に口添なんかしてないよな?
「私はバース性に関係なく合否をつけるよう釘を差しただけだ。私の息子が受けたなど、誰もわからん。……やろうと思えば、全員の結果を調べられる立場にはいるからな。お前は実力だ。胸を張っていい。」
それに引き換えお前らは。
睨まれた二人の息子は萎縮した。
背景では、父の黒服が悪いアルファたちを拘束していく。
北村も先生もお客さんたちも、なんのことかとこちらを見守っている。
「蜜璃はしっかりしてるから一人でも安心だったが、これだからお前らは目が離せないのだ!自分の力不足を棚に上げて、弟を羨んで妬んで。お前らから守るために蜜璃を家から出したのに!お前らは!!」
え?
戸惑う俺の代わりに、紀里谷先生が尋ねる。
「和泉大臣。蜜璃君の指導教官の紀里谷です。蜜璃君は、あなたに愛されていないと感じていたようです。実家では使用人にまで迫害されていたと。なんだか、話が違うようですね。」
「愛していない訳はないだろう。ただ、私の最初の妻は有名政治家の娘だった。その手前、ハッキリした行動がとれなかった。最初から私は、蜜璃の幸せを願っている。バース性が分かった後も変わらない。」
「じゃあ、なんで勝手に高校を辞めさせたの?俺、受かって嬉しかったのに。」
「北斗高校はアルファだらけだ。まだお前が薬でどのくらいヒートコントロールできるか分からなかったのに、狼の群れに置いておけるか!」
さて。
父は兄たちに向き直る。
「静璃。野鶴。お前たちは一生、私のそばから離れるな。大学も退学させる。外に出したらよけいなことをするとよく分かった。スマホやパソコンも無し!親の責任として監視しなければならない。勿論、お前たちに権限は一切与えない。お前たちの母の実家にも、お前たちがいかに愚かで危険かよく伝えておく。」
「「そんなあ!」」
「刑事罰にしないだけいいだろう。」
「それじゃあ跡継ぎは?やっぱり蜜璃にっ!」
静璃が叫ぶ。
「蜜璃は籍を抜いたんだぞ!有能な秘書に継がせる。血筋は関係ない。」
…………そんな。それじゃあ。俺たちは何を妬んで。
後始末をして、父は背中を向けた。
「蜜璃。幸せにな。それだけ、会って言いたかった。立派になった。」
良い伴侶候補もたくさんいるようだ。
しっかり、いい人を選ぶんだよ。
もしかしたら、俺は。
アルファ全員を一緒くたに捉えて。
意固地になっていたかもしれない。
アルファでも、信じられる人がいるのかも。
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