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悪役令息は傲慢にも庶民にダメ出ししました
「さあ、君たちは僕の領民になるわけだが。全くダメダメだね。」
ふぅ、と吐息をつき、真っ赤な瞳が住民を見る。
「……ダメダメって。俺たちは着の身着のままここへ来たんだ。受け入れておいて、ほったらかしなんてされて…。しかもこんな荒れ果てた辺境で、俺たちに何の非があるっていうんだ!」
住民の中でも比較的若い青年が声を荒げた。
「ダメだからダメだって言っているんだ。」
「俺たちをここから追い出そうって言うのか!」
「何を聞いていたの?僕は君たちの故郷に似せてとりあえず住処は整備したんだよ?追い出すつもりなんてないよ。君たちは辛い思いをしてきたかもしれない。ここへ来た当時は精神的にも肉体的にも疲弊して、何も考えられなかっただろう。だけど、それからどれだけ時間が経った?確かに我が国の対応にも非がある。だけど、施しを待つだけなの?君たちの中にはお年寄りや小さい子や病気やケガでどうしようもないって人だっているだろうけど。そこの君、名前は?」
声を荒げた青年に声をかける。
「白竜。」
「そう、パイロン。君みたいに、若く、五体満足な若者だっているんだから。お互いに協力し合って出来ることをやろうとか、そういう考えはなかったわけ?」
「俺たちだって……!」
そういわれて、パイロンと言われた青年は口をつぐんだ。
何かに気付き、思いめぐらしているかのように。
よく見れば、薄汚れてはいるが整った顔立ちをしている青年だ。
年の頃は25、6。
添い遂げる相手がいてもおかしくない。
この国には見られない、東の国の人ならではの涼し気な顔立ち。
鼻が低く、彫りが深くないから幼く見えるが、あの国の人間ならおそらくそのくらいの年頃だろう。
「パイロン。どこの国だって結局、自分の国の元々の国民が優先になるんだ。そこは理解してもらえるだろうか?辺境の土地を与えるまではできても、十分な支援まではできなかったかもしれない。だけど、いつまで国は炊き出しをすればいい?いつまで施しを受けて生活するつもりだった?一時的な避難ではなく、これからずっとこの土地で生活していく君たちに、我が国がいつまで手取り足取り生活の面倒をみてあげなければいけない?支援が必要であるならば、なぜ声をあげなかった?魔法が使える国の王族貴族は、君たちが自分で与えられた土地を改良することができないと想像を働かせることが出来ないのだと、なぜ思い至らない。我が国が一番悪い、それは変わらないがな。君たちだって依存しすぎだったと思わないか?」
「言われてみればそうだ……。いつからかお世話されて当たり前、だなんて…。」
表情が変わり、瞳に光が灯る。
「それで、俺たちにダメだしするってことは…アレン=ファーメット様。今日から俺たちは貴方様の領民なのでしょう?俺たちに教えてください。今後の生き方を。」
「ふむ。とりあえず暫くは僕の方で皆の食事を用意しよう。でも、ずっとはしないよ。皆にはそれぞれ働いてもらう。まずはそろそろ……かな。」
「来ますね。」
カエサルが姿勢を正したままクルリと振り返ると、複数の馬の足音が聞こえる。
「アレン~~~~~っ!!」
「アレンちゃ~~ん!!!」
「お兄さまぁ!!!!!!!!!!!!」
お父様たちが到着したようだ。
「アレン!!!!」
「お父様、苦しいです。」
「かわいそうにアレンちゃん。あの馬鹿殿下のせいでしなくてもいい苦労をしていたのに、こんなことになるなんて!末代まで祟ってやるわ!毛が抜けて生えなくなる呪いとかどうかしら!フフッ!どこもかしこもツルツルよ!ツルツル!!」
「お兄さま、おいたわしや。あぁ、僕がお兄様と実の兄弟でなければ今すぐお兄様と結婚するのに!あんな愚物にお兄様はもったいなかったのです!」
金髪碧眼の今でも40代で通る優秀な王弟のお父様は、普段は威厳があるのにそんなに情けない表情をして。
『ファーマの至宝』と言われている国王陛下の懐刀、宰相様とはとても思えない。
ファーメット公爵家の直系である公爵夫人は、『黒薔薇』と謳われる社交界の華。得意の闇魔法で早速呪おうとしているし、黒髪黒目の公爵家の色を纏った可愛い弟は、いつのまにか変態さんになったらしい…。
将来の御妃として僕がお城で暮らしている間にそんな残念なことに。
だけど今はそれどころじゃない。
「旦那様方、語り尽くせぬとは思いますが、もう夜更け。先ほどアレン様が館を創造してくださいましたので、彼らも一緒に――――――。」
僕の有能なカエサル。さすがカエサル。
「おお、そうだった!カエサルから連絡を受けて、急ぎ食材も料理人たちも連れてきたのだ!」
公爵家の馬車は5台、荷馬車は3台に及んでいた。
街の中央から奥に向かった場所に建てた、ひときわ大きな東の国風の建物にみなを案内する。
ひとまず今夜は食事を振る舞おう。
ふぅ、と吐息をつき、真っ赤な瞳が住民を見る。
「……ダメダメって。俺たちは着の身着のままここへ来たんだ。受け入れておいて、ほったらかしなんてされて…。しかもこんな荒れ果てた辺境で、俺たちに何の非があるっていうんだ!」
住民の中でも比較的若い青年が声を荒げた。
「ダメだからダメだって言っているんだ。」
「俺たちをここから追い出そうって言うのか!」
「何を聞いていたの?僕は君たちの故郷に似せてとりあえず住処は整備したんだよ?追い出すつもりなんてないよ。君たちは辛い思いをしてきたかもしれない。ここへ来た当時は精神的にも肉体的にも疲弊して、何も考えられなかっただろう。だけど、それからどれだけ時間が経った?確かに我が国の対応にも非がある。だけど、施しを待つだけなの?君たちの中にはお年寄りや小さい子や病気やケガでどうしようもないって人だっているだろうけど。そこの君、名前は?」
声を荒げた青年に声をかける。
「白竜。」
「そう、パイロン。君みたいに、若く、五体満足な若者だっているんだから。お互いに協力し合って出来ることをやろうとか、そういう考えはなかったわけ?」
「俺たちだって……!」
そういわれて、パイロンと言われた青年は口をつぐんだ。
何かに気付き、思いめぐらしているかのように。
よく見れば、薄汚れてはいるが整った顔立ちをしている青年だ。
年の頃は25、6。
添い遂げる相手がいてもおかしくない。
この国には見られない、東の国の人ならではの涼し気な顔立ち。
鼻が低く、彫りが深くないから幼く見えるが、あの国の人間ならおそらくそのくらいの年頃だろう。
「パイロン。どこの国だって結局、自分の国の元々の国民が優先になるんだ。そこは理解してもらえるだろうか?辺境の土地を与えるまではできても、十分な支援まではできなかったかもしれない。だけど、いつまで国は炊き出しをすればいい?いつまで施しを受けて生活するつもりだった?一時的な避難ではなく、これからずっとこの土地で生活していく君たちに、我が国がいつまで手取り足取り生活の面倒をみてあげなければいけない?支援が必要であるならば、なぜ声をあげなかった?魔法が使える国の王族貴族は、君たちが自分で与えられた土地を改良することができないと想像を働かせることが出来ないのだと、なぜ思い至らない。我が国が一番悪い、それは変わらないがな。君たちだって依存しすぎだったと思わないか?」
「言われてみればそうだ……。いつからかお世話されて当たり前、だなんて…。」
表情が変わり、瞳に光が灯る。
「それで、俺たちにダメだしするってことは…アレン=ファーメット様。今日から俺たちは貴方様の領民なのでしょう?俺たちに教えてください。今後の生き方を。」
「ふむ。とりあえず暫くは僕の方で皆の食事を用意しよう。でも、ずっとはしないよ。皆にはそれぞれ働いてもらう。まずはそろそろ……かな。」
「来ますね。」
カエサルが姿勢を正したままクルリと振り返ると、複数の馬の足音が聞こえる。
「アレン~~~~~っ!!」
「アレンちゃ~~ん!!!」
「お兄さまぁ!!!!!!!!!!!!」
お父様たちが到着したようだ。
「アレン!!!!」
「お父様、苦しいです。」
「かわいそうにアレンちゃん。あの馬鹿殿下のせいでしなくてもいい苦労をしていたのに、こんなことになるなんて!末代まで祟ってやるわ!毛が抜けて生えなくなる呪いとかどうかしら!フフッ!どこもかしこもツルツルよ!ツルツル!!」
「お兄さま、おいたわしや。あぁ、僕がお兄様と実の兄弟でなければ今すぐお兄様と結婚するのに!あんな愚物にお兄様はもったいなかったのです!」
金髪碧眼の今でも40代で通る優秀な王弟のお父様は、普段は威厳があるのにそんなに情けない表情をして。
『ファーマの至宝』と言われている国王陛下の懐刀、宰相様とはとても思えない。
ファーメット公爵家の直系である公爵夫人は、『黒薔薇』と謳われる社交界の華。得意の闇魔法で早速呪おうとしているし、黒髪黒目の公爵家の色を纏った可愛い弟は、いつのまにか変態さんになったらしい…。
将来の御妃として僕がお城で暮らしている間にそんな残念なことに。
だけど今はそれどころじゃない。
「旦那様方、語り尽くせぬとは思いますが、もう夜更け。先ほどアレン様が館を創造してくださいましたので、彼らも一緒に――――――。」
僕の有能なカエサル。さすがカエサル。
「おお、そうだった!カエサルから連絡を受けて、急ぎ食材も料理人たちも連れてきたのだ!」
公爵家の馬車は5台、荷馬車は3台に及んでいた。
街の中央から奥に向かった場所に建てた、ひときわ大きな東の国風の建物にみなを案内する。
ひとまず今夜は食事を振る舞おう。
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