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エンディング ジョエルルート①

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「………さぁ、処刑の日だ。魔女ウイッチ。」


薄暗い処刑場に連れてこられた女。

かつて私の婚約者として、ともに育ち、学園に通った。

エスコートしたことも婚約者の責務としてドレスを贈ったことも山ほどある。


何事もなければ、私の妻として今頃は城で多くの侍女を引き連れていただろう。


黒髪と黒い瞳が美しかった女は、性根の醜さが滲み出た老婆になっていた。



「う、うう…。私は、妃になりたかった、それだけなのに。」


「君は唯一のこの国の公爵令嬢だった。他人を蹴落とすために裏で犯罪を繰り返し、上手くいかなくなれば呪おうとするような者でさえなければ、私は君を妻にしていただろう。例え、君の両親に罪があったとしても。君と過ごした年月はなんだかんだと長い。君の兄が許されたように、許される道もあった…。すべては君自身がまいたことだ。誰のせいでもない。……まあ、もはや魔女の力は失って何もできないだろうが。」



「貴族の世界では、目的のために相手を陥れることなんて日常茶飯事だわ!何が悪いの!」


「たとえそうだとしても、やっていいことと悪いことがあるということだ。それが分からないから、君は今、こうなっているんだよ。」

情報を入手し、出し抜くとか。
そういう類なら問題ない。

犯罪者を雇って襲わせるなんて悪質極まりない。



「君にプレゼントがあるんだ。善き魔女が誂えて、聖女が磨いた全身鏡だよ。君にとっては一番応えるだろう。自らの行いが招いたことを自覚していくがいい。」


「あぁああ、いや、ちがう。こんなおばあさん、私なものですか!私は、私は誰より美しいのよ!!!!」



ギロチンの刃が落ち、魔女は死んだ。


「最後の『魔女』が逝きましたね。これで、俺らも肩の荷が下りますよ。」


影で控えていたアイスノンが出てきて、あたりを浄化し、魔女の体を焼いた。




ウイッチの体だったモノを見ながら、鬱な気持ちになる。




「少しは情がありましたか。」


「私だって人間だからね。偽りの姿だったが、婚約者として接していたわけだから。彼女に対して、愛はなかったが。」


「そういえばね、俺があの子を影にスカウトしたんですよ。あなたとの『運命』が見えた。婚約者と正式に縁が結ばれる前に、どうにかなればいいなと、任務としてあなたの側に送り出しました。」


「…そうだったのか。だがあれはいただけないぞ?ピンクの鬘は違和感があった。」


「でも俺、グッジョブでしょ?『魔女』と結婚しないですんだわけだし。だからね、お節介おじさんはお節介をやきますよ?ジョエル殿下。近々卒業パーティがありますよね?多少強引でもいいです。貴方の気持ちをストレートにあの子にぶつけてやってくださいよ。いいですか?あの子は逃げるでしょう。でも、絶対手を離さないで。あの子が欲しいなら。そうしなければ、運命は切れますよ。」



「分かった。」




その言葉はぐさりと胸に沈んだ。
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