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聖女の奇跡
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治す?
帝国の医師も回復術者も治せなかった。
既に眼球を失い、長くなるのに。
ブラウン王子は緊張に、一歩後ろに足が行きかけて、留まった。
「じっとしていてくださいね。」
優しい、甘い声。
そうだ。ダメで元々だ。
期待しないで、身を任せてみよう。
どうせ今より酷いことにはならないのだから。
「神様、どうかこの方に新しい光をお与えください。」
声とともに、瞼の奥が温かくなる。
内側から何かができる感覚。
これは……。
ぱち、ぱちっ。
瞼が動く。
引きつった感覚がない。
おそるおそる瞼を開く。
その先には、よかった!とほほ笑む天使がいた。
新雪のように白い肌、白い髪。ルビーのような瞳が神々しくて。
「………ああ。あっ、見えます!見え……っ。」
「おお…!これはっ。ありがとう、ありがとうリリー。いや、聖女リリー様。」
陛下も玉座から立ち上がり、天使のような聖女様の手を両手で包むように握りしめる。
「聖女だなんて、こそばゆいです。こういった能力が目覚めた人の称号で、性別も関係ないって理解はしているんですけど。」
天使ははにかみ、続けた。
「もしよろしければ……上の王子様も見させていただけないでしょうか。」
「ああ…、ダメでも構わない…!」
お城の王族のプライベートエリアを奥へ進み、一室の前につく。
扉を開けると、薄いカーテンがゆらゆら揺れ、その中に大きなベッド。
帝国の技術力だろう。
よく分からない管がいっぱい体について、手足は痩せている。
眠っているその人はチャーリーにもよく似ていて、ブラウン様の銀色とは違う、やや暗いストロベリーブロンド。
「兄は、頭がよくて、リーダーシップもあって。剣にも優れる人でした。学園を卒業し、騎士団を統率していたのです。将来の王として、申し分ない人だった。あんなに逞しい人だったのに、こんなに弱弱しくなってしまった。リリー様、どうか兄をお救いください。」
ブラウンの青い眼から涙が一筋落ちた。
「任せてください。」
僕は、力いっぱい祈った。
光があふれて、弾けて。
あ、魔力枯渇。
ぽすん、と体を支えてくれたチャーリーのぬくもりと匂いを感じて、僕は気を失った。
帝国の医師も回復術者も治せなかった。
既に眼球を失い、長くなるのに。
ブラウン王子は緊張に、一歩後ろに足が行きかけて、留まった。
「じっとしていてくださいね。」
優しい、甘い声。
そうだ。ダメで元々だ。
期待しないで、身を任せてみよう。
どうせ今より酷いことにはならないのだから。
「神様、どうかこの方に新しい光をお与えください。」
声とともに、瞼の奥が温かくなる。
内側から何かができる感覚。
これは……。
ぱち、ぱちっ。
瞼が動く。
引きつった感覚がない。
おそるおそる瞼を開く。
その先には、よかった!とほほ笑む天使がいた。
新雪のように白い肌、白い髪。ルビーのような瞳が神々しくて。
「………ああ。あっ、見えます!見え……っ。」
「おお…!これはっ。ありがとう、ありがとうリリー。いや、聖女リリー様。」
陛下も玉座から立ち上がり、天使のような聖女様の手を両手で包むように握りしめる。
「聖女だなんて、こそばゆいです。こういった能力が目覚めた人の称号で、性別も関係ないって理解はしているんですけど。」
天使ははにかみ、続けた。
「もしよろしければ……上の王子様も見させていただけないでしょうか。」
「ああ…、ダメでも構わない…!」
お城の王族のプライベートエリアを奥へ進み、一室の前につく。
扉を開けると、薄いカーテンがゆらゆら揺れ、その中に大きなベッド。
帝国の技術力だろう。
よく分からない管がいっぱい体について、手足は痩せている。
眠っているその人はチャーリーにもよく似ていて、ブラウン様の銀色とは違う、やや暗いストロベリーブロンド。
「兄は、頭がよくて、リーダーシップもあって。剣にも優れる人でした。学園を卒業し、騎士団を統率していたのです。将来の王として、申し分ない人だった。あんなに逞しい人だったのに、こんなに弱弱しくなってしまった。リリー様、どうか兄をお救いください。」
ブラウンの青い眼から涙が一筋落ちた。
「任せてください。」
僕は、力いっぱい祈った。
光があふれて、弾けて。
あ、魔力枯渇。
ぽすん、と体を支えてくれたチャーリーのぬくもりと匂いを感じて、僕は気を失った。
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