漆黒の万能メイド

化野 雫

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第19話

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「おい、君、何て事始めるんだ。止めろ!」

 商人の男はそう言って手足を縛られたままの不自由な体をよじって女の手から逃れようとた。しかし、手足をしっかりと縛られている身では、ただ芋虫の様にその場でその身をくねらせるだけだった。

「何を嫌がる。別に痛めつけるつもりはない。
 だからお前の楽しめ。
 まあ、お前の愛しい女も見てるんだがな」

 そんな商人を見て町長は声を上げて笑った。

「おい、お前もあの愛しいぼっちゃんをちゃんと見てろよ。
 目を逸らせたりしたら今度は女じゃない部分を徹底的に嬲ってやるからな」

 ひとしきり笑った後、町長は今度は残忍な表情を浮かべた。そして片手で、黒髪の膝の上でぐったりとしている黒髪のメイドの尻をさすりながらそう言い放った。その言葉を聞いて黒髪のメイドの体がびくりと震えた。そして、メイドは気だるそうな表情のまま、ゆっくりと若い商人の方を見た。商人を見るその黒い瞳が悲しみに濡れていた。

「どうした、続けろ!」

 膝の上の黒髪のメイドが商人の男の方を見たのを確認すると町長は、商人のズボンを下ろしたメイド姿の女に向かって怒鳴った。


 その声を聞いてメイド姿の女が再び商人の男の下半身に手を伸ばした。そして露わになった男の下着を掴むとそのままゆっくりとそれを引き下ろした。明かりの下、商人の男の股間にある物が露わになった。メイド服の女は商人の男の一物を見るとゆっくりとそこへ手を伸ばした。

「止めろ! 止めるんだ!」

 商人の男はまるで女が男に襲われそうになったかの様な声を上げた。しかし、メイド姿の女はその手を止めなかった。ただ、死んだ魚の様な濁った瞳で男の股間を見たまま、恋人の物を慈しむ様に両手でその物を弄び始めた。

 相手は世間一般的に言ってかなり美しく、そして若い女だ。例え、この様に狂った状況ながら、若い男の肉体はその意志に反してすぐさま反応をした。女の愛撫を受け、その物は固く、そして見るからに大きくなっていた。それを町長の膝の上で悲し気に見詰める黒髪のメイドの目から一筋涙がこぼれた。


 しっかりとそれが大きくなったのを確認すると、メイド姿の女は一度顔を上げ男の目を見た。

「ごめんなさい、許して……」

 メイド姿の女はそう微かに呟くと、顔を商人の男の顔に近づけた。

 その時、商人の男の唇が微かに動いた。そして、ほんの一瞬だけメイド姿の女の体がぴくりと震えた。しかし、それをにやにやと、さも楽し気に見詰める町長はその事にまったく気付く様子はなった。

「せめて今だけ、すべてを忘れて快楽に身を任せて……」

 メイド姿の女はそう商人の男に耳元で囁くと、そのまま自らの唇を男の唇に押し当てた。

 しばらく、商人の男と舌を絡め合っていたメイド姿の女はゆっくりとその唇を離した。二人の唾液が絡みあい、まるで夜露に濡れた蜘蛛の巣の様な糸を引いた。そして、女は一度、悲し気な瞳で男を見た後、ゆっくりとその顔を男の股間へと進めていった。

 町長の口元に好色と残忍性の入り混じった笑みが浮かんだ。

 町長の膝の上で、商人の男を見ていた黒髪のメイドが思わず目を逸らせた。

「うっ……」

 その瞬間、黒髪のメイドはそう声を漏らして体をのけ反らせた。

「目を逸らすな、見ろ!」

 町長の鋭い声が響いた。町長は黒髪のメイドが目を逸らせた瞬間、尻を撫でまわしていた手の長い人差し指をいきなり黒髪のメイドの女でない部分に突き刺したのだ。黒髪のメイドは思ってもみなかった場所を襲った痛みにその体をのけ反らせたのだ。痛みはやや収まったのものの、なおも続く異物感に黒髪のメイドは眉間に皺を寄せながらもゆっくりと目を開き商人の男を見た。

 一方、メイド姿の女は、完全に商人の男の股間に顔を埋めていた。商人の男は諦めた様に目を閉じ、股間を襲う甘く切ない快楽に時おりその体をびくりびくりと震わせていた。その時、男の物はメイド姿の女の口の中に根元まで納まっていたのだ。

 黒髪のメイドの目から再び涙がこぼれ落ちて来た。それは、あらぬ場所を襲う鈍痛と異物感が生むものだけではなった。
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