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嵐とレッドとブルリアン
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サファイア王国の偽聖女のかけた洗脳は解かれ、偽聖女は即刻処刑された。
アクアリウム、シャイニー、新生ルビー 各国とサファイア王国の国交は、友好に、固く結ばれる。
ブルリアンは王太子位を弟に譲り、国を出るという。
カラン。
王城にほど近い、隠れ家のようなバーのドアにかけられた小さな鐘が鳴らす。
今日は最後の夜だ。
恋しいジュエルへの想いを断ち切って、馬鹿なレッドを連れてアクアリウム王国へ帰ろう。
父には多少叱られるかもしれないが、外交の成果もあるのだから、軽いお小言で済むだろう。
鳳嵐は、見た目だけは良い馬鹿なレッドを可愛らしく思い始めていた。
新しい恋というより、ペット?のような感情に近いかもしれない。
碌な教育を受けていなかったレッドは、施政者としての心得や学問を教えてやると、すいすいと吸収していった。
精神攻撃には弱そうだから、肌身離さず傍に置いて、誰かに騙されないように守ってやろう。
秘書のような仕事をやらせれば、役に立ちそうな気がする。
「隠れ家的でいい感じですね。王族貴族の御用達なんでしょうね。」
にこにこと付き添う姿は、まるで子犬のようだ。
「明日はアクアリウム王国に帰るから、ジュエルたちとはお別れだ。ジュエルたちは転移魔法で帰るらしい。私たちはサービスでアクアリウム王国に飛ばしてもらうことになっている。だから、今夜は飲み会と行こうじゃないか。」
「失恋の傷は酒と新しい恋ですよね。」
「そういうレッドは新しい恋はいいのか?王族ではなくなったとしても、お前は国から許されただろう。」
「嵐様のおかげです!えへへ。でもねぇ、もし子どもができたりとしかしたら、ややこしくなっちゃいますし~。子どもが出来ない相手とかで恋人ができるならいいんですけど。」
「年上のマダムに可愛がられるといいな。お前は見た目はいいからな。」
「うーん。………あ、アレ。ブルリアン殿下じゃないですか?」
「本当だ。」
バーのカウンターには、普段着を着たブルリアン殿下が腰かけていた。
「殿下、お疲れ様でした。」
「あ、ああ。鳳嵐王太子殿下。それに、レッド=サンド=ルビー様。」
「いや、挨拶はそこそこで。嵐、レッド、と気軽にお呼びください。………もしかして、王族からも離れるのですか?」
「はい。父には許可を得ました。弟たちは止めるでしょうから、今夜のうちにたとうかと。最後に、ここで感傷に浸っていた次第です。」
「あなたは、きちんと処罰したではないですか。魅了にかかってなお、ギリギリのところで保っていらした。それでも…。」
「弟は、魅了を跳ね返しました。私は結局、かかっていたのですから。私がいなくても、王太子妃になる女性は優秀な女性です。弟も優秀ですし、何も問題はありません。私がいることで、弟がやりづらくなるでしょうからね。いないほうがいいのですよ。」
揺れる瞳が切なくて。
嵐の心がぎゅっと掴まれた。
こんな気持ちは、ジュエルと初めて会った時以来かもしれない。
純粋で、きれいな魂。
「それではこれからどうされるのですか?行く当ては?」
「幸い腕には自信がありますから。風が向くまま気が向くまま。冒険者をしながら世界を回ろうかと。ここは寒いから、温かい場所もいいですね。」
「それならうちにきませんか。」
「……え。」
「ブルリアン。私の妃になるというのはどうですか。」
「なるほど。それならいいですね。」
「えーっ。それなら、私も側妃に立候補していいですか!お世継ぎはブルリアン様にお任せするので!きっと男の子だと毎日は辛いですよ!」
3人の新しい人生が始まる。
アクアリウム、シャイニー、新生ルビー 各国とサファイア王国の国交は、友好に、固く結ばれる。
ブルリアンは王太子位を弟に譲り、国を出るという。
カラン。
王城にほど近い、隠れ家のようなバーのドアにかけられた小さな鐘が鳴らす。
今日は最後の夜だ。
恋しいジュエルへの想いを断ち切って、馬鹿なレッドを連れてアクアリウム王国へ帰ろう。
父には多少叱られるかもしれないが、外交の成果もあるのだから、軽いお小言で済むだろう。
鳳嵐は、見た目だけは良い馬鹿なレッドを可愛らしく思い始めていた。
新しい恋というより、ペット?のような感情に近いかもしれない。
碌な教育を受けていなかったレッドは、施政者としての心得や学問を教えてやると、すいすいと吸収していった。
精神攻撃には弱そうだから、肌身離さず傍に置いて、誰かに騙されないように守ってやろう。
秘書のような仕事をやらせれば、役に立ちそうな気がする。
「隠れ家的でいい感じですね。王族貴族の御用達なんでしょうね。」
にこにこと付き添う姿は、まるで子犬のようだ。
「明日はアクアリウム王国に帰るから、ジュエルたちとはお別れだ。ジュエルたちは転移魔法で帰るらしい。私たちはサービスでアクアリウム王国に飛ばしてもらうことになっている。だから、今夜は飲み会と行こうじゃないか。」
「失恋の傷は酒と新しい恋ですよね。」
「そういうレッドは新しい恋はいいのか?王族ではなくなったとしても、お前は国から許されただろう。」
「嵐様のおかげです!えへへ。でもねぇ、もし子どもができたりとしかしたら、ややこしくなっちゃいますし~。子どもが出来ない相手とかで恋人ができるならいいんですけど。」
「年上のマダムに可愛がられるといいな。お前は見た目はいいからな。」
「うーん。………あ、アレ。ブルリアン殿下じゃないですか?」
「本当だ。」
バーのカウンターには、普段着を着たブルリアン殿下が腰かけていた。
「殿下、お疲れ様でした。」
「あ、ああ。鳳嵐王太子殿下。それに、レッド=サンド=ルビー様。」
「いや、挨拶はそこそこで。嵐、レッド、と気軽にお呼びください。………もしかして、王族からも離れるのですか?」
「はい。父には許可を得ました。弟たちは止めるでしょうから、今夜のうちにたとうかと。最後に、ここで感傷に浸っていた次第です。」
「あなたは、きちんと処罰したではないですか。魅了にかかってなお、ギリギリのところで保っていらした。それでも…。」
「弟は、魅了を跳ね返しました。私は結局、かかっていたのですから。私がいなくても、王太子妃になる女性は優秀な女性です。弟も優秀ですし、何も問題はありません。私がいることで、弟がやりづらくなるでしょうからね。いないほうがいいのですよ。」
揺れる瞳が切なくて。
嵐の心がぎゅっと掴まれた。
こんな気持ちは、ジュエルと初めて会った時以来かもしれない。
純粋で、きれいな魂。
「それではこれからどうされるのですか?行く当ては?」
「幸い腕には自信がありますから。風が向くまま気が向くまま。冒険者をしながら世界を回ろうかと。ここは寒いから、温かい場所もいいですね。」
「それならうちにきませんか。」
「……え。」
「ブルリアン。私の妃になるというのはどうですか。」
「なるほど。それならいいですね。」
「えーっ。それなら、私も側妃に立候補していいですか!お世継ぎはブルリアン様にお任せするので!きっと男の子だと毎日は辛いですよ!」
3人の新しい人生が始まる。
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