【完結】美貌のオメガは正体を隠す

竜鳴躍

文字の大きさ
13 / 82

真面目なあの子は夜の蝶

しおりを挟む
抑制剤の入ったカバンは、紀里谷先生が見つけてくれていた。

薬で落ち着いた俺は、助けてくれたみんなにお礼をして、その日はバイトを休んだ。

室岡さんにもメールして、電話で直接お礼を言った。



お客さんたちは、掲示板の書き込みをみてびっくりして、俺を助けるために仕事を抜け出して集まってくれたみたい。
事件が片付いて、急いでそれぞれの職場に帰っていった。

今度、お礼に手作りクッキーでも焼いてプレゼントしよう。



「蜂谷、北斗高校だったんだな。俺も北斗だったんだ。おかしいな、少しは通っていたんだろう?気づかないなんてありえないんだが。」

先生と北村に付き添われてアパートに帰る。

いいって言ったのに、心配だからどうしても送るって。

送られながら、たわいもない会話をする。


「あたりまえじゃない?俺、北村の1コ下だもん。高校いかずに受験資格を大検でとったから、17で大学に入学したの。俺。」


「なるほど、………本当にお前は規格外だな。」


「オメガを馬鹿にしてるのか?」


「いや、アルファでもなかなかいないぞ。人として規格外だ。」


「はははっ。そこが蜂谷君の面白……魅力だよね。」

先生、今、面白いって言おうとしたでしょ。




なんか楽しいな。

アルファとかオメガとかじゃなくて、このまま友達になれたらいいのに。




しかし、事件のせいで俺の平穏は終わっていたのだ。







どんなに繕っても正体がバレた今、変装する必要はないので、翌日は素の姿で行った。

男子たちは遠巻きにチラチラこっちを見てる。

慣れるしかないよなあ。


いつもの席に腰掛けると、すぐ後ろの席から声がした。

「蜂谷君綺麗ねぇ。美人が目立たないように地味にしてたって設定、私好きよ。」

西野さんがニコニコしている。


「西野は漫画家らしいぞ。」

なぜか俺の隣に座る北村。


「へー、漫画家!すごいじゃん。」


「あらあら、隣に座るのを許すくらいには仲良くなれたのね。よかったじゃない、北村君。」


「まぁ、助けてもらったよしみもあるし。悪い奴じゃないってのは分かったからな。」




「あ!あんた!あの地味男の正体があんただったとはね!」

教室にいきなり乗り込んできた派手な女。


「花梨!?」

「おい、北村。お前の女だろ、もう少しで授業始まるんだから黙らせろよ。」


「花梨は幼馴染で、俺の女じゃない。」

「拓海!酷い!」キッと女は俺を睨む。「あんたが私の拓海を誑かしたんでしょ!風俗嬢だもんね!お手の物よね!」



風俗嬢。



教室がシーンと静まり返る。


女は言ってやった!とすっきりしたのか、鼻の穴を膨らませて悦に入っているようだ。



教室の男どもは顔を真っ赤にして俺を見ている。



想像してるだろ!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...