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真面目眼鏡は社交界の華
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煌びやかな社交界に現れる1輪の花。
長い艶やかな黒髪をアップに結い上げ、形の良い唇は真っ赤なルージュ。
まっすぐな姿勢は品が良く、真っ赤なドレスは光沢ある上質な生地で、大輪の薔薇が咲いたように、歩くたびにふわふわと裾が広がる。
サファイアのような瞳は長い睫毛に彩られ、星屑のように輝き、地上に舞い降りた薔薇の精のようだ。
「きゃあぁ!今日も御素敵ですわ。ローズ様。」
「あの立ち居振る舞い。どこの家門か存じませんが、高位貴族なのは間違いありませんわ。外国の方かしら。」
女性は、あの方には敵わないと言いながら、うっとりと見つめ。
「あぁ、ローズ様。今日も素敵だ。どこの家門だろう。」
「ミステリアスなところも素敵だ。」
男性は、麗しの君に熱い眼差しを送る。
「ごきげんよう、みなさま。」
見事なカーテンシーでふわりとほほ笑むと、女性陣の下へローズは向かう。
誰が見ても淑女。
だが、内では違った。
――――――――――――ヤッタァアアアアアアア!!これが青春だぁあ!
美貌の謎の淑女・ローズは、実は女性ではない。
ローズの正体は男。
ニーノ=シリアス公爵令息。宰相家を代々務める名門の次男で、学園に通う二年生。
今彼は、心の中でガッツポーズをとっていた。
「ローズ様、新作の舞台はもうご覧になりまして?」
「ええ。とても面白かったわ!」
「ローズ様、お飲み物ですっ。」
「あら、ありがとう。」
「そういえば、新しくオープンしたカフェのキッシュが絶品で…。」
「まぁあ!それはぜひ私もいただきに行きたいですわ!」
クラスメイトが集まってくれる!
ちやほやされてる!
舞台や美味しいグルメの話もできるなんて!
さいっこぉ!!!!
シリアス公爵家は一家全員真面目である。
遊びに行くなんてもってのほか!
公爵位であるゆえに、社交も不要!
ちゃらちゃらした社交や友人たちと遊びに行くなんてもってのほか!
装いはいつも第一ボタンまでキッチリ留めたスタイルで、髪型は七三。
そして、四角い黒縁眼鏡。
なお、母と妹は三角眼鏡!
こんな窮屈な家に生まれ、だからといって逆らうことも出来ず、幼い頃から勉学や教養磨きのみの毎日。
本当は俺だって、私じゃなくて俺って言いたい。
本当は、夜会にだって出てみたい。
本当は、オペラだってみたい。
本当は本当は本当は。
そうだ。
うちは全員寝るのが早いから、こっそり家を抜け出せばいいのでは。
やることさえちゃんとやってれば、ばれないのでは。
変装すれば………。そう、いっそ女装をすれば、きっと、いや、絶対にバレない!
女装なら化粧も出来るし。
ぷっちんと何かが弾けたニーノは、こうして夜遊びをするのである。
今では、社交界の華としてちやほや。
えへへ。わるくない…。
だが、ニーノ(ローズ)は気づいていなかった。
毎回物陰から、王弟殿下がこっちを見ていることに…。
長い艶やかな黒髪をアップに結い上げ、形の良い唇は真っ赤なルージュ。
まっすぐな姿勢は品が良く、真っ赤なドレスは光沢ある上質な生地で、大輪の薔薇が咲いたように、歩くたびにふわふわと裾が広がる。
サファイアのような瞳は長い睫毛に彩られ、星屑のように輝き、地上に舞い降りた薔薇の精のようだ。
「きゃあぁ!今日も御素敵ですわ。ローズ様。」
「あの立ち居振る舞い。どこの家門か存じませんが、高位貴族なのは間違いありませんわ。外国の方かしら。」
女性は、あの方には敵わないと言いながら、うっとりと見つめ。
「あぁ、ローズ様。今日も素敵だ。どこの家門だろう。」
「ミステリアスなところも素敵だ。」
男性は、麗しの君に熱い眼差しを送る。
「ごきげんよう、みなさま。」
見事なカーテンシーでふわりとほほ笑むと、女性陣の下へローズは向かう。
誰が見ても淑女。
だが、内では違った。
――――――――――――ヤッタァアアアアアアア!!これが青春だぁあ!
美貌の謎の淑女・ローズは、実は女性ではない。
ローズの正体は男。
ニーノ=シリアス公爵令息。宰相家を代々務める名門の次男で、学園に通う二年生。
今彼は、心の中でガッツポーズをとっていた。
「ローズ様、新作の舞台はもうご覧になりまして?」
「ええ。とても面白かったわ!」
「ローズ様、お飲み物ですっ。」
「あら、ありがとう。」
「そういえば、新しくオープンしたカフェのキッシュが絶品で…。」
「まぁあ!それはぜひ私もいただきに行きたいですわ!」
クラスメイトが集まってくれる!
ちやほやされてる!
舞台や美味しいグルメの話もできるなんて!
さいっこぉ!!!!
シリアス公爵家は一家全員真面目である。
遊びに行くなんてもってのほか!
公爵位であるゆえに、社交も不要!
ちゃらちゃらした社交や友人たちと遊びに行くなんてもってのほか!
装いはいつも第一ボタンまでキッチリ留めたスタイルで、髪型は七三。
そして、四角い黒縁眼鏡。
なお、母と妹は三角眼鏡!
こんな窮屈な家に生まれ、だからといって逆らうことも出来ず、幼い頃から勉学や教養磨きのみの毎日。
本当は俺だって、私じゃなくて俺って言いたい。
本当は、夜会にだって出てみたい。
本当は、オペラだってみたい。
本当は本当は本当は。
そうだ。
うちは全員寝るのが早いから、こっそり家を抜け出せばいいのでは。
やることさえちゃんとやってれば、ばれないのでは。
変装すれば………。そう、いっそ女装をすれば、きっと、いや、絶対にバレない!
女装なら化粧も出来るし。
ぷっちんと何かが弾けたニーノは、こうして夜遊びをするのである。
今では、社交界の華としてちやほや。
えへへ。わるくない…。
だが、ニーノ(ローズ)は気づいていなかった。
毎回物陰から、王弟殿下がこっちを見ていることに…。
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