【完結】美貌のオメガは正体を隠す

竜鳴躍

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氷室と花梨

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法学部の3年に、大検を受けて飛び級で入学して、しかも司法試験に合格間違いなし、と言われている子がいる。


それは、4年生にも噂になっていた。

在学中に司法試験に合格する者に関しては、まあ珍しいことではない。


だが、大学入学も他の者より早く入学して。……というのはなかなかない。



地味な見た目の、真面目そうな子。



ふーん。なかなか関心な奴だな。

それが、彼の第一印象。




その後、掲示板から情報が流れてきて、彼の素顔とオメガだということを知った。

ちょっとした騒動になったが、気になって調べれば、事の顛末は分かった。


彼の名前は蜂谷蜜瑠。蜂谷は母方の姓で、父方は和泉。
法務大臣 和泉瑠璃の三男。
アルファでありながら、そのことに過信し、怠けほうけたために三流大学にしか入れなかった腹違いの兄二人。
その兄らが出来のいい弟を妬んでの犯行だった。

仲のいいアルファの紀里谷先生や北村とかいうクラスメイトが助けて、事なきをえたとのこと。



それで今度は『風俗嬢』だろう?


関心が出ないほうがおかしい。



こう見えても、俺はアルファでも人気があるんだけどなあ。
食堂で見かけて声をかけてみたけれど、のってはこなかった。

噂とは違って、彼は身持ちが固いのだろう。

和泉の家とも蜂谷の家とも疎遠のようだから、生活費のために風俗嬢はしているのかもしれないけど。




「くくく……っ。」


行きつけのバーのカウンターでカクテルを飲みながら、嗤う。




「氷室さま、楽しそうですね。」

「いやあ、面白い子を見つけてね。」


「面白いと言えば……。」

マスターがカウンターの反対側を見る。





「あにょぉおお!たくみはわたしのものなのにぃぃぃ!」


身に着けたものは高級品。
下品、ではないが胸やスタイルを強調するような服の若い女オメガが騒いでいる。

いいとこのお嬢さんだとは思うが、アルファに振られたのだろうか。



「……ここ、いいかな?」


私を見た女が目を丸くする。


「うそ……。氷室、和哉……っ!!?人気イケメン俳優のっ!?」


「俺もふられちゃってね。振られた者同士、一緒にのまないかい?」


「よろこんでぇ…。」


そうそう、普通はこういう感じだよな。








拓海には
『お前のせいで蜂谷が困ってるだろう。』
『なんでお前はすぐ感情的になるんだ。そんなんじゃ、立場のあるアルファはもらってくれないぞ。』
と散々罵られた。

恋愛対象とは思えない、と言われてもあきらめきれるわけはない。

だって、小さい頃から好きだったの。

オメガだって判定されて、拓海がアルファだって分かった時は嬉しかった。

拓海のためのオメガなんだって。

私が拓海のお嫁さんだって、ずっとずっと思ってきたのに。


なんで蜂谷なの。

蜂谷なんて、風俗で働いているのよ?
なにもしてない、っていうけど、オメガが風俗で働くってことは、いくら本当はそういうことをしていなくても、やってるって周りには思われて当たり前なんだから。

そんな子お嫁さんにしたら、拓海に傷がつくんだから。


もういい、拓海なんかしらない。

ふらっと入ったバーのカウンターで毒を吐いていたら、大学にいるって噂のイケメン俳優が声をかけてきた!


アッシュの入ったブルーの髪に、シルバーのスーツ。

いやああん!かっこいい!



私のこと可愛い、って。

拓海は見る目がないって。


これが運命なのね。

ホテルに誘われちゃった。
こんなに私を可愛いって言ってくれるんだから、遊びじゃないわよね。

うふふ。

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