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ご招待
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「遠いところをありがとうございます。まだまだ道半ばですが・・・。」
俺は、クロス王国から国王を招いた。
本来ならば、自分たちから行くべきところだが、今の国内の状況で留守にすることはできない。
そういうと、ブルックは、自分があいつらのリーダーになってないからだと、申し訳ないと頭と耳を垂れた。
獣人の王である『リーダー』とは、最も大きく強い個体がなるらしい。
今の彼らは、群れのリーダーを失い、統率がとれていないが、リーダーを倒した俺を仮初のリーダーとしてみなし、従っている状態だということだ。
前王も、老いて肥え太ってはいたが、若い頃は筋骨隆々だったそうだし、そういえば横だけでなく、縦もかなり大きかった。3メートルくらいはあったかもしれない。
将軍職をやっているくらいだから、血筋はさておき、今いる獣人の中ではお前が一番強い個体なのではないか?と聞くと、後継者候補だったシリウスという男の方が、体も大きいし強いのだという。
後継者だったから戦場に出さなかったというのもあるが、狡猾さはあっても、戦いの場での指揮力はブルックが上だったのだそうだ。
突然の招待にも、快く来てくれたクロス王のクリスタル陛下は、ブルックを一目みて、なぜ招待されたか理解してくれた。
俺の個室で、涙を流す。
「…なんと不思議な縁だろうか。助けたシン王の夫が私の孫で、キィは私のひ孫だったのか。」
宗教国の堅苦しさを嫌い、外の世界を見たいと言って帰ってこなかった大事な息子が、獣人の国に囚われていたなんて。
どんな思いで、死ぬまで生きていたのだろう。
「母が、持たせてくれたロケットです。あなたに会える時がもし来たら、これを見せて、あなたに『愛してくれてありがとう、ごめんなさい。』と伝えてほしいと。」
「おお…。クルシュ。…体が大きくて頑丈だけが取り柄なやんちゃな子だったのに。こんなに細くなって…。」
「これでも…まだ、面影があるうちにと。こっそりと撮影したのです。」
ロケットの写真を指でなぞりながら、陛下の胸にはどんな思いが去来しているのか。
「図らずも、私はお前の仇をとったのだな…。」
陛下が、ブルックを自分のすぐそばへ呼び寄せる。
「あの子が遺してくれたお前が、あの子によく似ていてくれてよかった。あの男に似ていたら、私は愛せなかったかもしれない…。まだまだ難しい状況だから、私との関係は公表しなくていい。時々、こうして抱きしめさせておくれ。」
「…おじいさま。」
「へぇ…。やっぱりねぇ、あいつの死んだ母親、人間臭いと思ってたらクロス王国の王子だったのか。…こいつは使えるな。」
離れた場所には、白銀の毛並みの2メートル半はある巨躯。
彼に与えられた特異な聴覚によって、聞き耳を立てていた。
自分より小さくて弱いくせに、なぜか手柄をよく立てる。
なぜか部下をうまく使って、功績をたて、将軍にまでなった、腹違いの弟。
昔から、ひどく気に入らなかった。
王さえ許すなら、引き裂いてしまいたいほどに。
あいつがシン王を番にするなんて、うまいことをやってなければ、早々に牙をむくつもりだった。
傀儡にできそうなら、それが手っ取り早いと、宰相の策を様子見し、大人しくしていたのだが。
「ふふふ、やっぱり我慢できないや。キングは俺がならなきゃね。」
あのシンっていう子は、彼自身も人間の王という立場もすごく魅力的だから、自分の番に変えてしまおうか。
他の獣人が番にした者を番にすることは普通はできないけど、群れのリーダーならそれができる。
俺は、クロス王国から国王を招いた。
本来ならば、自分たちから行くべきところだが、今の国内の状況で留守にすることはできない。
そういうと、ブルックは、自分があいつらのリーダーになってないからだと、申し訳ないと頭と耳を垂れた。
獣人の王である『リーダー』とは、最も大きく強い個体がなるらしい。
今の彼らは、群れのリーダーを失い、統率がとれていないが、リーダーを倒した俺を仮初のリーダーとしてみなし、従っている状態だということだ。
前王も、老いて肥え太ってはいたが、若い頃は筋骨隆々だったそうだし、そういえば横だけでなく、縦もかなり大きかった。3メートルくらいはあったかもしれない。
将軍職をやっているくらいだから、血筋はさておき、今いる獣人の中ではお前が一番強い個体なのではないか?と聞くと、後継者候補だったシリウスという男の方が、体も大きいし強いのだという。
後継者だったから戦場に出さなかったというのもあるが、狡猾さはあっても、戦いの場での指揮力はブルックが上だったのだそうだ。
突然の招待にも、快く来てくれたクロス王のクリスタル陛下は、ブルックを一目みて、なぜ招待されたか理解してくれた。
俺の個室で、涙を流す。
「…なんと不思議な縁だろうか。助けたシン王の夫が私の孫で、キィは私のひ孫だったのか。」
宗教国の堅苦しさを嫌い、外の世界を見たいと言って帰ってこなかった大事な息子が、獣人の国に囚われていたなんて。
どんな思いで、死ぬまで生きていたのだろう。
「母が、持たせてくれたロケットです。あなたに会える時がもし来たら、これを見せて、あなたに『愛してくれてありがとう、ごめんなさい。』と伝えてほしいと。」
「おお…。クルシュ。…体が大きくて頑丈だけが取り柄なやんちゃな子だったのに。こんなに細くなって…。」
「これでも…まだ、面影があるうちにと。こっそりと撮影したのです。」
ロケットの写真を指でなぞりながら、陛下の胸にはどんな思いが去来しているのか。
「図らずも、私はお前の仇をとったのだな…。」
陛下が、ブルックを自分のすぐそばへ呼び寄せる。
「あの子が遺してくれたお前が、あの子によく似ていてくれてよかった。あの男に似ていたら、私は愛せなかったかもしれない…。まだまだ難しい状況だから、私との関係は公表しなくていい。時々、こうして抱きしめさせておくれ。」
「…おじいさま。」
「へぇ…。やっぱりねぇ、あいつの死んだ母親、人間臭いと思ってたらクロス王国の王子だったのか。…こいつは使えるな。」
離れた場所には、白銀の毛並みの2メートル半はある巨躯。
彼に与えられた特異な聴覚によって、聞き耳を立てていた。
自分より小さくて弱いくせに、なぜか手柄をよく立てる。
なぜか部下をうまく使って、功績をたて、将軍にまでなった、腹違いの弟。
昔から、ひどく気に入らなかった。
王さえ許すなら、引き裂いてしまいたいほどに。
あいつがシン王を番にするなんて、うまいことをやってなければ、早々に牙をむくつもりだった。
傀儡にできそうなら、それが手っ取り早いと、宰相の策を様子見し、大人しくしていたのだが。
「ふふふ、やっぱり我慢できないや。キングは俺がならなきゃね。」
あのシンっていう子は、彼自身も人間の王という立場もすごく魅力的だから、自分の番に変えてしまおうか。
他の獣人が番にした者を番にすることは普通はできないけど、群れのリーダーならそれができる。
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