4 / 84
悪役令息はスラムから住人を追い出しました
しおりを挟む
俺たちは難民だ。
戦争の被害を受けて、故郷でやっていけなくなって逃げて来た…。
この国は受け入れてくれたけど、みんなスラムに集めるだけで、あとは放置だった。
たまに炊き出しがある程度…。
ここを治める領主はいない。
完全な掃溜め。
どうにか暮らしていきたいが、あばら家があるだけで、石と岩だらけの荒れ果てた土地は、作物もなかなか育たない育たない。
それで。
突然現れた。
真っ白な馬に白に金の装飾のついた豪華な馬車。
御伽噺のお姫様よろしく、夜の月の下に現れたそいつは、黒服の男に手を引かれて降り立つ。
真っ白な肌。白い髪。真っ赤な瞳。
この世の者とは思えないくらい美しくて…。
「僕の名前はアレン=ファーメット。僕が来たからには希望ある明日を約束しよう。」
不釣り合いなこの場所で、頓珍漢な宣言をする。
「はぁあ!?俺たちに希望だと!お前が何をやってくれるって言うんだ!」
「そうだな…。まずは手始めに、お前たち少し退いていてもらおうか。」
「「!!」」
「ここからも追い出そうって言うのかよ!」
「そのとおり。今、ここに居られては邪魔だ。カエサル。」
「は。」
まるで王のように。悪役のように。その人は傲慢に振る舞う。
「この地は私が治める地となる。どこよりも素晴らしい街にする。だから一から造り変える。大体、このままでは僕の屋敷も建てられない。カエサル、世帯ごとに把握しろ。何世帯くらいだ?」
「ざっくり30世帯ほどかと思います。」
「わかった。彼らをまとめておいてくれ。」
「……なっ!」
何をしようってんだ!?
<チェーンバインド!>
俺たちは纏められ、黒い従者の魔法で丸い空間にぶち込まれた。
「私のアレン様の素晴らしい御業をつぶさにしなさい。」
「………君たちは東の亡国の出身だったね。確かそこは、ココとは違う、美しい街並みだった。」
白い男が瞳を閉じて、大地に触れる。
魔力の渦が夜空に溶けて、きらきらと輝く。
「………あ、あぁっ。」
「まさか、うそっ」
「これは、おれたちの、俺たちの街だ…!」
魔法の力で建てられた一夜城ならぬ街の姿は、これまでの廃墟ではない。
失われた東の王国、東竜国。
異国情緒あふれる美しい街が、そこに生まれた。
戦争の被害を受けて、故郷でやっていけなくなって逃げて来た…。
この国は受け入れてくれたけど、みんなスラムに集めるだけで、あとは放置だった。
たまに炊き出しがある程度…。
ここを治める領主はいない。
完全な掃溜め。
どうにか暮らしていきたいが、あばら家があるだけで、石と岩だらけの荒れ果てた土地は、作物もなかなか育たない育たない。
それで。
突然現れた。
真っ白な馬に白に金の装飾のついた豪華な馬車。
御伽噺のお姫様よろしく、夜の月の下に現れたそいつは、黒服の男に手を引かれて降り立つ。
真っ白な肌。白い髪。真っ赤な瞳。
この世の者とは思えないくらい美しくて…。
「僕の名前はアレン=ファーメット。僕が来たからには希望ある明日を約束しよう。」
不釣り合いなこの場所で、頓珍漢な宣言をする。
「はぁあ!?俺たちに希望だと!お前が何をやってくれるって言うんだ!」
「そうだな…。まずは手始めに、お前たち少し退いていてもらおうか。」
「「!!」」
「ここからも追い出そうって言うのかよ!」
「そのとおり。今、ここに居られては邪魔だ。カエサル。」
「は。」
まるで王のように。悪役のように。その人は傲慢に振る舞う。
「この地は私が治める地となる。どこよりも素晴らしい街にする。だから一から造り変える。大体、このままでは僕の屋敷も建てられない。カエサル、世帯ごとに把握しろ。何世帯くらいだ?」
「ざっくり30世帯ほどかと思います。」
「わかった。彼らをまとめておいてくれ。」
「……なっ!」
何をしようってんだ!?
<チェーンバインド!>
俺たちは纏められ、黒い従者の魔法で丸い空間にぶち込まれた。
「私のアレン様の素晴らしい御業をつぶさにしなさい。」
「………君たちは東の亡国の出身だったね。確かそこは、ココとは違う、美しい街並みだった。」
白い男が瞳を閉じて、大地に触れる。
魔力の渦が夜空に溶けて、きらきらと輝く。
「………あ、あぁっ。」
「まさか、うそっ」
「これは、おれたちの、俺たちの街だ…!」
魔法の力で建てられた一夜城ならぬ街の姿は、これまでの廃墟ではない。
失われた東の王国、東竜国。
異国情緒あふれる美しい街が、そこに生まれた。
1,713
あなたにおすすめの小説
[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません
月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される
水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。
行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。
「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた!
聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。
「君は俺の宝だ」
冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。
これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。
【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!
迷路を跳ぶ狐
BL
悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。
その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。
ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。
出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。
しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。
あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。
嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。
そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。
は? 一方的にも程がある。
その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。
舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。
貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。
腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。
だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。
僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。
手始めに……
王族など、僕が追い返してやろう!
そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!
婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々
月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。
俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる