【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍

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愛する者を狙う者

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第二王子の婚約者候補は、まさに本当の聖人だった。

防げるなら防げたほうがいい。


医学の道を志した自分にとってもまぶしい言葉だ。


そうだ。


医者になりたいって、最初に思った時は、自分だってそう考えてたじゃないか。



ミリーは思う。



どうしてこうなってしまったのだろう。

医者になりたい。回復魔法や病やけがを治癒させるための技術や知識を習得したい。



それが、教会で育った孤児の自分が抱いた思いだった。



子どもだったから深く知らず、教会に治療を求めて頼ってくる人たちを見て、そう思ったのだ。

ツェッペリン大司教は、そんな僕の気持ちを察して、お金を出して学校に通わせてくれた。

だが、そこからが地獄の始まり。



大司教が求めれば、体を差し出した。

大司教に命じられれば、人を呪う禁呪に手を出した。

大司教に命じられれば、人を殺すこともある。



なんでそこまでするか?なんで逃げないか?

逃げられるわけがない。

教会には、自分と兄弟のように育った者たちが、今も教会の闇を知らずに修道士としてあいつに仕えている。

子どもの頃好きだった女の子は、教会で下働きとして働いている。




カタン。



屋根の板が一枚外され、上から低い声がする。




「ミリー。命令を忘れたか。なぜあいつらに毒を盛らなかった。みすみす帰して。」


あいつの実行部隊のリーダーだ。



「………毒なんてすぐ足がつく。ここは俺の表の場所だ。ここではやれない。分かるだろう。でも、何もしてないわけじゃない。」


心の中はドロドロ、あの人の泣き顔を想像して悲しくなる。



「ここに踏み入れた瞬間、呪いの基礎は発動している。今日来ることは分かっていたからね。仕上げは今からだ。」


上着を着て、城へ向かう準備をする。



先ほどの回答をするといえば、尋ねても違和感はないだろう。




「それならいい。いいか、俺たちはお前を見張っているからな。」



「………分かっている。」










「じゃあ、俺は詰所に行くわ。この間、ガトー子爵家から押収が間に合った呪いの瓶とコイツを照合してみる。今度こそアタリだといいけどな。」

御者の格好のカモミール団長は、文官室に二人を送り届けると、アニスの耳元で伝えた。


アニスもコクリと頷く。


ガトー子爵家の令嬢から聞き出した黒ローブの男。

小柄な若い男という条件は当たっている。

教会が病院を気に入らず、ソルトを狙っているということで、現在、教会の子飼いのようになっている診療所の医師が怪しいと踏んだ。

治癒や回復の術を転じたものが呪いだ。
呪いを使えるということは、回復の魔法が使える可能性が高い。



黒ローブの男から、教会の犯行が分かるものに繋がれば。


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