虐げられても最強な僕。白い結婚ですが、将軍閣下に溺愛されているようです。

鳥

「はぁ、はぁっ、はぁっ。……ちくしょう」


あの小柄な男……！
あれはドラゴニア王国の竜の力ッ！

まさか、エドワードに番わせた者が権能持ちだったなんて…！！

さすがに竜に蛇に猫を相手にするのは分が悪い…。



蘇生の力を使えるのは、ファイアーバード王国のフェニックスの力を持つ者だけ。

無理にでも力を使わせてやる…！



ザクッ………。



「…………えっ。」




私の左腕が肩から落ち、フレディが地に落ちる。

熱を持った壮絶な痛みが走った。

「あぁあぁあぁぁあああああああああああああああ！！！！！！」

痛い痛い痛い痛い痛い！！！！

あぁあ、フレディちゃん、ごめんね。貴方の綺麗な顔から落としちゃったわ！


振り返ると、仮面の男が無言で立っている。

その剣は血で濡れて。


「お前は癒しの魔法は使えない。悪い魔女は良い魔法は使えないから。」

＜命を弄ぶ業火よ。＞

ヒィッ！？

痛みで反撃できない間に今度はどこからか火種がとび、私の口の中を焼いた。

「ああふ、あぁああら。」


「喋れなければ魔法も上手く使えないだろう？」

やってきた褐色の肌の男が私の舌を焼き切る。

よくも……！！！！




「大方、エドワードたちにやられて、こいつを私に蘇生させようときたのだろうが。飛んで火にいる夏の虫だ。私は絶対にお前の息子なんて救わない。」


仮面の男へ目配せて、仮面が外される。


「お、お前はーーーーー…！確かにあの時死んだ、はず…っ！」

弟たちを逃がして。
穢された身で私を倒そうとして。
敵わないと知ると、性奴隷に堕とされる前に自ら命を絶ったはずだ。


……ダグラス＝リチャード＝フォックス………ッ！


「彼は確かに死んでいたよ。衛兵に粗末に打ち捨てられたのを私が拾って蘇生させたんだ。あの時私はこの国に留学していた。クラスメイトだったんだ。助けに行くのが間に合わなくて後悔したよ。」

遅くなったために、ダグラスの記憶には一部欠落しているところがある。

自分がかつてどこのだれで、どういう家族がいたか、とか…。
誰を愛していたのかとか。
それでも弟の名前だけは憶えていた。

だから我が子に弟の名前を与えたのだろう。


「さぁ、そろそろお前を追って彼らも来るだろう。とどめはみんなに任せようか。」



「ベラドンナぁあぁああああああああああああ！！！」

地鳴りと咆哮が聞こえる。



さあ、感動の再会はこれからだ。