10 / 45
君を救い出したい
しおりを挟む
「ミシュラン様、お願いがあります。彼をあなたの養子にしていただけませんか?」
「えっ。」
ミシュラン様は戸惑ったが、すぐに決心してくれた。
「ありがとうございます。」
「いえ、彼は『聖者』として神殿で育てている大切な方です。そんな方が虐げられていると分かった以上、神殿としても放っては置けませんから。」
「ミシュラン様、いいのです!僕は孤児院から伯爵に引き取られたんです…。まだ僕は伯爵にご恩を返せていません…!!」
「奴隷にするために引き取った人たちに恩義を感じる必要はないよ。」
でも、でも。とユースはふるふる首を振っている。
「カルディ様、こういうのはすぐには…。ユースはきっと、それでも恩義を感じてしまっているのです。」
「ユース様、神殿は貴方に次期大神官になっていただきたいのです。そのためには、神殿の御子になっていただきたい。伯爵には、国から褒章がでるようにしましょう。お金がいっぱいもらえます。それで、恩は返せると思いますよ。あとは、私の子として、幸せになりましょう。」
ふふ、私は生涯独身だと思っていたので、かわいい息子ができて嬉しいです。
ミシュラン様は侯爵家の長男だったが、事故で生殖機能を失って、神職についたのだ、と笑った。
「ぼくが…ぼくのおとうさんが…ミシュランさま……。」
「そうと決まれば、おめかしもしましょう?どうせ、その服はあの勇者がおしつけてるんでしょ?髪型も!」
うるうると頬を真っ赤にして口は結んでいるけれど、嬉しそうなミシュランの髪を切ってやる。
「カルディ、僕、いっぱいお洋服もってるから、ユース君に似合う服、もってくる!いっぱいあって着れないから、もらってね!」
ルシフェル様は自分の部屋に走っていった。
髪がぱらり、ぱらりとおちていく。
ラベンダー色のきれいな瞳。
大きくて、ぱっちりして、睫毛で彩られて。
睫毛の色が、銀色なんだけど。
さては、あの屑勇者、髪の色も変えさせてたな?
「光あれ。偽りの姿よ、解けろ。」
魔法をかけると、染められていた髪の毛が、見事な銀髪になった。
「………きれい。」
「え?」
髪の毛にキスをする。
「ユース、すき。私と友達になって。」
「えっ。」
ミシュラン様は戸惑ったが、すぐに決心してくれた。
「ありがとうございます。」
「いえ、彼は『聖者』として神殿で育てている大切な方です。そんな方が虐げられていると分かった以上、神殿としても放っては置けませんから。」
「ミシュラン様、いいのです!僕は孤児院から伯爵に引き取られたんです…。まだ僕は伯爵にご恩を返せていません…!!」
「奴隷にするために引き取った人たちに恩義を感じる必要はないよ。」
でも、でも。とユースはふるふる首を振っている。
「カルディ様、こういうのはすぐには…。ユースはきっと、それでも恩義を感じてしまっているのです。」
「ユース様、神殿は貴方に次期大神官になっていただきたいのです。そのためには、神殿の御子になっていただきたい。伯爵には、国から褒章がでるようにしましょう。お金がいっぱいもらえます。それで、恩は返せると思いますよ。あとは、私の子として、幸せになりましょう。」
ふふ、私は生涯独身だと思っていたので、かわいい息子ができて嬉しいです。
ミシュラン様は侯爵家の長男だったが、事故で生殖機能を失って、神職についたのだ、と笑った。
「ぼくが…ぼくのおとうさんが…ミシュランさま……。」
「そうと決まれば、おめかしもしましょう?どうせ、その服はあの勇者がおしつけてるんでしょ?髪型も!」
うるうると頬を真っ赤にして口は結んでいるけれど、嬉しそうなミシュランの髪を切ってやる。
「カルディ、僕、いっぱいお洋服もってるから、ユース君に似合う服、もってくる!いっぱいあって着れないから、もらってね!」
ルシフェル様は自分の部屋に走っていった。
髪がぱらり、ぱらりとおちていく。
ラベンダー色のきれいな瞳。
大きくて、ぱっちりして、睫毛で彩られて。
睫毛の色が、銀色なんだけど。
さては、あの屑勇者、髪の色も変えさせてたな?
「光あれ。偽りの姿よ、解けろ。」
魔法をかけると、染められていた髪の毛が、見事な銀髪になった。
「………きれい。」
「え?」
髪の毛にキスをする。
「ユース、すき。私と友達になって。」
34
あなたにおすすめの小説
嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!
迷路を跳ぶ狐
BL
悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。
その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。
ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。
出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。
しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。
あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。
嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。
そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。
は? 一方的にも程がある。
その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。
舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。
貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。
腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。
だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。
僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。
手始めに……
王族など、僕が追い返してやろう!
そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます
天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。
広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。
「は?」
「嫁に行って来い」
そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。
現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる!
……って、言ったら大袈裟かな?
※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。
待て、妊活より婚活が先だ!
檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。
両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ!
……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ!
**ムーンライトノベルにも掲載しております**
王子殿下が恋した人は誰ですか
月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。
――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。
「私の結婚相手は、彼しかいない」
一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。
仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。
「当たりが出るまで、抱いてみる」
優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。
※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる