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27話
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プリントに採点をする先生の手は震えている。まあ、信じられないのは自分も一緒だ。普通に悪い冗談にしか思えないが、友梨奈先輩に与えられた才能としかいいようがない。
「信じられん・・・本当に満点とは・・・」
「耳かきに不可能はないのです!わかりましたか?せ・ん・せ・い?モガッ!!」
友梨奈先輩はここぞとばかりに調子にのるが宮古先輩から預かったくっしょんを顔面に押し当てる。
「煽らないでください先輩。むしろ今まで普通に勉強してない分悪いのはどっちかというと先輩です。すみません先生。この人ちょっと調子乗りやすくて・・・」
「いや、俺も信じてやれなくて悪かったな。勉強方法はいまだにしんじられんがすくなくとも不正はしてないのはわかった。十分だ。」
「いや、十分じゃないです!!」
友梨奈先輩は拳を握りしめる。
「まだ耳かき勉強法の実施現場をみてもらってません!それもみてもらう約束だったでしょ!?私と耳かきがすごいところをちゃんと見てもらわないと!」
「いや、俺は不正さえなければそれで・・・」
「諦めてください。こうなった先輩はいうこと聞かないから・・・なんか適当なプリントでも本でも、暗記させるものがあれば、満足すると思うんで・・・じゃ、先輩、膝にどうぞ。」
「はーい!」
膝に改めて、友梨奈先輩を誘う。友梨奈先輩は走り寄って、ゆっくりと身を預ける。
「お前手なれてるな・・・女子相手にそこまで無防備なの、若干心配だぞ・・・」
先生の冷静な指摘を受け、異性を膝に乗せることに違和感を失った自分
実感する。寂しい気もしたが、耳かきを続けていく上では耳かきの常識にそまっていくことはむしろ望ましいとすら感じている自分もいることを実感する。
「えー!先生、もしかして私やみゃーちゃんが柿人くんにひどいことすると思ってます?心外なんですけど!私たち、超仲良しですよ!?」
何言ってんだこいつ。
「いや、すまん。まあ、当人たちが気にしてないならいいんだけどな。耳かきだしな。うん。」
そうはならんだろ。もっと粘れよ。
「まあ、とにかく。耳かきしながらだったら覚えられるんだったな。じゃあ、始めようか。」
「はい。じゃ、先輩。行きますよ。」
「はーい!」
綿棒を取り出し、先輩の耳を伸ばして穴の中を確認していく。とはいえ、試験勉強でも何度もやった耳穴。どれだけ代謝のいい人間でもこのひんどの耳かきでは耳垢は溜まらない。細かな汚れとも言えないようなカスが少量あるのみ。
「汚れは少ないんで、マッサージを中心にやっていきますね。」
「やっぱりそんなに溜まってないかー。これ終わったら大会まで私は受けがわを我慢しなきゃだねー。」
「そうですね。じゃ、ツボを押していきますよ。集中して、先生の言葉をよく聞いて覚えてくださいね。」
「うん。」
友梨奈先輩は返事をすると目を閉じて脱力し、話を聞く姿勢になる。
「じゃあ、いくぞ。」
そういって先生は教科書だろうか、それとも専門書だろうか。何度も読み返したのが窺える赤いブックカバーの本を読み上げていく。
「ふみゅー。」
資本主義がどうとかなんとか。難しくてよくわからない。多分友梨奈先輩もわかっていない。覚えてはいるだろうが。
文節やページの移動に合わせて、綿棒を耳穴のツボにあてて軽く押して、細かい汚れがついた綿棒は、取り替えて、話題が移り変わるころにまっさら綿棒が新たに耳にはいり、先輩の頭も綺麗にしていく。
本のリズムと耳かきのリズムを合わせ、先輩の体はさらにリラックスしていく。
1章分ほど進んだタイミングで、先生はこちらを見る。その目は胡散臭いという感情がしっかりと現れていた。
「なあ、これ本当に覚えているのか?全然寝てるように見えるが。」
「中身をきちんと理解してるかは怪しいですけど、文章を丸暗記はできていると思います。」
「・・・教師としてはそういう勉強法はあまり喜ばしくはないんだが・・・まあ、てんすうを取れてる以上は何も言えないな。区切りもいいしここまでにしようか。」
「わかりました。じゃ、先輩、仕上げしますよ。動かないでくださいね。」
「んー?」
「はーい。いきますよー。」
綿棒を竹耳かきに取り替え、梵天側を耳に入れる。ネジをドライバーで巻き取るように、くるくると、ネジ穴がなめないようなやさしさで回しながら汚れを取り除く。
「はいおしまい。先輩。さっさと下りてください。僕はもう帰りますよ。」
「えー・・・後5分・・・」
「てい!」
クッションを頭に押し付ける。
「フガ!ははっは!ははっはへば!」
「わかったならさっさとおりて。本の内容確認は先生にしてもらってください。」
「なるほど。一年の男子がここまで気が強いなら耳かきでも心配いらないってことか。」
違うそうじゃない。先生までボケに回らないで?
「もう。柿人くんは耳かきはすごい気持ち良いのに、終わると冷たいんだから。」
「なんとでも言ってください。じゃあ、また明日。明日からは大会に向けた本格的な練習を期待してます。」
「!任せて!スペシャルメニュー考えとくから!!!」
先輩にとってメニューを期待されるのはかなり嬉しいことだったらしい。目を輝かせて宣言するその姿は、久しぶりに耳かき部の部長というオーラを感じた。
「信じられん・・・本当に満点とは・・・」
「耳かきに不可能はないのです!わかりましたか?せ・ん・せ・い?モガッ!!」
友梨奈先輩はここぞとばかりに調子にのるが宮古先輩から預かったくっしょんを顔面に押し当てる。
「煽らないでください先輩。むしろ今まで普通に勉強してない分悪いのはどっちかというと先輩です。すみません先生。この人ちょっと調子乗りやすくて・・・」
「いや、俺も信じてやれなくて悪かったな。勉強方法はいまだにしんじられんがすくなくとも不正はしてないのはわかった。十分だ。」
「いや、十分じゃないです!!」
友梨奈先輩は拳を握りしめる。
「まだ耳かき勉強法の実施現場をみてもらってません!それもみてもらう約束だったでしょ!?私と耳かきがすごいところをちゃんと見てもらわないと!」
「いや、俺は不正さえなければそれで・・・」
「諦めてください。こうなった先輩はいうこと聞かないから・・・なんか適当なプリントでも本でも、暗記させるものがあれば、満足すると思うんで・・・じゃ、先輩、膝にどうぞ。」
「はーい!」
膝に改めて、友梨奈先輩を誘う。友梨奈先輩は走り寄って、ゆっくりと身を預ける。
「お前手なれてるな・・・女子相手にそこまで無防備なの、若干心配だぞ・・・」
先生の冷静な指摘を受け、異性を膝に乗せることに違和感を失った自分
実感する。寂しい気もしたが、耳かきを続けていく上では耳かきの常識にそまっていくことはむしろ望ましいとすら感じている自分もいることを実感する。
「えー!先生、もしかして私やみゃーちゃんが柿人くんにひどいことすると思ってます?心外なんですけど!私たち、超仲良しですよ!?」
何言ってんだこいつ。
「いや、すまん。まあ、当人たちが気にしてないならいいんだけどな。耳かきだしな。うん。」
そうはならんだろ。もっと粘れよ。
「まあ、とにかく。耳かきしながらだったら覚えられるんだったな。じゃあ、始めようか。」
「はい。じゃ、先輩。行きますよ。」
「はーい!」
綿棒を取り出し、先輩の耳を伸ばして穴の中を確認していく。とはいえ、試験勉強でも何度もやった耳穴。どれだけ代謝のいい人間でもこのひんどの耳かきでは耳垢は溜まらない。細かな汚れとも言えないようなカスが少量あるのみ。
「汚れは少ないんで、マッサージを中心にやっていきますね。」
「やっぱりそんなに溜まってないかー。これ終わったら大会まで私は受けがわを我慢しなきゃだねー。」
「そうですね。じゃ、ツボを押していきますよ。集中して、先生の言葉をよく聞いて覚えてくださいね。」
「うん。」
友梨奈先輩は返事をすると目を閉じて脱力し、話を聞く姿勢になる。
「じゃあ、いくぞ。」
そういって先生は教科書だろうか、それとも専門書だろうか。何度も読み返したのが窺える赤いブックカバーの本を読み上げていく。
「ふみゅー。」
資本主義がどうとかなんとか。難しくてよくわからない。多分友梨奈先輩もわかっていない。覚えてはいるだろうが。
文節やページの移動に合わせて、綿棒を耳穴のツボにあてて軽く押して、細かい汚れがついた綿棒は、取り替えて、話題が移り変わるころにまっさら綿棒が新たに耳にはいり、先輩の頭も綺麗にしていく。
本のリズムと耳かきのリズムを合わせ、先輩の体はさらにリラックスしていく。
1章分ほど進んだタイミングで、先生はこちらを見る。その目は胡散臭いという感情がしっかりと現れていた。
「なあ、これ本当に覚えているのか?全然寝てるように見えるが。」
「中身をきちんと理解してるかは怪しいですけど、文章を丸暗記はできていると思います。」
「・・・教師としてはそういう勉強法はあまり喜ばしくはないんだが・・・まあ、てんすうを取れてる以上は何も言えないな。区切りもいいしここまでにしようか。」
「わかりました。じゃ、先輩、仕上げしますよ。動かないでくださいね。」
「んー?」
「はーい。いきますよー。」
綿棒を竹耳かきに取り替え、梵天側を耳に入れる。ネジをドライバーで巻き取るように、くるくると、ネジ穴がなめないようなやさしさで回しながら汚れを取り除く。
「はいおしまい。先輩。さっさと下りてください。僕はもう帰りますよ。」
「えー・・・後5分・・・」
「てい!」
クッションを頭に押し付ける。
「フガ!ははっは!ははっはへば!」
「わかったならさっさとおりて。本の内容確認は先生にしてもらってください。」
「なるほど。一年の男子がここまで気が強いなら耳かきでも心配いらないってことか。」
違うそうじゃない。先生までボケに回らないで?
「もう。柿人くんは耳かきはすごい気持ち良いのに、終わると冷たいんだから。」
「なんとでも言ってください。じゃあ、また明日。明日からは大会に向けた本格的な練習を期待してます。」
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