21 / 49
第18話
しおりを挟む
思春期を迎えた彼にとって、いつしかそのメイドは誰にも代え難い『想い人』にまでなった。
そして、忘れもしないあの日、彼のメイドへの強い想いはついに通じ、メイドはその日から彼の『恋人』になった。
その大切な恋人を、自身の目の前で人として決して許されるまでに汚され辱められた。それなのに自分はそれを見ながら何も出来ないでいる。そのどうしようもない怒りの矛先は、そのメイドをあそこまで凌辱しつくした町長へではなく、段々と愛する女一人守れない自分自身へと向けられていった。
「僕はまた……。
ちくしょう……姫君め……。
分かってはいるのに、またあの時の事を思い出してしまうじゃないか」
若い商人は小さくそう呟いて自嘲気味に笑った。
「ふっ……あの若造もいよいよ壊れて来た。
ここで一気に自身も責め立ててぶっ壊してやる。
目の前で前の主人が壊れるのを見せればこいつの調教も完璧だな」
一方、そんな若い商人の姿を見て勝手にそう解釈した町長はそう言ってほくそ笑んだ。そして、自身の身にすべてをゆだねる様にぐったりともたれ掛かるメイドの黒髪を愛おし気に撫でた。一方、当のメイドは気だるげな表情でちらりと町長を見上げただけだった。
すると大広間のこれ見よがしに大ぶりで華美な装飾が施された扉が開いて、大柄な男が入って来た。男の手には鎖が握られ、その鎖はすぐ後ろに居たメイド服を来た若い女の首元に巻かれた首輪に繋がっていた。そのメイドは黒髪のメイドが町長の手に落ちる前に弄ばれていたあの若いメイドだった。
そして、その二人の後からもう一人男が入って来た。
その男は、前を行く大柄な男とも、町長とも雰囲気が明らかに違っていた。貴族然とした服を少し着崩して纏い、その腰には立派な剣が下げられている。体つきも前を行く男より小柄であるが、町長や若い商人とは全く違う精悍な感じがした。
普通の男なら顔や体に多少の火傷跡があった所であのメイドの、いやメイドでなくとも全裸の若い女のあの様な姿を見れば必ず興味を引かれるのが当たり前だ。しかし、その男は世にも珍しい黒髪を持つ美しい女が全裸で町長の膝の上に乗っているを見ながら、それにはまったく興味が無さそうであった。そればかりか何か面倒な用事でも言いつけられた様に、憮然とした表情で大広間に入って来た。
その男の雰囲気は、あえて言うなら、そう、何かストイックな雰囲気すら漂わせていた。
「あれは……騎士、あるいは騎士崩れか。
下手すると姫君が……」
その時、若い商人の表情が一瞬だけ変わりその目がきらりと光った。そして小さくそう呟いた。もちろん、町長はそんな商人の変化にまったく気付いてはいなかった。
「さて、ではそろそろ、余興の第二部を始めるか」
商人はその口元に残忍な笑みを浮かべながらおもむろにそう言い放った。そして、メイド服姿の若い女の首に繋がった鎖を握る大男に命じた。
「では、さっそく、その女をそこに転がってる男へ……」
町長はそう言って今度はにやにやと見るからにいやらしい笑いを浮かべた。
その言葉に、大男は鎖で引きずる様にしてメイド姿の女を若い商人の前へと引き出した。そして女の両肩を押して若い男の前に跪かせた。女は何か言いたげにその大男を見た。しかし大男は表情一つ変えずに、女の首に巻かれた首輪を外すと、ただ顎でその女に何かを始める様に促しただけだった。
メイド姿の女はそれを見て諦めたかの様な表情を浮かべ目を閉じた。そして一呼吸の後、目をゆっくりと開け、商人の男を見て小声で呟いた。
「ごめんなさい……」
そう呟くと女はおもむろに商人の男のベルトに手を掛けた。
それを見て、にやにやといやらしい笑いを浮かべた町長はメイド姿の女を引き連れて来た大男に声を掛けた。
「もうお前は良いぞ」
町長の言葉を聞いて、その大男は町長に仰々しく頭を下げると、外した首輪と鎖を手に持って大広間をそっと出て行った。
「おい……一体、何をするつもりだ?」
商人の男は驚きの表情でメイド姿の女を見て思わず声を上げた。しかし女は一瞬、その男の顔を見ただけですぐに顔を伏せてしまった。そして、ゆっくりと男のベルトのバックルを外し、そのままズボンを下した。男の下着が昼の様に明るい大広間の明かりの下に露わになった。
そして、忘れもしないあの日、彼のメイドへの強い想いはついに通じ、メイドはその日から彼の『恋人』になった。
その大切な恋人を、自身の目の前で人として決して許されるまでに汚され辱められた。それなのに自分はそれを見ながら何も出来ないでいる。そのどうしようもない怒りの矛先は、そのメイドをあそこまで凌辱しつくした町長へではなく、段々と愛する女一人守れない自分自身へと向けられていった。
「僕はまた……。
ちくしょう……姫君め……。
分かってはいるのに、またあの時の事を思い出してしまうじゃないか」
若い商人は小さくそう呟いて自嘲気味に笑った。
「ふっ……あの若造もいよいよ壊れて来た。
ここで一気に自身も責め立ててぶっ壊してやる。
目の前で前の主人が壊れるのを見せればこいつの調教も完璧だな」
一方、そんな若い商人の姿を見て勝手にそう解釈した町長はそう言ってほくそ笑んだ。そして、自身の身にすべてをゆだねる様にぐったりともたれ掛かるメイドの黒髪を愛おし気に撫でた。一方、当のメイドは気だるげな表情でちらりと町長を見上げただけだった。
すると大広間のこれ見よがしに大ぶりで華美な装飾が施された扉が開いて、大柄な男が入って来た。男の手には鎖が握られ、その鎖はすぐ後ろに居たメイド服を来た若い女の首元に巻かれた首輪に繋がっていた。そのメイドは黒髪のメイドが町長の手に落ちる前に弄ばれていたあの若いメイドだった。
そして、その二人の後からもう一人男が入って来た。
その男は、前を行く大柄な男とも、町長とも雰囲気が明らかに違っていた。貴族然とした服を少し着崩して纏い、その腰には立派な剣が下げられている。体つきも前を行く男より小柄であるが、町長や若い商人とは全く違う精悍な感じがした。
普通の男なら顔や体に多少の火傷跡があった所であのメイドの、いやメイドでなくとも全裸の若い女のあの様な姿を見れば必ず興味を引かれるのが当たり前だ。しかし、その男は世にも珍しい黒髪を持つ美しい女が全裸で町長の膝の上に乗っているを見ながら、それにはまったく興味が無さそうであった。そればかりか何か面倒な用事でも言いつけられた様に、憮然とした表情で大広間に入って来た。
その男の雰囲気は、あえて言うなら、そう、何かストイックな雰囲気すら漂わせていた。
「あれは……騎士、あるいは騎士崩れか。
下手すると姫君が……」
その時、若い商人の表情が一瞬だけ変わりその目がきらりと光った。そして小さくそう呟いた。もちろん、町長はそんな商人の変化にまったく気付いてはいなかった。
「さて、ではそろそろ、余興の第二部を始めるか」
商人はその口元に残忍な笑みを浮かべながらおもむろにそう言い放った。そして、メイド服姿の若い女の首に繋がった鎖を握る大男に命じた。
「では、さっそく、その女をそこに転がってる男へ……」
町長はそう言って今度はにやにやと見るからにいやらしい笑いを浮かべた。
その言葉に、大男は鎖で引きずる様にしてメイド姿の女を若い商人の前へと引き出した。そして女の両肩を押して若い男の前に跪かせた。女は何か言いたげにその大男を見た。しかし大男は表情一つ変えずに、女の首に巻かれた首輪を外すと、ただ顎でその女に何かを始める様に促しただけだった。
メイド姿の女はそれを見て諦めたかの様な表情を浮かべ目を閉じた。そして一呼吸の後、目をゆっくりと開け、商人の男を見て小声で呟いた。
「ごめんなさい……」
そう呟くと女はおもむろに商人の男のベルトに手を掛けた。
それを見て、にやにやといやらしい笑いを浮かべた町長はメイド姿の女を引き連れて来た大男に声を掛けた。
「もうお前は良いぞ」
町長の言葉を聞いて、その大男は町長に仰々しく頭を下げると、外した首輪と鎖を手に持って大広間をそっと出て行った。
「おい……一体、何をするつもりだ?」
商人の男は驚きの表情でメイド姿の女を見て思わず声を上げた。しかし女は一瞬、その男の顔を見ただけですぐに顔を伏せてしまった。そして、ゆっくりと男のベルトのバックルを外し、そのままズボンを下した。男の下着が昼の様に明るい大広間の明かりの下に露わになった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる