25 / 36
罪と罰 側妃イヴァンナ③
しおりを挟む
「王妃の愛した男はな。彼女の死を知って嘆き悲しみ、彼女の仇を取ろうとずっと動いていた。彼は言ったよ。今の自分はただ、その為だけに生きていると…。お前達は知らないだろうが、シルベールはもう全てを失っている」
「全て…?」
「ああ、全てだ。王都を捨てて逃げたお前達は、もう2度と戻れない。屋敷も既に領民達によって占領されている。お前達にはもう、帰る場所さえないんだ。あの時逃げた夫人達も、今頃は領民達によって取り押さえられているだろう。先導したのは勿論その男だ」
「王妃の愛した人…ですか?」
「ああ、俺と一緒にいた男。あの男がそうだよ。気付かなかったか? 随分とわかり易くお前に敵意を向けていただろう?」
カイザードはそう言って笑った。
あの男…。そうだわ。初めて此処に来た日、王妃の事を罵倒した私を、恐ろしいと感じる程に怒りの籠った目で見つめていた。
あの時、私に向かって今にも剣を振り下ろさんばかりだった彼を、カイザードが必死に抑えていた。
今、此処で殺しても、私は反省も後悔もしないって…。
何故今まで気付かなかったのだろう?
…………。
理由なんて分かっている。私は人の気持ちなんて考えた事も無かったから。
ただ自分の欲望の為だけに生きて来たから。
ああ、そうか…。パンなんて食べても食べなくても、最初から関係なかったんだ。
「漸く気付いた様だな。そうだよ。王妃様を殺めた時点で、もう、お前の命が助かる道はないんだ。お前は間違えたんだよ」
「間違えた…?」
「ああ、貴族の娘として生まれたんだ。お前も貴族の婚姻が色恋だけで結ばれるものじゃない事くらい、理解しているだろう? まして王妃様は王女として生まれた。例えどれほど愛する男がいようとも、彼女は政略結婚を受け入れるしかなかったんだ。だから王妃様を恨むのはお門違いってもんだ。お前が本当に恨むべきは、その元凶を作った男だったんだよ。お前にはそれが誰だったのかもう分かっている筈だ。そして王妃様がこの国へ嫁がなければならなかった本当の理由もな」
「元凶を作った男…」
私はそう呟いて目の前で眠る男を見た。
この男に私は人生を狂わされた。
ジュリアスには王家の血は1滴も流れていない。カイザードはそう言った。ジュリアスは俺の子だと。
ならば、恐らく王妃様がこの国に嫁いだのは王家の血筋を継承するため。
王妃様の母はこの国に王女だったから。
ジュリアスが王家の血を引かないとなれば、彼は王である由縁を失う。だからこの事は一部の者のみの秘匿とされた。
義父はそれを巧みに利用した。
ジルハイムと王妃様を悪者にし、私を持ち上げた。私は悲劇の公女と持て囃される自分に酔っていたのだ。
周りは全て私に優しく、自分なら何をしても許されると思い込んでいた。
でもそんな私でも、少なくともこの男の口車に乗らなければ、王妃様や彼女の侍女を殺める事は無かった。
私が王妃様を殺めた事を知ったジュリアスは、私を遠ざけ、今ではまるで恐ろしい者を見る様な目で私を見る。
この男のせいで私は大切な人からの愛も失ったのだ。
それなのに、この男はお前のせいだと罵り、私から命を繋ぐためのたった1つのパンさえ奪い取った。
こんな男の言いなりになって私は一体、今まで何をしてきたのだろう。
しかも私はこんな男に身を任せていた。途端に自分が穢らわしい者の様に感じ、身震いがした。
ふと思った。もし私が此処で死んだら、王妃様の様に本気で私の死を悲しんでくれる人はいるのだろうか…と。
……そんな人、誰も思い浮かばなかった。
私は伯母であるイーニアと言う人を知らない。私が生まれた時、彼女は既に亡くなっていたからだ。
ただ、噂では聞いていた。エラルド陛下の寵愛を一身に受けた妃だったと。
そして伯爵令嬢だった母が格下の子爵である父の元へ嫁いだのは、祖母ジェシカと共に伯母を虐げていたからだと。
姉は国王の寵妃。反して妹の自分は子爵夫人。母はそれが耐えられない程の屈辱だった様だ。
だから伯母の面影がある私に子供の頃から辛く当たり、後継である弟ばかりを可愛がった。
父はそんな母に嫌気が刺し、他に愛を求め、家には帰らなくなった。
すると更に母は怒りを私にぶつけた。
「お前のせいだ」と…。
私は自分がどれ程伯母に似ているのかは知らない。何せ会った事がないのだ。
それでも、私は伯母に似たこの容姿を恨んだ。
だが、皮肉な事にそんな私を救ってくれたのは、私が疎ましく思っていたこの容姿だった。
私の前に突然シルベールが現れて、私はウィリアムの妃選びの場へと連れて行かれた。
私はその場で並み居る高位貴族の令嬢達を押し除けて、彼の婚約者に選ばれたのだ。
「やっと目障りだった貴方が役に立つ時が来た」
両親は欲に目が眩んで、まだ幼かった私をシルベールの養女へとあっさりと差し出した。今では子爵家とは思えない程、派手な暮らしをしていると聞く。
聞くと言うのは、もう何年も彼らには会ってもいないし、会いに来てくれた事もないからだ。
ジュリアスの婚約者になってからの私は、今までとは打って変わり贅沢三昧の生活を送った。
周りの皆が私に優しく、私の言う事は何でも聞いてくれた。
でも……。
王妃の死以来、ジュリアスの寵愛を失った私に、侍女達も手の平を返した様に冷たくなった。
ジルハイムからのビラが配られると、更にそれは酷くなった。皆が蔑む様な目で私を見る。
私に優しくしてくれたのは、シルベールとジュリアスの持つ権力に阿っていただけだったのだ。気付いた時にはもう遅かった。
私の周りには誰1人いなかった。
きっと私には悲しんでくれる人なんて誰もいない…。そんな風に考えると突然、体中の力が抜けた様に感じ、私はその場に蹲込んだ。
そんな私にカイザードは憐れむ様な目を向けると、部屋から出て行った。
そして何故かまた戻って来たカイザードは、「食え!」と言って、私の前にパンを差し出した。
「え? でも今日のパンはもう無くなったはずです」
戸惑う私に彼は言った。
「お前は自分からパンを奪ったこの男を見捨てず、俺に助けを求めた。そのお陰でこの男の命は助かった。だからこれはその駄賃だ。それにお前の体力は既に限界に近い。俺はお前に死んで欲しくはないんだ…」
カイザードがこんな言葉を掛けてくれるなんて思ってもいなかった。
私は顔を上げて、彼を見つめた。
「…貴方は私が嫌いではないの?」
「嫌いか…。そうだな。お前のやった事は人として最低だ。いや寧ろお前が王妃様にした事は鬼畜の所業と言っても良い。だがな、お前はロッシと言う俺の姓を聞いても気づきもしなかったが、お前は俺の従姪に当たるんだ。俺たちは血が繋がっているんだよ。それにお前は、俺の息子ジュリアスが1度は愛した女だ。俺はお前には罪を悔い改め、正統な裁きを受け、鬼畜ではなく人として死んで貰いたいんだ」
「全て…?」
「ああ、全てだ。王都を捨てて逃げたお前達は、もう2度と戻れない。屋敷も既に領民達によって占領されている。お前達にはもう、帰る場所さえないんだ。あの時逃げた夫人達も、今頃は領民達によって取り押さえられているだろう。先導したのは勿論その男だ」
「王妃の愛した人…ですか?」
「ああ、俺と一緒にいた男。あの男がそうだよ。気付かなかったか? 随分とわかり易くお前に敵意を向けていただろう?」
カイザードはそう言って笑った。
あの男…。そうだわ。初めて此処に来た日、王妃の事を罵倒した私を、恐ろしいと感じる程に怒りの籠った目で見つめていた。
あの時、私に向かって今にも剣を振り下ろさんばかりだった彼を、カイザードが必死に抑えていた。
今、此処で殺しても、私は反省も後悔もしないって…。
何故今まで気付かなかったのだろう?
…………。
理由なんて分かっている。私は人の気持ちなんて考えた事も無かったから。
ただ自分の欲望の為だけに生きて来たから。
ああ、そうか…。パンなんて食べても食べなくても、最初から関係なかったんだ。
「漸く気付いた様だな。そうだよ。王妃様を殺めた時点で、もう、お前の命が助かる道はないんだ。お前は間違えたんだよ」
「間違えた…?」
「ああ、貴族の娘として生まれたんだ。お前も貴族の婚姻が色恋だけで結ばれるものじゃない事くらい、理解しているだろう? まして王妃様は王女として生まれた。例えどれほど愛する男がいようとも、彼女は政略結婚を受け入れるしかなかったんだ。だから王妃様を恨むのはお門違いってもんだ。お前が本当に恨むべきは、その元凶を作った男だったんだよ。お前にはそれが誰だったのかもう分かっている筈だ。そして王妃様がこの国へ嫁がなければならなかった本当の理由もな」
「元凶を作った男…」
私はそう呟いて目の前で眠る男を見た。
この男に私は人生を狂わされた。
ジュリアスには王家の血は1滴も流れていない。カイザードはそう言った。ジュリアスは俺の子だと。
ならば、恐らく王妃様がこの国に嫁いだのは王家の血筋を継承するため。
王妃様の母はこの国に王女だったから。
ジュリアスが王家の血を引かないとなれば、彼は王である由縁を失う。だからこの事は一部の者のみの秘匿とされた。
義父はそれを巧みに利用した。
ジルハイムと王妃様を悪者にし、私を持ち上げた。私は悲劇の公女と持て囃される自分に酔っていたのだ。
周りは全て私に優しく、自分なら何をしても許されると思い込んでいた。
でもそんな私でも、少なくともこの男の口車に乗らなければ、王妃様や彼女の侍女を殺める事は無かった。
私が王妃様を殺めた事を知ったジュリアスは、私を遠ざけ、今ではまるで恐ろしい者を見る様な目で私を見る。
この男のせいで私は大切な人からの愛も失ったのだ。
それなのに、この男はお前のせいだと罵り、私から命を繋ぐためのたった1つのパンさえ奪い取った。
こんな男の言いなりになって私は一体、今まで何をしてきたのだろう。
しかも私はこんな男に身を任せていた。途端に自分が穢らわしい者の様に感じ、身震いがした。
ふと思った。もし私が此処で死んだら、王妃様の様に本気で私の死を悲しんでくれる人はいるのだろうか…と。
……そんな人、誰も思い浮かばなかった。
私は伯母であるイーニアと言う人を知らない。私が生まれた時、彼女は既に亡くなっていたからだ。
ただ、噂では聞いていた。エラルド陛下の寵愛を一身に受けた妃だったと。
そして伯爵令嬢だった母が格下の子爵である父の元へ嫁いだのは、祖母ジェシカと共に伯母を虐げていたからだと。
姉は国王の寵妃。反して妹の自分は子爵夫人。母はそれが耐えられない程の屈辱だった様だ。
だから伯母の面影がある私に子供の頃から辛く当たり、後継である弟ばかりを可愛がった。
父はそんな母に嫌気が刺し、他に愛を求め、家には帰らなくなった。
すると更に母は怒りを私にぶつけた。
「お前のせいだ」と…。
私は自分がどれ程伯母に似ているのかは知らない。何せ会った事がないのだ。
それでも、私は伯母に似たこの容姿を恨んだ。
だが、皮肉な事にそんな私を救ってくれたのは、私が疎ましく思っていたこの容姿だった。
私の前に突然シルベールが現れて、私はウィリアムの妃選びの場へと連れて行かれた。
私はその場で並み居る高位貴族の令嬢達を押し除けて、彼の婚約者に選ばれたのだ。
「やっと目障りだった貴方が役に立つ時が来た」
両親は欲に目が眩んで、まだ幼かった私をシルベールの養女へとあっさりと差し出した。今では子爵家とは思えない程、派手な暮らしをしていると聞く。
聞くと言うのは、もう何年も彼らには会ってもいないし、会いに来てくれた事もないからだ。
ジュリアスの婚約者になってからの私は、今までとは打って変わり贅沢三昧の生活を送った。
周りの皆が私に優しく、私の言う事は何でも聞いてくれた。
でも……。
王妃の死以来、ジュリアスの寵愛を失った私に、侍女達も手の平を返した様に冷たくなった。
ジルハイムからのビラが配られると、更にそれは酷くなった。皆が蔑む様な目で私を見る。
私に優しくしてくれたのは、シルベールとジュリアスの持つ権力に阿っていただけだったのだ。気付いた時にはもう遅かった。
私の周りには誰1人いなかった。
きっと私には悲しんでくれる人なんて誰もいない…。そんな風に考えると突然、体中の力が抜けた様に感じ、私はその場に蹲込んだ。
そんな私にカイザードは憐れむ様な目を向けると、部屋から出て行った。
そして何故かまた戻って来たカイザードは、「食え!」と言って、私の前にパンを差し出した。
「え? でも今日のパンはもう無くなったはずです」
戸惑う私に彼は言った。
「お前は自分からパンを奪ったこの男を見捨てず、俺に助けを求めた。そのお陰でこの男の命は助かった。だからこれはその駄賃だ。それにお前の体力は既に限界に近い。俺はお前に死んで欲しくはないんだ…」
カイザードがこんな言葉を掛けてくれるなんて思ってもいなかった。
私は顔を上げて、彼を見つめた。
「…貴方は私が嫌いではないの?」
「嫌いか…。そうだな。お前のやった事は人として最低だ。いや寧ろお前が王妃様にした事は鬼畜の所業と言っても良い。だがな、お前はロッシと言う俺の姓を聞いても気づきもしなかったが、お前は俺の従姪に当たるんだ。俺たちは血が繋がっているんだよ。それにお前は、俺の息子ジュリアスが1度は愛した女だ。俺はお前には罪を悔い改め、正統な裁きを受け、鬼畜ではなく人として死んで貰いたいんだ」
1,969
あなたにおすすめの小説
【完結】貴方の傍に幸せがないのなら
なか
恋愛
「みすぼらしいな……」
戦地に向かった騎士でもある夫––ルーベル。
彼の帰りを待ち続けた私––ナディアだが、帰還した彼が発した言葉はその一言だった。
彼を支えるために、寝る間も惜しんで働き続けた三年。
望むままに支援金を送って、自らの生活さえ切り崩してでも支えてきたのは……また彼に会うためだったのに。
なのに、なのに貴方は……私を遠ざけるだけではなく。
妻帯者でありながら、この王国の姫と逢瀬を交わし、彼女を愛していた。
そこにはもう、私の居場所はない。
なら、それならば。
貴方の傍に幸せがないのなら、私の選択はただ一つだ。
◇◇◇◇◇◇
設定ゆるめです。
よろしければ、読んでくださると嬉しいです。
言い訳は結構ですよ? 全て見ていましたから。
紗綺
恋愛
私の婚約者は別の女性を好いている。
学園内のこととはいえ、複数の男性を侍らす女性の取り巻きになるなんて名が泣いているわよ?
婚約は破棄します。これは両家でもう決まったことですから。
邪魔な婚約者をサクッと婚約破棄して、かねてから用意していた相手と婚約を結びます。
新しい婚約者は私にとって理想の相手。
私の邪魔をしないという点が素晴らしい。
でもべた惚れしてたとか聞いてないわ。
都合の良い相手でいいなんて……、おかしな人ね。
◆本編 5話
◆番外編 2話
番外編1話はちょっと暗めのお話です。
入学初日の婚約破棄~の原型はこんな感じでした。
もったいないのでこちらも投稿してしまいます。
また少し違う男装(?)令嬢を楽しんでもらえたら嬉しいです。
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。
たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。
次の人生では幸せになりたい。
前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!!
自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。
そして元彼のことも。
現代と夢の中の前世の話が進行していきます。
妹に婚約者を奪われましたが、私の考えで家族まとめて終わりました。
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・フォンテーヌ公爵令嬢は、エドガー・オルレアン伯爵令息と婚約している。セリーヌの父であるバラック公爵は後妻イザベルと再婚し、その娘であるローザを迎え入れた。セリーヌにとって、その義妹であるローザは、婚約者であり幼馴染のエドガーを奪おうと画策する存在となっている。
さらに、バラック公爵は病に倒れ寝たきりとなり、セリーヌは一人で公爵家の重責を担うことになった。だが、イザベルとローザは浪費癖があり、次第に公爵家の財政を危うくし、家を自分たちのものにしようと企んでいる。
セリーヌは、一族が代々つないできた誇りと領地を守るため、戦わなければならない状況に立たされていた。異世界ファンタジー魔法の要素もあるかも
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる