18 / 63
カルマンは死んだ
しおりを挟む
駄目な父親。
自分が一番の母親。
傲慢な妹。
皆外面だけよくて、欠点ならいくらでも思い浮かべることが出来る。
だけれど、血の分けた家族だった。
家族の罪ならば、私にも責任がある。
ずっと近くにいたのだから、察することはできたかもしれない。
遠くに追いやられていたからこそ、陛下に進言することだってできたかもしれない。
私はそれなりに信頼を得て、陛下のお側にいたのだから。
何もしなかった。
それが自分の罪だと思った。
だから、皆と一緒に処刑されるつもりで、そう…。そのつもりでいたのに。
裏切られた。
妹は自分の振りをして、牢を出て行った。
妹や父親が使ったならず者達に体を暴かれ、裂かれるような痛みに涙し、情けなくも叫び声をあげた。
そして、意識を失った。
体を汚されて、心も打ち砕かれて、そうして自分は死ぬのだと。そう思いながら………。
「……ルマン。カルマン!」
「う……。」
体中が痛い。だけどふかふかの清潔なベッドの上で、自分は見覚えのある天井を見る。
ここは――――
「よかった!目が覚めたか!」
「へっ、陛下!レオ……様っ……………っッ!」
がばっと起き上がろうとして、痛みに震える。
「いい、そのまま。寝ていなさい。」
「発言を…お許しください。私……私はどうして、ここに。私は……」
「カルマン。君の両親は今朝方処刑した。妹の方は、指名手配中だ。」
「私は…。どうして。」
「カルマン。君を陥れて自分だけ逃げるような女、君を陥れるような家族。そんなもの捨ててしまえ。」
「王命である。今日この時をもって、カルマン=アップルは死んだ。これからは、ルティ=シャドゥと名乗り給え。そして、君には私のために働いてもらう。アップル公爵家の領地を王族の直轄地としたはいいが、どうにも管理に人手が足りなくてね。常駐の管理人を置く必要があるのだよ。一切、社交に出ることもない。日陰の生活だが、重要な仕事だ。処刑されるよりも、そうやって償ってくれた方が私としてもありがたいのだがね。」
「ありが…とう、ございますっ。」
涙が出て止まらない。
貴族が泣くなど、おかしいのに。
そっと、客間を出て、レオは陛下を見送り、アイスノン医師と2人になった。
「それでは、カルマンをよろしくお願いします。」
「ああ。任せて。妹の方だが、『魔女』は子を産むが、自分の『分身』も産む。もし次の魔女になっていたらなかなか見つからないだろう。俺も協力するから、そのことを心に止めてほしい。」
「分かった。」
「それから」
「それから?」
「カルマンも両性だな。両性にもいろいろあって、固く閉じて分かりにくいのもある。世話を一切侍女や乳母に任せるお貴族様なら尚のこと気づかねえだろう。罪人共が幻覚が解けるまで気づかなかったのもそのせいさ。あの子は本当に処女を散らしたんだ。そういうのがきっかけで、性が目覚めていくこともある。これから体が変化して、困惑することもあるだろう。心も体も傷ついている。お前、親友だろ?支えてやれよ。」
カルマン、いや…ルティが――――――――――
「分かった。」
レオは承知して、アイスノンに軽く手を振った。
自分が一番の母親。
傲慢な妹。
皆外面だけよくて、欠点ならいくらでも思い浮かべることが出来る。
だけれど、血の分けた家族だった。
家族の罪ならば、私にも責任がある。
ずっと近くにいたのだから、察することはできたかもしれない。
遠くに追いやられていたからこそ、陛下に進言することだってできたかもしれない。
私はそれなりに信頼を得て、陛下のお側にいたのだから。
何もしなかった。
それが自分の罪だと思った。
だから、皆と一緒に処刑されるつもりで、そう…。そのつもりでいたのに。
裏切られた。
妹は自分の振りをして、牢を出て行った。
妹や父親が使ったならず者達に体を暴かれ、裂かれるような痛みに涙し、情けなくも叫び声をあげた。
そして、意識を失った。
体を汚されて、心も打ち砕かれて、そうして自分は死ぬのだと。そう思いながら………。
「……ルマン。カルマン!」
「う……。」
体中が痛い。だけどふかふかの清潔なベッドの上で、自分は見覚えのある天井を見る。
ここは――――
「よかった!目が覚めたか!」
「へっ、陛下!レオ……様っ……………っッ!」
がばっと起き上がろうとして、痛みに震える。
「いい、そのまま。寝ていなさい。」
「発言を…お許しください。私……私はどうして、ここに。私は……」
「カルマン。君の両親は今朝方処刑した。妹の方は、指名手配中だ。」
「私は…。どうして。」
「カルマン。君を陥れて自分だけ逃げるような女、君を陥れるような家族。そんなもの捨ててしまえ。」
「王命である。今日この時をもって、カルマン=アップルは死んだ。これからは、ルティ=シャドゥと名乗り給え。そして、君には私のために働いてもらう。アップル公爵家の領地を王族の直轄地としたはいいが、どうにも管理に人手が足りなくてね。常駐の管理人を置く必要があるのだよ。一切、社交に出ることもない。日陰の生活だが、重要な仕事だ。処刑されるよりも、そうやって償ってくれた方が私としてもありがたいのだがね。」
「ありが…とう、ございますっ。」
涙が出て止まらない。
貴族が泣くなど、おかしいのに。
そっと、客間を出て、レオは陛下を見送り、アイスノン医師と2人になった。
「それでは、カルマンをよろしくお願いします。」
「ああ。任せて。妹の方だが、『魔女』は子を産むが、自分の『分身』も産む。もし次の魔女になっていたらなかなか見つからないだろう。俺も協力するから、そのことを心に止めてほしい。」
「分かった。」
「それから」
「それから?」
「カルマンも両性だな。両性にもいろいろあって、固く閉じて分かりにくいのもある。世話を一切侍女や乳母に任せるお貴族様なら尚のこと気づかねえだろう。罪人共が幻覚が解けるまで気づかなかったのもそのせいさ。あの子は本当に処女を散らしたんだ。そういうのがきっかけで、性が目覚めていくこともある。これから体が変化して、困惑することもあるだろう。心も体も傷ついている。お前、親友だろ?支えてやれよ。」
カルマン、いや…ルティが――――――――――
「分かった。」
レオは承知して、アイスノンに軽く手を振った。
59
あなたにおすすめの小説
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
【完結】最初で最後の恋をしましょう
関鷹親
BL
家族に搾取され続けたフェリチアーノはある日、搾取される事に疲れはて、ついに家族を捨てる決意をする。
そんな中訪れた夜会で、第四王子であるテオドールに出会い意気投合。
恋愛を知らない二人は、利害の一致から期間限定で恋人同士のふりをすることに。
交流をしていく中で、二人は本当の恋に落ちていく。
《ワンコ系王子×幸薄美人》
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!
迷路を跳ぶ狐
BL
悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。
その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。
ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。
出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。
しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。
あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。
嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。
そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。
は? 一方的にも程がある。
その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。
舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。
貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。
腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。
だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。
僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。
手始めに……
王族など、僕が追い返してやろう!
そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる