悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍

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そのころのファーメット公爵家とパイロン

「あぁ……今頃お兄様は…っ。ウっ。」

「あぁ、私のアレン。ちっさなおててで私の手を握って、天使のようにほほ笑んでくれたアレンが…人妻にっ。」


「全くもうあなた方ときたら…。」

幼少期から王家に取られたせいで、夫は長男のイメージがで止まってしまっているのね。
かくいう私も、あの子との思い出は、ものすごく小さな頃までしかないもの。

あの子は特別な体質だったから、家の中で私と過ごすことが多かったのよね。
私たちったら、最初はアレンが吸血鬼になってしまっているのではないかなんて、馬鹿な心配して…。

育てるのに気を使う子だったけど、あの子は本当に物分かりが良くて、賢い子で。
そこまで苦労もしなかったわ。


考えたら、カエサルがずっと傍にいたものね。


あの子はきっと自分の王子様が誰なのか、よく分かっていたのだわ。


「きっと二人の子は可愛いでしょうね。育て方さえ間違えなければ、きっと立派な子になるわね。だから、貴方も、ローレンも、もっとしっかりなさい。次期国王陛下のおじいさまとおじさまになるのだから。」


「……ぐすっ。そうだな。孫が生まれたらどんなおもちゃを贈ろうかな。」

「僕も叔父として尊敬される公爵になるよ!困ったときの後ろ盾になれるように!まずは、甥でも姪でも絵本を読んであげるんだ!大切なことは絵本が教えてくれるからね!」

「ふふふ。私はお包みやベビードレス、おむつを作ろうかしら。きっとアレンにはそんな時間はないでしょうから。」





二人が結ばれた夜は、思い思いに二人を想って。

ニューイースト領で領主代理になったパイロンも、なんだかそわそわと心が騒いだ。

もう踏ん切りはついている。
そもそも、アレン様への気持ちはおそらく敬愛だったし。
それに、今は、自分にだって婚約者がいて…。

凄く年上なのに自分に対してものすごく弱気のアイシーが面白くて仕方ない。


王家特権でニューイースト領の城と王都の城は転移ゲートが設置された。

自分たちが便利なように、と言っていたけれど、おそらくそれは王都で王家の仕事をしているアイシーとパイロンが結婚した時のことを考えているのだ。
パイロンはアレンたちの子の誰かがニューイースト領を継ぐまでのつなぎの代官だから、ずっとここにいる必要はない。

だけど、自分の領民だった者たちが住まう場所だから、できればずっと、ここで皆の面倒を見たいと思っている。

対して、アイシーの家も名家であり、アイシーは跡取り息子。

稼業の関係で代々晩婚になってしまうせいで、母親は相応だが、父親はかなり老齢になり、他に子どももいないから、アイシーがニューイースト領に来るわけにもいかない。

レックス侯爵家としては、後継が得られればそれに勝るものはないため、別居だろうが嫁が遠方で仕事をしていようが認める方向性らしく、それならばとアレン様が心を砕いてくださったのだ。


視線の先には、思わずキャッチしてしまったウエディングブーケの花が活けられている。
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