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青年セオドリク①
ロマーナ王国シルベール領。
異国からこの国に来た俺は、1月程前から毎日この地で炊き出しをしている。
え? 何故かって。実はこの国は他国からの物流が止められ、物が入って来なくなったんだ。
特に食料品不足は深刻で、今ではパン1つが信じられない様な金額で売られている。
まぁ、それも仕方のない事だ。
今から5年前、この国に大規模な地震が起こった。
王家や貴族達はその時に、殆どの食糧備蓄を放出してしまったらしい。
それに加え、地震により農地にも甚大な被害を受けた。
この国の食糧収穫量は大幅に落ち込み、未だ震災前と比べると遠く及ばないのが現状だ。
そんな状況の中での今回の物流停止は、国にとっては死活問題だろう。
そんな訳で宰相様が貴族達から支援金ってのを募ったらしいんだけど、まぁ、何処の貴族も苦しい訳だ。
で、なかなか支援金も集まらないらしいと噂で聞いた。
まぁ、ここの領地の人達も皆、満足な食事も取れない人が多い事。多い事。
そこで俺の出番と言うわけだ。俺の実家は異国でかなり手広く商売をしている。俺は実家から食料を分けてもらい、この領地で炊き出しを始める事にした訳さ。
まぁ、人助けってやつだな。
始めた当初は、俺が異国人と言う事もあり1日に数人位しか来ては貰えなかったが、その後、食糧不足がどんどん深刻化していった事と、それに伴う更なる食糧品の価格高騰のせいもあって、今では俺の炊き出しを待ち侘びる人で大行列だ。
「流石にこの人数になると1人じゃ捌ききれないな。炊き出しはもう止めるか」
俺が1言そう呟いただけで、翌日から大量のボランティアがやって来た程だ。
そいつらの話や、炊き出しに来てくれた人達との会話を通じて、俺はこの領地の事が少しずつ分かる様になって来た。
ここの領主様は、公爵様って言って、この国の中では王家に次いで偉い人らしい。
だが、この領主様。とんでもない金の亡者で、今も領民には何の援助もしてくれないって、皆んなぼやいていたな。
そうこうしている内に、ボランティアの1人が来た様だ。
「お! カイル、すまないな。悪いが其処の人参、切ってくれるか」
「はい! 分かりました」
彼は答える。カイルは歳は恐らく40前後、ブラウンの髪にグレーの、変わった色の瞳の色をしている。
言い忘れていたが、俺がこの国に来た本当の目的は人探しと情報収集だ。
後1つあるんだが、それはおいおい話すとしよう。
で、本題だが、カイルは俺の探している男に特徴がピッタリなんだ。
俺は先日、さっきみたいにカイルに野菜を切らせ、彼が使ったナイフを俺の祖国へと送ってみた。俺の祖国にはまだ他国には導入されていない指紋鑑定って呼ばれる検査方法があって、それで本人かどうかを確認する事が出来るんだ。
先程その結果が来た。答えは正解だ。
俺が思った通り間違いなくカイルはカイザード・ロッシ。
彼は当時、ロッシ子爵家の次男で、イーニア・ロレットと言う女の恋人だった。
俺は近くにあった木から枝を1本手折り、野菜を切っているカイルに向かって振り下ろした。
だが、カイルはその気配に気付いたのか、身を翻してそれを避けた。
「……っ! 貴様、何をする!?」
カイルは叫んだ。
「ふっ。お前では無く貴様か? お前、まるで貴族みたいだな? あ、違うか。元は騎士だもんな。なぁ、カイザード・ロッシ」
「……な」
「あ、もしかして俺が何者かって聞きたい? でも、今はまだ教えられない。ただ1つだけ。お前もシルベールにはなかなか手が出せないだろう? だから、お前のその復讐、俺も協力してやるよ。俺もあいつとその娘に大切な人を殺されたんだ。今の俺は、あいつらに復讐する。ただそのためだけに生きているんだよ…。なぁ、お前も俺と同じだろう?」
異国からこの国に来た俺は、1月程前から毎日この地で炊き出しをしている。
え? 何故かって。実はこの国は他国からの物流が止められ、物が入って来なくなったんだ。
特に食料品不足は深刻で、今ではパン1つが信じられない様な金額で売られている。
まぁ、それも仕方のない事だ。
今から5年前、この国に大規模な地震が起こった。
王家や貴族達はその時に、殆どの食糧備蓄を放出してしまったらしい。
それに加え、地震により農地にも甚大な被害を受けた。
この国の食糧収穫量は大幅に落ち込み、未だ震災前と比べると遠く及ばないのが現状だ。
そんな状況の中での今回の物流停止は、国にとっては死活問題だろう。
そんな訳で宰相様が貴族達から支援金ってのを募ったらしいんだけど、まぁ、何処の貴族も苦しい訳だ。
で、なかなか支援金も集まらないらしいと噂で聞いた。
まぁ、ここの領地の人達も皆、満足な食事も取れない人が多い事。多い事。
そこで俺の出番と言うわけだ。俺の実家は異国でかなり手広く商売をしている。俺は実家から食料を分けてもらい、この領地で炊き出しを始める事にした訳さ。
まぁ、人助けってやつだな。
始めた当初は、俺が異国人と言う事もあり1日に数人位しか来ては貰えなかったが、その後、食糧不足がどんどん深刻化していった事と、それに伴う更なる食糧品の価格高騰のせいもあって、今では俺の炊き出しを待ち侘びる人で大行列だ。
「流石にこの人数になると1人じゃ捌ききれないな。炊き出しはもう止めるか」
俺が1言そう呟いただけで、翌日から大量のボランティアがやって来た程だ。
そいつらの話や、炊き出しに来てくれた人達との会話を通じて、俺はこの領地の事が少しずつ分かる様になって来た。
ここの領主様は、公爵様って言って、この国の中では王家に次いで偉い人らしい。
だが、この領主様。とんでもない金の亡者で、今も領民には何の援助もしてくれないって、皆んなぼやいていたな。
そうこうしている内に、ボランティアの1人が来た様だ。
「お! カイル、すまないな。悪いが其処の人参、切ってくれるか」
「はい! 分かりました」
彼は答える。カイルは歳は恐らく40前後、ブラウンの髪にグレーの、変わった色の瞳の色をしている。
言い忘れていたが、俺がこの国に来た本当の目的は人探しと情報収集だ。
後1つあるんだが、それはおいおい話すとしよう。
で、本題だが、カイルは俺の探している男に特徴がピッタリなんだ。
俺は先日、さっきみたいにカイルに野菜を切らせ、彼が使ったナイフを俺の祖国へと送ってみた。俺の祖国にはまだ他国には導入されていない指紋鑑定って呼ばれる検査方法があって、それで本人かどうかを確認する事が出来るんだ。
先程その結果が来た。答えは正解だ。
俺が思った通り間違いなくカイルはカイザード・ロッシ。
彼は当時、ロッシ子爵家の次男で、イーニア・ロレットと言う女の恋人だった。
俺は近くにあった木から枝を1本手折り、野菜を切っているカイルに向かって振り下ろした。
だが、カイルはその気配に気付いたのか、身を翻してそれを避けた。
「……っ! 貴様、何をする!?」
カイルは叫んだ。
「ふっ。お前では無く貴様か? お前、まるで貴族みたいだな? あ、違うか。元は騎士だもんな。なぁ、カイザード・ロッシ」
「……な」
「あ、もしかして俺が何者かって聞きたい? でも、今はまだ教えられない。ただ1つだけ。お前もシルベールにはなかなか手が出せないだろう? だから、お前のその復讐、俺も協力してやるよ。俺もあいつとその娘に大切な人を殺されたんだ。今の俺は、あいつらに復讐する。ただそのためだけに生きているんだよ…。なぁ、お前も俺と同じだろう?」
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