くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

竜鳴躍

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君を救い出したい

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「ミシュラン様、お願いがあります。彼をあなたの養子にしていただけませんか?」


「えっ。」


ミシュラン様は戸惑ったが、すぐに決心してくれた。


「ありがとうございます。」


「いえ、彼は『聖者』として神殿で育てている大切な方です。そんな方が虐げられていると分かった以上、神殿としても放っては置けませんから。」

「ミシュラン様、いいのです!僕は孤児院から伯爵に引き取られたんです…。まだ僕は伯爵にご恩を返せていません…!!」



「奴隷にするために引き取った人たちに恩義を感じる必要はないよ。」



でも、でも。とユースはふるふる首を振っている。



「カルディ様、こういうのはすぐには…。ユースはきっと、それでも恩義を感じてしまっているのです。」


「ユース様、神殿は貴方に次期大神官になっていただきたいのです。そのためには、神殿の御子になっていただきたい。伯爵には、国から褒章がでるようにしましょう。お金がいっぱいもらえます。それで、恩は返せると思いますよ。あとは、私の子として、幸せになりましょう。」


ふふ、私は生涯独身だと思っていたので、かわいい息子ができて嬉しいです。


ミシュラン様は侯爵家の長男だったが、事故で生殖機能を失って、神職についたのだ、と笑った。



「ぼくが…ぼくのおとうさんが…ミシュランさま……。」




「そうと決まれば、おめかしもしましょう?どうせ、その服はあの勇者がおしつけてるんでしょ?髪型も!」


うるうると頬を真っ赤にして口は結んでいるけれど、嬉しそうなミシュランの髪を切ってやる。


「カルディ、僕、いっぱいお洋服もってるから、ユース君に似合う服、もってくる!いっぱいあって着れないから、もらってね!」


ルシフェル様は自分の部屋に走っていった。





髪がぱらり、ぱらりとおちていく。

ラベンダー色のきれいな瞳。
大きくて、ぱっちりして、睫毛で彩られて。


睫毛の色が、銀色なんだけど。

さては、あの屑勇者、髪の色も変えさせてたな?


「光あれ。偽りの姿よ、解けろ。」


魔法をかけると、染められていた髪の毛が、見事な銀髪になった。




「………きれい。」


「え?」



髪の毛にキスをする。





「ユース、すき。私と友達になって。」
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