真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

竜鳴躍

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秘密の薔薇

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「あぁ…っ♡お客様っ。そんなに激しくっ…。いやぁ、痛くしちゃやぁっ。」

「可愛い、可愛いよっ♡いちごちゃんっ♡でも、お客様なんてやだなぁ、ドライってよんでほしぃなぁ~♡」

「しょーがないでちゅねぇ、ドライちゃんはボクのおっぱいが大好きな赤ちゃんなんだからぁ~。」

「そーなんでちゅよ~。きいてくれるぅ?うちの妹が邪悪でさぁ…。ボクもう女の子なんてうんざりだよぉ~…。」


『秘密の薔薇』の店内は、清潔感あふれる白を基調とした空間だけど、全部の席が半個室になってて、足元だけ見える状態になっている。
全て囲ってしまうと、キャストに無体を強いる客が出るかららしい。


私は指名まちで自分の席にちょこんと座っている。

周りの声が聞こえてくるからちょっと恥ずかしい…。

あっちからもこっちからもチュパチュパ聞こえる…っ。

アレを今夜も…されちゃうんだ…っ。

今日のお客様はどんな人だろう…。優しい人だといいな…。

気まずくなってしまうから、知り合いじゃなければいいな。



イチゴさんは高位貴族を接客中。

なんかこの声、聞いたことある…。というか、あれ、うちの本家のリーフ公爵家の嫡男じゃ…。

もう30過ぎたおっさん手前なのに、いまだに婚約がまとまらないという…。

(うちの兄でさえ結婚秒読みの婚約者がいるのに…。)

あの席の周りには近づかない、絶対に近づかない!



「はぁっ、ん、んんっ、」

「あああ、まんごぉ、まんごぉ、俺っ、本当は昔からお前のことがぁっ!」

「あん、あんっ。」

マンゴーさんの太くて低めの声が艶っぽい…。

マンゴーさんは、昔の冒険者仲間がお客さんか…。




「……っ、」

「へっ、ザマァないな!侯爵家のお坊ちゃんが今ではこうして身を売ってるわけだ。噂は本当だったとはな。ばっかだなぁ、お前、悪い平民女に騙されて、婚約破棄だなんて。廃嫡されてなぁ。くく、身請けしてやろうか?」

……⁉

「お……私はっ、冤罪だッ!」

「知ってるよぉ?お前を捨てるために一芝居打って、されてもいない婚約破棄騒動…。ハハッ、だがそんなの誰が信じるかね?もったいぶってないで足拓けよ!」

「こ、ここはっ、そこまでする店じゃないっ!」

キウイさん…っ!

我慢ならない!


席を立とうとする私を、オーナーが制した。


「お客様、困りますね。ウチはそういう店じゃないんですよ!」

「ヒィッ!?」



おお…。オーナーはしっかりと追い払ってくれた。

そしてキウイさんに寄り添っているようだ。


「大丈夫?今日はもう休んで、キッチン担当に入りなさいな。」

「ありがとうございます、オーナー。」


……しかし気になる。

この件の所轄は近衛部隊ではないが、騎士団の友人にそれとなく聞いてみようか…。

冤罪というのを聞いたからには放っておけない。




「みかんちゅわぁあああああああああああああああああああん!!!きたよー!」



………全く。

私の殿下が来店したようだ。
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