紫の魔女とたたかう赤い瞳は金の瞳の騎士にあう

竜鳴躍

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いつもの街のいつもの路地裏で

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いつもの街のいつもの路地裏で、俺はいつものように浮気調査や行方不明のペット探し、時には用心棒など、仕事をこなしながら過ごす。


新聞を見ると、昔の孤児院仲間の活躍に目が留まる。

頭のいいヨーゼフは政治家に。
手先の器用なマシューはファッションデザイナー。
足の悪かったマリアは、世界的に有名なピアニストになっている。

彼らの成功が、自分のことのように嬉しい。



落ち着いた日々。

平穏。

当たり前の、穏やかな幸せ。



自分で淹れたコーヒーを飲んで、ソファに体を沈ませる。



エルが大金を払ってくれたから、当面家賃の心配はしなくてもいい。

生きるために切羽詰まっていないって幸せだなー。



ちりん。

客が来た音にコーヒーと新聞を持って机につく。


「どうぞ。」





飛び込んだのは、赤い瞳。

銀色に波打つ髪。

「ジョージ=クルセイド。依頼よ。」


だが、それは少年ではない。

美しい少女。いや、女性、か。

「エルーシュ=ガーネット。それが私の本当の名前。お願い、貴方は私の聖騎士。貴方のこれからの一生を私にちょうだい。」



横暴で、だけど放っておけない俺の主。



女だったのかよ~~~~~~。

でもまあ、言えねぇよな。俺、元結婚詐欺師で女の敵だもんな。


だけど、今明かしたということは……。





仕方ねえなあ。


「我儘なお姫様。では、私めはこれからどうすれば?」

騎士らしく礼をしてエスコートする。


「そうね、領地に新しく屋敷を構えるの。教育施設と就労支援施設を備えた孤児院を建てて、農場経営したいのよ。手伝ってくれるわよね?」




「仰せのままに。」


俺がそう言うと、エルはほっとしたように笑った。












いつからかしら。

ジョンの魂が心地いいと感じるようになったのは。

船に乗り込むときに女性にしたのは、私の嫉妬だったのかしら。


全てが終わって、何もなくなった領地に戻った。

お金は幸い、ある。


でも、お金はすぐになくなるもの。

何か仕事をしたいけど、人に役立つ仕事をしたい。


ジョンは孤児院育ちで苦労したって聞いていたから、同じような人たちの役に立てるような仕事がいいんじゃないかって。

そう考えて、なんで、ジョンのことを思うんだろうって。


気が付けば、またあの路地裏に来ていた。



ジョンともう離れたくない。


きっとジョンは私のことなんて、弟分か困った主くらいにしか思ってないだろうけど。







――――――――――やっとこれから、私たちは自分たちの物語を始めるのだ。
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スパークノークス

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2021.08.19 竜鳴躍

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解除

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