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オレリアンの天使
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オレリアンは自然豊かな領地で、教育や医療が手厚く、住みやすい街だ。
「ロイ殿下!シン様!」
馬車の中から、明るい笑顔の領民が手を振るのに応える。
「ここいらで止めよう。」
馬車を止めると、責任者らしき男が現れた。
「元ヴェール伯爵家の庭師で農地改革を任せている、スティーブです。」
シンが紹介すると、日焼けした肌に麦わら帽子の男が頭を下げた。
うぬぬ。三十代半ばくらいか?カッコいいじゃないか。
四角い顔だが愛嬌があり、がっしりした体。
なかなか男前。
まさか、シンはこういう男がいいとかないだろうな。
「スティーブ、作物は順調?何かおかしなことがあれば、些細なことでも教えて。」
「作物は順調。品種改良もうまく行っております。糖度の高い大粒の苺ができました。試食されませんか?」
「頼む。」
暫くして出された苺はキラキラと艷やか。甘みの中に酸味もある、さっぱり味。
なんといっても、形が美しい。
「ケーキにしても美味しそうだが、グラニエでもよさそうだ。」
「ロイもそう思う?」
「うん。すごく美味しい。今が旬かな?来週国賓を招いてのパーティーがあるから、買い取り可能だろうか。」
「喜んで。ただ、最近うちの苗や農作物を狙うドロボーがいるんですよ。殿下、なんとかならないですかね。」
流石、シンの信頼する部下。
食えない男だ。
「分かった。品種の流出は犯罪。警備を出し、法整備もしよう。」
「流石、シン様の親友でいらっしゃる。」
「親友ではなく、婚約者なのだが……。」
「ははは。オレリアンの天使を娶りたいならば、覚悟なされまし。」
きっと、シン様は何も分かってらっしゃらない。
こっそり耳打ちされて、肩をすくめた。
製造業の現場も見せてもらった。
技術の進歩は目覚ましい。
これも、教育の力という。
このオレリアン領で、教育医療福祉を充実させ、領民に投資した結果、生産性が上がった。
この分析結果を陛下に提出し、今、ここの政策は国政に活かされている。
シン。君は充分、王妃の器だよ。
帰りに貰った苺で何か作ってみた。
「苺を潰したジュースでシロップに。クラッシュしたシャンパンのゼリーの上にかけて、その上にゼリーで艶出しした苺を。」
ミントの葉を飾って。
「はい、あーん。」
スプーンで掬って、シンの小さな口へ。
「つめた!おいしい!」
「シン、今日はありがとう。私も勉強になったし、大好きなシンと一緒でたのしかった。今度はぜひ、うちに遊びに来てほしい。」
「喜んで!」
まだシンの気持ちはわからないけど、今はこれでいい。
母上にお願いして、妃も悪くないことを見せていただこう。
「じゃあね。」
頬にキス。
今はこれがいっぱいいっぱい。
「ロイ殿下!シン様!」
馬車の中から、明るい笑顔の領民が手を振るのに応える。
「ここいらで止めよう。」
馬車を止めると、責任者らしき男が現れた。
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うぬぬ。三十代半ばくらいか?カッコいいじゃないか。
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まさか、シンはこういう男がいいとかないだろうな。
「スティーブ、作物は順調?何かおかしなことがあれば、些細なことでも教えて。」
「作物は順調。品種改良もうまく行っております。糖度の高い大粒の苺ができました。試食されませんか?」
「頼む。」
暫くして出された苺はキラキラと艷やか。甘みの中に酸味もある、さっぱり味。
なんといっても、形が美しい。
「ケーキにしても美味しそうだが、グラニエでもよさそうだ。」
「ロイもそう思う?」
「うん。すごく美味しい。今が旬かな?来週国賓を招いてのパーティーがあるから、買い取り可能だろうか。」
「喜んで。ただ、最近うちの苗や農作物を狙うドロボーがいるんですよ。殿下、なんとかならないですかね。」
流石、シンの信頼する部下。
食えない男だ。
「分かった。品種の流出は犯罪。警備を出し、法整備もしよう。」
「流石、シン様の親友でいらっしゃる。」
「親友ではなく、婚約者なのだが……。」
「ははは。オレリアンの天使を娶りたいならば、覚悟なされまし。」
きっと、シン様は何も分かってらっしゃらない。
こっそり耳打ちされて、肩をすくめた。
製造業の現場も見せてもらった。
技術の進歩は目覚ましい。
これも、教育の力という。
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「シン、今日はありがとう。私も勉強になったし、大好きなシンと一緒でたのしかった。今度はぜひ、うちに遊びに来てほしい。」
「喜んで!」
まだシンの気持ちはわからないけど、今はこれでいい。
母上にお願いして、妃も悪くないことを見せていただこう。
「じゃあね。」
頬にキス。
今はこれがいっぱいいっぱい。
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