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この愛を君に
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ーーーーー神獣だ。
誰もが息をのんだ。
「ディヴィッド様!私がお守りします! 下がって!!」
アンジュが剣を抜き、僕の前に立つ。
「アンジュ、ありがとう。でもお願い。横にいて。」
「は、はい…。」
アンジュを制して、アンジュの隣に進む。
本当はアンジュを僕が守りたい。
だけど、きっとこれが僕たちにとって最もいい立ち位置。
神獣の目を見る。
静かな、怒り。
思い当たることがある。
クリスが何か言いたそうにしたが、僕は、目で合図をした。
クリスの部隊も、警戒はしつつも、僕を見守ってくれている。
「神獣様。」
僕は誠意をもって片膝をついた。
「神聖な山に立ち入り、騒ぎを起こし、山の者の血を流してしまったことをお詫びします。
今回の過ちは、僕の中で永遠に楔のように残るでしょう。
もはやこのような愚かなことはしない。
過ぎたことは返ってきません、謝罪など意味をなさないかもしれませんが、
申し訳ありませんでした…。」
『人の子の王子よ。分かってくれてうれしい。だが、私の山から勝手にものを持ち出されては困る。』
「…申し訳ありません。勝手な、たいへん勝手なお願いですが、今回だけ!私にブルーローズをわけていただけないでしょうか!?」
『なぜ、この花を望む?』
「この花は、人に勇気を与えると聞いています。不思議と、見ていると心が落ち着き、力が湧いてくるのを感じます。私には、ずっと前からともに人生を歩んでほしい、妃として隣に立ってほしいと願う女性がいます。彼女へ心を伝えるための勇気が欲しかったのです。」
『ふむ…。だが、それは渡せないな。それを持ち出されては、二度とこの花は咲くことがなくなってしまう。それに、地上に持って帰っても、すぐ枯れてしまうだろう。』
「そんな…」
竜が優しくほほ笑んで、鼻先をふいっと横にして、合図をした。
その方向ーーーー隣にいるアンジュを見る。
アンジュは剣をおろし、僕の隣にひざまずいて、頬を染め、潤んだ瞳で、僕の顔をじっと見ていた。
「あっ、あのねっ、それってもしかして…。」
「アンジュのことだよ。僕はアンジュに僕のお嫁さんになってほしいんだよ。」
「私、お茶会や社交界なんて開けないわ!刺繍だってできないのよ?」
「構わないよ。」
「騎士団の仕事好きだわ!」
「僕も騎士の君が好きだよ。どんな君でも君なら好きなんだよ。」
アンジュが泣き出し、僕の肩に縋りついた。
『ほら、ブルーローズは要らなかっただろう?』
いえ、ブルーローズがあったから。
僕は勇気を出せた。
「ありがとうございました。ブルーローズはお返しします。」
容器ごと差し出すと、神獣の懐にブルーローズは消えていった。
『人の子の王子よ、祝いにこれをやろう。ブルーローズの代わりと言っては何だが。』
手を差し出すと、青い、しずくのようなキラキラした石。
『愛する者にくれてやるといい。』
そういって、神獣は消えていった。
帰り道はスムーズで。
城に戻ると、陛下も母も、アンジュの両親も待っていた。
そして、なぜか親戚の公爵がクリスを回収していった。
クリスが青い顔をしていたけど、何か二人の間にあるのだろうか。
アンジュと僕の距離は近くなり、騎士団長は怒っていたけど、ミレニア様にたしなめられて、無事、僕らは婚約者になることができた。
卒業したら結婚するけど、アンジュは騎士団にも入る予定。
本来は王子の方が騎士団の仕事をするんだけど、アンジュに任せようかなと思っている。
僕はボランティアとか、社交界とかその他もろもろの事務をすればいいよね。
「そういえば、おまえ、学園で側近候補は見つかったか?」
陛下に尋ねられた。
「僕はできれば、クリスがいいです。」
「なぜ?年も6つくらい離れてるだろう。」
「僕が暴走したら、止めてほしい。僕が過ちをおかしそうになったら、たしなめてほしい。それができるのが、クリスだからです。」
「わかった。」
クリスの叫び声が聞こえてきそうだけど、僕らに付き合ってもらうことにしよう。
誰もが息をのんだ。
「ディヴィッド様!私がお守りします! 下がって!!」
アンジュが剣を抜き、僕の前に立つ。
「アンジュ、ありがとう。でもお願い。横にいて。」
「は、はい…。」
アンジュを制して、アンジュの隣に進む。
本当はアンジュを僕が守りたい。
だけど、きっとこれが僕たちにとって最もいい立ち位置。
神獣の目を見る。
静かな、怒り。
思い当たることがある。
クリスが何か言いたそうにしたが、僕は、目で合図をした。
クリスの部隊も、警戒はしつつも、僕を見守ってくれている。
「神獣様。」
僕は誠意をもって片膝をついた。
「神聖な山に立ち入り、騒ぎを起こし、山の者の血を流してしまったことをお詫びします。
今回の過ちは、僕の中で永遠に楔のように残るでしょう。
もはやこのような愚かなことはしない。
過ぎたことは返ってきません、謝罪など意味をなさないかもしれませんが、
申し訳ありませんでした…。」
『人の子の王子よ。分かってくれてうれしい。だが、私の山から勝手にものを持ち出されては困る。』
「…申し訳ありません。勝手な、たいへん勝手なお願いですが、今回だけ!私にブルーローズをわけていただけないでしょうか!?」
『なぜ、この花を望む?』
「この花は、人に勇気を与えると聞いています。不思議と、見ていると心が落ち着き、力が湧いてくるのを感じます。私には、ずっと前からともに人生を歩んでほしい、妃として隣に立ってほしいと願う女性がいます。彼女へ心を伝えるための勇気が欲しかったのです。」
『ふむ…。だが、それは渡せないな。それを持ち出されては、二度とこの花は咲くことがなくなってしまう。それに、地上に持って帰っても、すぐ枯れてしまうだろう。』
「そんな…」
竜が優しくほほ笑んで、鼻先をふいっと横にして、合図をした。
その方向ーーーー隣にいるアンジュを見る。
アンジュは剣をおろし、僕の隣にひざまずいて、頬を染め、潤んだ瞳で、僕の顔をじっと見ていた。
「あっ、あのねっ、それってもしかして…。」
「アンジュのことだよ。僕はアンジュに僕のお嫁さんになってほしいんだよ。」
「私、お茶会や社交界なんて開けないわ!刺繍だってできないのよ?」
「構わないよ。」
「騎士団の仕事好きだわ!」
「僕も騎士の君が好きだよ。どんな君でも君なら好きなんだよ。」
アンジュが泣き出し、僕の肩に縋りついた。
『ほら、ブルーローズは要らなかっただろう?』
いえ、ブルーローズがあったから。
僕は勇気を出せた。
「ありがとうございました。ブルーローズはお返しします。」
容器ごと差し出すと、神獣の懐にブルーローズは消えていった。
『人の子の王子よ、祝いにこれをやろう。ブルーローズの代わりと言っては何だが。』
手を差し出すと、青い、しずくのようなキラキラした石。
『愛する者にくれてやるといい。』
そういって、神獣は消えていった。
帰り道はスムーズで。
城に戻ると、陛下も母も、アンジュの両親も待っていた。
そして、なぜか親戚の公爵がクリスを回収していった。
クリスが青い顔をしていたけど、何か二人の間にあるのだろうか。
アンジュと僕の距離は近くなり、騎士団長は怒っていたけど、ミレニア様にたしなめられて、無事、僕らは婚約者になることができた。
卒業したら結婚するけど、アンジュは騎士団にも入る予定。
本来は王子の方が騎士団の仕事をするんだけど、アンジュに任せようかなと思っている。
僕はボランティアとか、社交界とかその他もろもろの事務をすればいいよね。
「そういえば、おまえ、学園で側近候補は見つかったか?」
陛下に尋ねられた。
「僕はできれば、クリスがいいです。」
「なぜ?年も6つくらい離れてるだろう。」
「僕が暴走したら、止めてほしい。僕が過ちをおかしそうになったら、たしなめてほしい。それができるのが、クリスだからです。」
「わかった。」
クリスの叫び声が聞こえてきそうだけど、僕らに付き合ってもらうことにしよう。
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