43 / 89
双子
しおりを挟む
「あぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
陣痛が始まり、部屋を追い出された私は、愛するオランジェの無事を祈ることしかできない。
「ダージ!もう少し落ち着きなさい!!あなたがそうやってグルグルグルグル部屋の前を右往左往しようが、結果は変わらないのよ!」
母上がぷんすかしている。
「生まれたら教えてやるから、こっちに来て仕事をしなさい。気がまぎれるから。」
そういう父上は、首から紐を通した画板を下げて、その上で執務をしている…。
お前の画板もあるよ…って言われても。
「父上も母上もどうしてそう冷静でいられるんですか!私は仕事なんかできませんよ!オランジェが苦しんでる、子どもが生まれようって頑張っているときに!」
「大丈夫よ、セイが中で潜んでるから、何かあったらすぐ教えてくれるし。」
「セイ、狡いっ!」
「オランジェさんのお友達の……チ〇ポさんだったか?回復魔法をかけるために中でついておるし。」
「〇ンポさんじゃないですし。セイたちが中にいるんだったら私も入るぅ!傍で手を握りしめてるぅ!」
「そうよあなた、チン〇さんじゃなくてよ。確かそれは源氏名で、本名はアバッキオだって隊長が…。」
「母上ぇ!もうその話はいいぃ!」
「あのねぇ、あなたが落ち着いていたら中に入れてあげてもよかったけれど、そういう感じだから締め出されているんですよ?仕事も手につかない、落ち着かないって言うならこっちに来て私とレース編みをしなさい。赤ちゃんの涎掛けはいくつあってもいいでしょう?」
「あぁぁあああ、オランジェぇ。オランジェぇ。」
(……外からダージの声がする。おっきな声。)
「がんばって!」
「がんばれぇ!」
オーナーやセイ殿下が応援してくれている。
桃を食べて、どう体が変わるのか不安だったけど、お父様が教えてくれていた。
出産のときには、産道が現れるのだと。
めきめきと肉が分かれて、中から赤ちゃんが出てくる。
この痛みも、辛さも。赤ちゃんのためだったら。
「あぁーーーーーーー、おああー」
すぽんと抜けた感じがして、仔猫のような赤ちゃんの産声が聞こえたら、安心して意識が飛びそうになる。
「待って!もう一つ頭がある!双子だわ!オランジェ、もう一回頑張るのよ!回復魔法をかけてあげるから!」
双子!?
「うぅうう!」
二つ目の産声は、一つ目より小さくて、でも二人とも元気な赤ちゃんだった。
金髪の男の子たち。
おめめも青いのかな?
陣痛が始まり、部屋を追い出された私は、愛するオランジェの無事を祈ることしかできない。
「ダージ!もう少し落ち着きなさい!!あなたがそうやってグルグルグルグル部屋の前を右往左往しようが、結果は変わらないのよ!」
母上がぷんすかしている。
「生まれたら教えてやるから、こっちに来て仕事をしなさい。気がまぎれるから。」
そういう父上は、首から紐を通した画板を下げて、その上で執務をしている…。
お前の画板もあるよ…って言われても。
「父上も母上もどうしてそう冷静でいられるんですか!私は仕事なんかできませんよ!オランジェが苦しんでる、子どもが生まれようって頑張っているときに!」
「大丈夫よ、セイが中で潜んでるから、何かあったらすぐ教えてくれるし。」
「セイ、狡いっ!」
「オランジェさんのお友達の……チ〇ポさんだったか?回復魔法をかけるために中でついておるし。」
「〇ンポさんじゃないですし。セイたちが中にいるんだったら私も入るぅ!傍で手を握りしめてるぅ!」
「そうよあなた、チン〇さんじゃなくてよ。確かそれは源氏名で、本名はアバッキオだって隊長が…。」
「母上ぇ!もうその話はいいぃ!」
「あのねぇ、あなたが落ち着いていたら中に入れてあげてもよかったけれど、そういう感じだから締め出されているんですよ?仕事も手につかない、落ち着かないって言うならこっちに来て私とレース編みをしなさい。赤ちゃんの涎掛けはいくつあってもいいでしょう?」
「あぁぁあああ、オランジェぇ。オランジェぇ。」
(……外からダージの声がする。おっきな声。)
「がんばって!」
「がんばれぇ!」
オーナーやセイ殿下が応援してくれている。
桃を食べて、どう体が変わるのか不安だったけど、お父様が教えてくれていた。
出産のときには、産道が現れるのだと。
めきめきと肉が分かれて、中から赤ちゃんが出てくる。
この痛みも、辛さも。赤ちゃんのためだったら。
「あぁーーーーーーー、おああー」
すぽんと抜けた感じがして、仔猫のような赤ちゃんの産声が聞こえたら、安心して意識が飛びそうになる。
「待って!もう一つ頭がある!双子だわ!オランジェ、もう一回頑張るのよ!回復魔法をかけてあげるから!」
双子!?
「うぅうう!」
二つ目の産声は、一つ目より小さくて、でも二人とも元気な赤ちゃんだった。
金髪の男の子たち。
おめめも青いのかな?
97
あなたにおすすめの小説
愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる
すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。
第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」
一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。
2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。
第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」
獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。
第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」
幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。
だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。
獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
おれの超ブラコンでちょっと変態な兄がかっこよすぎるので
しち
BL
兄(バスケ選手)の顔が大好きな弟(ファッションモデル)の話。
これの弟ver.です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/557561084/460952903
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる