くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

初心な愛

「まだ口づけもしていないのですか？」

嘘でしょう、と王太子妃におさまったシロナ様が呆れた様子で扇で口元を隠した。


「だって―……。顔が近くにあるだけでどきどきしちゃって。」

「全くもう。私、あなたたちには幸せになっていただかないと困りますわ。ユース様の選んだ方が貴方だから、私は応援出来るのよ。そんな調子で今更誰かにとられたら、許さないんだから。」


シロナ様は暫くユースへの気持ちを忘れられなかった。

だけど、王太子殿下は根気よく口説いて、今に至る。

だんだんと、王太子殿下のことが好きになったらしい。



「結婚式の予定もあるのでしょう？初夜はどうするおつもりなの？」

キャッ！

「顔を真っ赤にして、お可愛らしいですけれど、恥じらいもほどほどにして下さいまし。」

「はい……。」


「貴方たちには赤ちゃんを作ってほしいわ。私たちの赤ちゃんの学友になるの。もし、結婚するってなったら最高だけど。」

シロナ様は、愛おしげに腹をなでる。


え！おめでとうございます！


「ありがとう、だから、頑張ってね。」


微笑まれた。

う゛うっ。