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18話
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攻守が入れ替わる。生徒会長が伊織のいた席に腰掛け、耳かき部の道具セットを確認する。
「あれ?会長、マイ耳かき使わないの?」
友梨奈先輩がその様子に口を挟む。
「伊織がこの条件で戦ったのに経験者の私がマイセットを使ってしまったら
、アンフェアでしょ。」
「まあ、確かにそうかも。でも真剣勝負じゃないの?」
「真剣勝負だから、同じ条件に意味があるのよ。さ、伊織。来なさい。」
真剣な眼差しで伊織を見つめる会長。姉弟の絆か、あるいは因縁か。伊織は正面から挑むような目で見つめ返し、ゆっくりと膝に頭を落とす。
当然顔の向きはお腹側だ。
「あなたの顔がお腹に向いても、私は動じない。自分の恥を晒すだけになる。それでもいいの?」
「姉さんがいった。同じ条件じゃないと、アンフェアだ。僕は、フェアに倒して、耳かき部に入るんだ。」
お腹で隠れた顔から真剣なセリフが聞こえる。
「ふたりとも気合い十分のようだし、始めちゃいましょう。柿人くん
。タイマー準備!」
はなき先生がのんびりと間延びした、しかしさっさとしろと言う圧のある声で僕に、指示をくだす。
「うす。それじゃ、3カウントで。3、2、1、スタート!!」
「いくわよ!」
「負けるもんか!!」
気迫のこめられた表情の会長はしかし、手つきは丁寧で鮮やかだ。
「では、まずはお耳をマッサージしながらチェックしますね?」
「くっ!お願い、します。」
伊織の応えを聞いてから、会長は耳を引っ張り、回しながら穴の中を注意深く観察する。
「壁にたくさんついてますね。無理な自主練は自分の耳を壊しますよ?耳毛を軽く切りますね。」
「ご心配なさらず。体質ですので。」
伊織は無感動な声で会長のお腹から声を発する。その反応に会長の表情は露骨に歪む。
「では、ハサミが入りますよ。」
細いハサミの先端が耳の穴に潜りこみ、シャクシャクと、こちらまで心地良くなるような音が聞こえる。これが耳の穴の中で大音量で流れているなら、伊織の気持ちよさは相当のはずだ。だが、伊織は全く動く気配がない。まるで彫像のようだった。
「音では僕は高揚もリラックスもしません。」
「本当に強くなったね。伊織。でも、ダメだよ。」
粘着綿棒。先ほど自分が苦しんだ武器を躊躇いなく手に取る。
「粘着綿棒で切り落とした細かい毛と小さな耳垢は取っちゃいますね。」
宣言。基本に忠実に、動く会長の姿はまるで伊織の先ほどの耳かきの手法だ。
「伊織。わかっているでしょう。耳かきは怖いスポーツだよ。あなたが本気なのはわかった。けど、私もあなたを止めるダメに本気。じゃ、入れるね。」
粘着綿棒がペタペタと耳の壁に触れて、その色を変えていく。粘着綿棒はこの姉弟にとって、何か重要な意味や価値があるらしい。
何度目かの交換を経て、細かい垢や毛カスはとりのぞけたようだった。
「壁についた大きいのを耳かきで取っていきますね。」
金属製の耳かきを箱から取り出して、耳の中に差し込んでいく。
「んんっ!?」
耳かきに反応して、伊織も声を上げる。しかし、体はほとんど動かない。
「耳かきがあたっても泣いたり気持ち良くなったりしなくなったね。中学の頃は終わった後、私に散々泣きついていたのに。」
会長は穏やかに思い出を語る。大切なものを指でなぞるように、耳かきの先は壁に張り付いた大物にかかる。
「同じ手法で僕が潰れるとでも?僕だって耐えるために練習したんだ!!
「それで、自分の耳をこわすなら意味がないのよ。」」
そう言いながら耳かいをよりいっそう激しく動かす。伊織以上に素早く、基礎に忠実な耳かき。
「んぁああ!」
剥がす時に伊織が声を上げる。しかし、体が動く気配ない。会長も少し頬を赤らめるが、耳かきは止まらない。
「はぁはぁ。」
「後2か所あるから、もう少し頑張ってくださいね。」
会長の声掛けも余裕がなくなり、伊織の息遣いが荒くなっていく。
取り除かれた耳垢は潰れたフリスクのように薄く大きい。形を崩すことなく、ティッシュに落とされ、それが宣言通り2回続けて、会長は口を開く。
「これで終わりです。お疲れ様でした。伊織。」
終了の宣言だった。
「あれ?会長、マイ耳かき使わないの?」
友梨奈先輩がその様子に口を挟む。
「伊織がこの条件で戦ったのに経験者の私がマイセットを使ってしまったら
、アンフェアでしょ。」
「まあ、確かにそうかも。でも真剣勝負じゃないの?」
「真剣勝負だから、同じ条件に意味があるのよ。さ、伊織。来なさい。」
真剣な眼差しで伊織を見つめる会長。姉弟の絆か、あるいは因縁か。伊織は正面から挑むような目で見つめ返し、ゆっくりと膝に頭を落とす。
当然顔の向きはお腹側だ。
「あなたの顔がお腹に向いても、私は動じない。自分の恥を晒すだけになる。それでもいいの?」
「姉さんがいった。同じ条件じゃないと、アンフェアだ。僕は、フェアに倒して、耳かき部に入るんだ。」
お腹で隠れた顔から真剣なセリフが聞こえる。
「ふたりとも気合い十分のようだし、始めちゃいましょう。柿人くん
。タイマー準備!」
はなき先生がのんびりと間延びした、しかしさっさとしろと言う圧のある声で僕に、指示をくだす。
「うす。それじゃ、3カウントで。3、2、1、スタート!!」
「いくわよ!」
「負けるもんか!!」
気迫のこめられた表情の会長はしかし、手つきは丁寧で鮮やかだ。
「では、まずはお耳をマッサージしながらチェックしますね?」
「くっ!お願い、します。」
伊織の応えを聞いてから、会長は耳を引っ張り、回しながら穴の中を注意深く観察する。
「壁にたくさんついてますね。無理な自主練は自分の耳を壊しますよ?耳毛を軽く切りますね。」
「ご心配なさらず。体質ですので。」
伊織は無感動な声で会長のお腹から声を発する。その反応に会長の表情は露骨に歪む。
「では、ハサミが入りますよ。」
細いハサミの先端が耳の穴に潜りこみ、シャクシャクと、こちらまで心地良くなるような音が聞こえる。これが耳の穴の中で大音量で流れているなら、伊織の気持ちよさは相当のはずだ。だが、伊織は全く動く気配がない。まるで彫像のようだった。
「音では僕は高揚もリラックスもしません。」
「本当に強くなったね。伊織。でも、ダメだよ。」
粘着綿棒。先ほど自分が苦しんだ武器を躊躇いなく手に取る。
「粘着綿棒で切り落とした細かい毛と小さな耳垢は取っちゃいますね。」
宣言。基本に忠実に、動く会長の姿はまるで伊織の先ほどの耳かきの手法だ。
「伊織。わかっているでしょう。耳かきは怖いスポーツだよ。あなたが本気なのはわかった。けど、私もあなたを止めるダメに本気。じゃ、入れるね。」
粘着綿棒がペタペタと耳の壁に触れて、その色を変えていく。粘着綿棒はこの姉弟にとって、何か重要な意味や価値があるらしい。
何度目かの交換を経て、細かい垢や毛カスはとりのぞけたようだった。
「壁についた大きいのを耳かきで取っていきますね。」
金属製の耳かきを箱から取り出して、耳の中に差し込んでいく。
「んんっ!?」
耳かきに反応して、伊織も声を上げる。しかし、体はほとんど動かない。
「耳かきがあたっても泣いたり気持ち良くなったりしなくなったね。中学の頃は終わった後、私に散々泣きついていたのに。」
会長は穏やかに思い出を語る。大切なものを指でなぞるように、耳かきの先は壁に張り付いた大物にかかる。
「同じ手法で僕が潰れるとでも?僕だって耐えるために練習したんだ!!
「それで、自分の耳をこわすなら意味がないのよ。」」
そう言いながら耳かいをよりいっそう激しく動かす。伊織以上に素早く、基礎に忠実な耳かき。
「んぁああ!」
剥がす時に伊織が声を上げる。しかし、体が動く気配ない。会長も少し頬を赤らめるが、耳かきは止まらない。
「はぁはぁ。」
「後2か所あるから、もう少し頑張ってくださいね。」
会長の声掛けも余裕がなくなり、伊織の息遣いが荒くなっていく。
取り除かれた耳垢は潰れたフリスクのように薄く大きい。形を崩すことなく、ティッシュに落とされ、それが宣言通り2回続けて、会長は口を開く。
「これで終わりです。お疲れ様でした。伊織。」
終了の宣言だった。
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