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遅れてきた思春期<前>

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ティラミスたちは、1か月くらい滞在してくれて、スパイス王国の技術者たちに指導をしてくれた。

嬉しいなぁ。

でも、問題が一つあったんだ。



下水道の汚水を浄化するための素材がない。


魔法や科学で生成できないそれは、雪深い聖なる山の聖獣と交渉して分けてもらわなければならないんだって。



それで、ティラミスたちが帰国した後。

僕らは山に来ているんです。






「もぉ~!遅いよ、アニス様!!早くしなきゃ日が暮れちゃうよ!山の天気は変わりやすいんだから!」

「……なっ、なんでソルトはあんなに元気、なんだ…っ。」



そこそこ鍛えているはずなのに、二人の歩く速度が速すぎて辛い。

カモミール団長が私を見る目が…勝ち誇っていて、辛い!


「王子殿下は麓で休憩されていたらよろしかったのに。無理ならおぶってさしあげましょうか?」


「いい!がんばる!」


雪山装備でもこもこのソルトが可愛い。


ケーキ王国の王子も、かつてこの山に登って浄化の力を宿した宝石を分けていただいたらしい。

他所の国の王子にできて、私にできない、わけがないっ!






私は私なりに頑張った。

結論を言おう、足をひっぱった。

そのせいで行程に遅れが生じ、吹雪に巻き込まれてしまった。



そして、今、3人で山小屋にいる。



「結構しっかりしたところだね。」


ソルトがきょろきょろ中を見渡している。


「こういう場所は、安全の確保のために山道には設置されているものだ。キッチンと風呂なども付いていると思うが。」

「ほんとうだ!ちょっと狭いけどお風呂がある!お風呂うれしいな!」



うう、何か私にできることはないだろうか。

ソルトに頼りにされたい。

すごいね、って言ってもらいたい。



……変に嫉妬心なんか出さず、落ち着いて待っておくべきだった。

将来のために、今回の失敗は肝に銘じておこう…。

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