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エンディング エリムルート①

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「…――――卒業生代表、エリム=ビューア。」


目が見えるようになったエリムは、俺が教えなくても勉強できるようになって。
卒業する頃には、逆に俺が教わるくらい。

もちろん勉強だけでなく、体も鍛えて、剣術もうまくなって。



壇上で代表スピーチをしてキラキラしている。

背筋を伸ばしてこちらへ帰ってくるけど、みんながエリムをうっとりと眺めているのがよく分かった。


あ。

今こっち見た。



軽ーく、手を振って応える。




俺の方は、外交をやる高級官吏を目指してるから、めちゃくちゃ頑張った。

ホワイト伯爵家の両親やレオお兄様が言うには、元々学園を卒業するレベルはあったらしいけど、『学園を良い成績で卒業した』という箔が欲しかったから。

外国語も5か国語は喋れるようになったけど、エリムは8か国語喋れるんだよなぁ。

どの学問でも研究者になってもおかしくないくらい精通してるし、結局卒業時の順位は俺が2位でエリムが1位だ。



目が見えなくて教科書が読めなくて、ノートもとれなくて、元々1回聞くだけでなんとかしていたのだから、凄い集中力だし、飲み込みがすごく早いんだ。


見えるようになって、図書館で本を読み漁り、ありとあらゆる知識を本から吸収して。



保護者席にいらっしゃったビューア侯爵は、ものすっごい得意顔だったなぁ。





社交界ではエリムの実家は、『立派な長男を追い出した後妻とぼんくらの次男を後継者にした無能な当主」と言われている。



因果応報だ。






卒業証書を手に、在校生や保護者に祝福されて、講堂を出た。

もう、ここに帰ってくることはないんだな。



「スノウ!」

「スノウ様。」


「エリム!ユーリカ様。」


「あっという間でしたわね。もう学生としては会えませんけれど、私も城勤めが無事決まりました。スノウ様も外交部署でしたわね。おめでとうございます。」

「ユーリカ様もおめでとう。エリムは侯爵家で仕事を継ぐのだよね。」


「そうだね。これから後継者教育や引継ぎもあるからね。」



「スノウ、エリム、ユーリカ嬢。卒業おめでとう。」



ジョエルもやってきた。

1年間の臨時教師を終えて、ジョエルも王太子業務に専念することになる。


真っ白なスーツが王太子然としていて眩しい。




「スノウ、今夜の卒業パーティ。私のエスコートで出てくれるだろうか。」


「ジョエル様。スノウには私も衣装を贈っています。あくまでも決めるのはスノウですから。」

「ああ。そうだな。すまない。」



俺って気が多いんだろうか。


いまだにエリムとジョエルと、二人の素敵な貴公子に求められながら、決めかねている。



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