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魔女の誕生 R18注意(かわいそう注意)
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「たいへんです!陛下!」
レオは陛下の執務室に駆け込んだ。
カルマンだと思った。
皆、そう思っていた。
家族を捨て、牢を出たカルマン。
そして対照的に刑罰に処せられるウイッチ。
大人しく連行され、薄汚い犯罪者の牢に放り込まれ、処女を散らし、泣き叫ぶその女に、あるはずのないものがあると呼ばれた官吏が確認した。
標準よりやや小ぶりだが男の象徴。
官吏は執行を止めさせ、駆けつけたレオはその者を清めて治療させるよう指示を出した。
そして今、急ぎ陛下の元へ。
「………陛下、刑の執行を受けていたウイッチは…っ、カルマンでした!」
「何っ!!?…確かに、城を出たのはカルマンで、連行したのはウイッチだったはず…!」
「二人は兄妹だけあって素顔はとても似ていました。」
「だが、似てると言っても…髪の長さだって違うし…。いくらなんでも。」
「幻覚の粉がカルマンに付着していました。行為の最中に落ちたようです……が。」
苦々しくレオは拳を握る。
レオは少なからずカルマンを好ましく思っていた。
それは、陛下も同じだった。
真摯に丁寧に、真面目に。城内で仕事をしていたカルマン。
助けた衛兵も、官吏も。みんなカルマンのことは好きだった。
親や妹の巻き添えで処刑せねばならないことに心を痛め、せめて処刑はギロチンではなく、彼だけは王族の処刑の際に用いられる毒杯を。そう思っていたくらいだ。
「なんていうことだ。ああ、カルマン。そして、我々はあの女を野に放ってしまった…のか。」
「それより陛下。幻覚の粉なんて今日日書物でしか見られないものです。アイスノン医師は正しき魔女の末裔です。治療にあたった彼が、本物の幻覚の粉だと言っていたのです。つまり、二人に魔法をかけた本物の『魔女』がいる。」
「マジョカ。」
「間違いありません。ウイッチが『魔女』なら、ならず者を雇うなんて足がつくことをやる必要はありませんからね。」
その日の朝。タルト=アップルとマジョカ=アップルの処刑が前倒しで行われた。
マジョカ=アップルが魔女であることが判明し、早急に処刑する必要があったからである。
それは、矢のような速さで国中に伝令された。
そして、マジョカの首が胴体と別れた瞬間、これまで他国の公爵令嬢だとされていた彼女の出自が、そう思わされていたものだということが分かった。
「はははははっははははっははははは!!!私が一番美しい!私が!この私が!!いいでしょう。この私はココで終わり。はははははははは!!!!!!!!!!!!」
そしてこのニュースを本島から離れた離島の一つから眺めていた女は。
「ふふふ。全てわかったわ。お母さまは私。私はお母さま。二つに分かれていたものが今一つになった。………さぁどうしてくれようかしら。スノウ。お前さえいなければ…。」
新しい魔女が、今、産声をあげた。
レオは陛下の執務室に駆け込んだ。
カルマンだと思った。
皆、そう思っていた。
家族を捨て、牢を出たカルマン。
そして対照的に刑罰に処せられるウイッチ。
大人しく連行され、薄汚い犯罪者の牢に放り込まれ、処女を散らし、泣き叫ぶその女に、あるはずのないものがあると呼ばれた官吏が確認した。
標準よりやや小ぶりだが男の象徴。
官吏は執行を止めさせ、駆けつけたレオはその者を清めて治療させるよう指示を出した。
そして今、急ぎ陛下の元へ。
「………陛下、刑の執行を受けていたウイッチは…っ、カルマンでした!」
「何っ!!?…確かに、城を出たのはカルマンで、連行したのはウイッチだったはず…!」
「二人は兄妹だけあって素顔はとても似ていました。」
「だが、似てると言っても…髪の長さだって違うし…。いくらなんでも。」
「幻覚の粉がカルマンに付着していました。行為の最中に落ちたようです……が。」
苦々しくレオは拳を握る。
レオは少なからずカルマンを好ましく思っていた。
それは、陛下も同じだった。
真摯に丁寧に、真面目に。城内で仕事をしていたカルマン。
助けた衛兵も、官吏も。みんなカルマンのことは好きだった。
親や妹の巻き添えで処刑せねばならないことに心を痛め、せめて処刑はギロチンではなく、彼だけは王族の処刑の際に用いられる毒杯を。そう思っていたくらいだ。
「なんていうことだ。ああ、カルマン。そして、我々はあの女を野に放ってしまった…のか。」
「それより陛下。幻覚の粉なんて今日日書物でしか見られないものです。アイスノン医師は正しき魔女の末裔です。治療にあたった彼が、本物の幻覚の粉だと言っていたのです。つまり、二人に魔法をかけた本物の『魔女』がいる。」
「マジョカ。」
「間違いありません。ウイッチが『魔女』なら、ならず者を雇うなんて足がつくことをやる必要はありませんからね。」
その日の朝。タルト=アップルとマジョカ=アップルの処刑が前倒しで行われた。
マジョカ=アップルが魔女であることが判明し、早急に処刑する必要があったからである。
それは、矢のような速さで国中に伝令された。
そして、マジョカの首が胴体と別れた瞬間、これまで他国の公爵令嬢だとされていた彼女の出自が、そう思わされていたものだということが分かった。
「はははははっははははっははははは!!!私が一番美しい!私が!この私が!!いいでしょう。この私はココで終わり。はははははははは!!!!!!!!!!!!」
そしてこのニュースを本島から離れた離島の一つから眺めていた女は。
「ふふふ。全てわかったわ。お母さまは私。私はお母さま。二つに分かれていたものが今一つになった。………さぁどうしてくれようかしら。スノウ。お前さえいなければ…。」
新しい魔女が、今、産声をあげた。
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