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第17話
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「頼む……もう止めてくれ。
これ以上はキルシュが壊れてしまう……」
若い商人はまるで腐ったどぶ川の水の様な匂いのする石の床に顔を突っ伏して目を固く閉じたままで居た。
その間、メイドは数えきれない回数、快楽の絶頂に上り詰めさせられていた。もちろん町長の男はいつの間にか自身の物を使うのを止め、それ専用の形作られた器具を使ってメイドを弄んでいた。快楽の頂に達した事を示すメイドが上げる悲鳴にも似た嬌声の間隔は、どんどんその周期を短くしていた。そしてそれに反してその声は徐々に小さくなっていった。休みなく責め抜かれメイドはもう一時たりとも意識を失う事すら許されなくなっていた。意識を失く事はなくとも、メイドの精神その物は疲弊の極みに達していたのだろう。彼女の精神は覚醒と消失の狭間をただひたすらさまよい続けていた。すでに何も考える事は出来なくなっていた。ただ、無慈悲に続けられる責めから湧き上がって来る快楽に、ただただその身を任せているだけだった。
町長がメイドの体を怪しげな器具で責め立てる淫靡で湿った音と、メイドの上げる荒い呼吸と絶え絶えにそして小さくなった喘ぎ声だけが響いていた地下牢に、突然、何者かの足音が近づいて来た。
「旦那様、大広間での余興の準備が整いました」
その声に若い商人が床から頭を上げると、あの執事が地下牢に入って来た所だった。執事の着る綺麗に整った燕尾服とこの薄汚れた地下牢の差に、商人にはその存在が妙に現実離れした様なものに思えた。
執事の声に町長が膝の上のメイドを責める手を休めてにやりと笑って答えた。
「そうか。
この若造に私のメイドの嬌態を見せ付けるのに飽きて来た所だ。
今度はこの若造にも余興に参加してもらおうじゃないか」
「これ以上、僕らに何をしようと言うんだ、この変態野郎!」
町長の言葉に若い商人は顔を上げて町長を睨みつ怒鳴った。その声に町長の膝の上でぐったりその身を完全に町長の体に預けていたメイドが顔を上げて気だるそうな目で商人の男を見た。それに気がついた商人の男も町長に気づかれぬ様、一瞬だけメイドと視線を合わせた。
「心配するな若造。
今度はお前にも良い想いをさせてやる」
町長はメイドと商人が目を合わせたのには気がつかなかった様だった。ただ、商人をさげすむような眼で見ながらそう言って笑った。
若い商人が連れてこられた場所は、そこは舞踏会でも開けそうなほどの広さを持つ部屋と言うよりホールだった。そして一段高いひな壇に天蓋付きの御大層な椅子があり、それはあたかも『玉座の間』と言う体をしていた。
そしてその玉座には、あの町長がまさに『王』の如く座っている。そして、全裸のメイドがその膝の上に乗せられていた。今は自身の物やいかがわしい道具で責められることはなくなっていたが、それでも町長はいやらしい手付きでメイドの小ぶりながら形の良い胸を弄んでいた。
薄暗い地下牢では良く分からなかったが、明るいこの場所では仮面を外されたメイドの額から左の頬に掛けて旧い火傷の痕がはっきりと見えた。それにその体の所々にも同じような旧い火傷の痕があった。メイドはそれを醜いと感じ仮面で隠していたのであろうが、こうして明るい場所で見るとそれは醜いと言うよりかえってメイドの美しさを強調するスパイスの様に思えた。
ただでさえ非常に珍しい黒髪と黒い瞳を持つ女。それに何かしら隠された過去を表す様な顔や体に残る火傷の痕。それは常世の物ではない神秘的な魔性の美しさを醸し出していた。
メイドのはまだかろうじて意識はあった。それでも長時間休みなく無理やり上り詰め続けさせられた疲労は激しく、その意識はまるで濃い霧の中に居る様な感覚だった。ただぐったりとその身を町長に任せ、されるがままになっていた。それを若い商人はただ悔し気に見詰めるだけだった。
この若い商人にとってこのメイドは単なるメイドではなかった。実の母が病弱だった事もあり、まだ記憶のない頃からずっとこのメイドは傍に居た。メイドはいつも彼に優しく、しかし甘やかせるだけではなく、きちんと厳しい面もあった。実の母が彼がまだ幼い頃に亡くなった事もあり、彼にとってそのメイドはまさに『母』、そしてある程度成長してからは『姉』だった。
これ以上はキルシュが壊れてしまう……」
若い商人はまるで腐ったどぶ川の水の様な匂いのする石の床に顔を突っ伏して目を固く閉じたままで居た。
その間、メイドは数えきれない回数、快楽の絶頂に上り詰めさせられていた。もちろん町長の男はいつの間にか自身の物を使うのを止め、それ専用の形作られた器具を使ってメイドを弄んでいた。快楽の頂に達した事を示すメイドが上げる悲鳴にも似た嬌声の間隔は、どんどんその周期を短くしていた。そしてそれに反してその声は徐々に小さくなっていった。休みなく責め抜かれメイドはもう一時たりとも意識を失う事すら許されなくなっていた。意識を失く事はなくとも、メイドの精神その物は疲弊の極みに達していたのだろう。彼女の精神は覚醒と消失の狭間をただひたすらさまよい続けていた。すでに何も考える事は出来なくなっていた。ただ、無慈悲に続けられる責めから湧き上がって来る快楽に、ただただその身を任せているだけだった。
町長がメイドの体を怪しげな器具で責め立てる淫靡で湿った音と、メイドの上げる荒い呼吸と絶え絶えにそして小さくなった喘ぎ声だけが響いていた地下牢に、突然、何者かの足音が近づいて来た。
「旦那様、大広間での余興の準備が整いました」
その声に若い商人が床から頭を上げると、あの執事が地下牢に入って来た所だった。執事の着る綺麗に整った燕尾服とこの薄汚れた地下牢の差に、商人にはその存在が妙に現実離れした様なものに思えた。
執事の声に町長が膝の上のメイドを責める手を休めてにやりと笑って答えた。
「そうか。
この若造に私のメイドの嬌態を見せ付けるのに飽きて来た所だ。
今度はこの若造にも余興に参加してもらおうじゃないか」
「これ以上、僕らに何をしようと言うんだ、この変態野郎!」
町長の言葉に若い商人は顔を上げて町長を睨みつ怒鳴った。その声に町長の膝の上でぐったりその身を完全に町長の体に預けていたメイドが顔を上げて気だるそうな目で商人の男を見た。それに気がついた商人の男も町長に気づかれぬ様、一瞬だけメイドと視線を合わせた。
「心配するな若造。
今度はお前にも良い想いをさせてやる」
町長はメイドと商人が目を合わせたのには気がつかなかった様だった。ただ、商人をさげすむような眼で見ながらそう言って笑った。
若い商人が連れてこられた場所は、そこは舞踏会でも開けそうなほどの広さを持つ部屋と言うよりホールだった。そして一段高いひな壇に天蓋付きの御大層な椅子があり、それはあたかも『玉座の間』と言う体をしていた。
そしてその玉座には、あの町長がまさに『王』の如く座っている。そして、全裸のメイドがその膝の上に乗せられていた。今は自身の物やいかがわしい道具で責められることはなくなっていたが、それでも町長はいやらしい手付きでメイドの小ぶりながら形の良い胸を弄んでいた。
薄暗い地下牢では良く分からなかったが、明るいこの場所では仮面を外されたメイドの額から左の頬に掛けて旧い火傷の痕がはっきりと見えた。それにその体の所々にも同じような旧い火傷の痕があった。メイドはそれを醜いと感じ仮面で隠していたのであろうが、こうして明るい場所で見るとそれは醜いと言うよりかえってメイドの美しさを強調するスパイスの様に思えた。
ただでさえ非常に珍しい黒髪と黒い瞳を持つ女。それに何かしら隠された過去を表す様な顔や体に残る火傷の痕。それは常世の物ではない神秘的な魔性の美しさを醸し出していた。
メイドのはまだかろうじて意識はあった。それでも長時間休みなく無理やり上り詰め続けさせられた疲労は激しく、その意識はまるで濃い霧の中に居る様な感覚だった。ただぐったりとその身を町長に任せ、されるがままになっていた。それを若い商人はただ悔し気に見詰めるだけだった。
この若い商人にとってこのメイドは単なるメイドではなかった。実の母が病弱だった事もあり、まだ記憶のない頃からずっとこのメイドは傍に居た。メイドはいつも彼に優しく、しかし甘やかせるだけではなく、きちんと厳しい面もあった。実の母が彼がまだ幼い頃に亡くなった事もあり、彼にとってそのメイドはまさに『母』、そしてある程度成長してからは『姉』だった。
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