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2人での帰省2
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そんなことを話しながら車に揺られているとあっという間に高速を降り、実家に到着した。
三台分停められる家の前の駐車場には、お父さんが普段乗っている車がぽつんと一台だけ置かれており、私たちが車を停めても余裕があるのがなぜか虚しく感じる。
都会からは少し離れ、閑静な住宅街にあるのが私の実家だ。
ひとつ深呼吸をしガチャっと玄関を開ける。
「ただいまー」
「おかえり。瀬奈」
玄関まで迎えに来てくれた父の顔は相変わらず人が良さそうで優しげな笑顔を浮かべている。
この笑顔が幼い頃から私は好きだった。
「後ろの彼が話してくれた付き合ってる人?」
「うん。そうだよ」
「はじめまして。九条夏樹と言います。瀬奈さんとお付き合いさせていただいてます」
結婚するわけでもないのに夏樹が父に挨拶している姿がなんとも違和感を感じる。
だけどお父さんはニコニコした笑顔で夏樹を受け入れていた。
リビングに向かうと、ここに久しぶりに帰ってきた安心感が私の心を満たしていくのが分かった。
そしてダイニングテーブルにはたくさんの料理が準備されている。
どうやらお父さんが全て準備してくれたようで、いい匂いが鼻腔いっぱいに広がった。
久しぶりにお父さんの手料理が食べることができすごく楽しみだ。
「またたくさん作ってくれたんだね」
「そりゃ瀬奈が帰ってくるし、彼氏連れてくるって言うから父さん気合い入れちゃったよ」
「めちゃくちゃ美味しそうです!」
お父さんは私の彼氏という存在を思いのほかすぐに受け入れてくれているようだった。
光輝と付き合ってる時から彼がいるとは話していたが、その時の彼と夏樹が違う人物だということは知らない。
ダイニングテーブルに三人で席に着き、お父さんが作ってくれた料理を食べる。
唐揚げやだし巻き玉子、刺身など私が好きな食べ物が準備されていた。
「んー美味しい!お父さんのご飯久しぶりだけどやっぱ美味しいね」
「よかった喜んでくれて」
お父さんと夏樹も打ち解けることができており少しだけ緊張が解れた。
だけどまだ本題は聞けてないため、私だけが強ばった表情を浮かべている。
「瀬奈。どうした?」
「えっ」
「帰ってきてからずっと険しそうな顔してるぞ」
そんなつもりは全くなかったけど、やっぱりお父さんはさすがだ。
会ってなくても何かを感じとってくれている。
「話したいことがあったの」
「うん、聞くよ」
「⋯美玲のことなんだけど」
妹の名前を出した途端、一瞬お父さんの眉がピクっと動いたのを見逃さなかった。
お父さんにとっても私にとっても、辛い過去を甦らせるには十分な言葉だ。
夏樹も私たちの空気が変わったことを感じとったのか、黙り込み様子を伺っているようだった。
きっとお父さんも私が何を考えているのかなんとなくは想像ついているんだろう。
「今ね私は彼と住んでるんだけど、その家のポストに盗撮された写真が入ってたの。どうやら美玲がやったことみたいで、それに彼女は私を恨んでる」
「⋯⋯」
「私が幸せになることを。私がお父さんに育てられて不自由なく過ごしていることを。自分と比較して、妬んで恨んでる」
「⋯⋯それは父さんのせいかもしれないな」
持っていた箸を起き深くため息をついたお父さん。
お父さんのせい、とはどういうことだろう。
「父さんが向き合わなかったからかもしれない。母さんが不倫して妊娠した後、完全に関わることを辞めてしまったから」
「でもそれは⋯⋯」
「子供は関係ないのに、関係を完全に断ち切ろうとした。それが今、瀬奈にふりかかってしまっているのかもしれない」
お父さんが悪いなんて思わなかった。
母が不倫したのは"つまらなかったから"という理由だとお父さんから聞いたことがある。
つまらなかった、というのがどういう意味を指しているのかは私にも分からない。
だけど父の愛は本物で母も私のことも愛してくれていた。
三台分停められる家の前の駐車場には、お父さんが普段乗っている車がぽつんと一台だけ置かれており、私たちが車を停めても余裕があるのがなぜか虚しく感じる。
都会からは少し離れ、閑静な住宅街にあるのが私の実家だ。
ひとつ深呼吸をしガチャっと玄関を開ける。
「ただいまー」
「おかえり。瀬奈」
玄関まで迎えに来てくれた父の顔は相変わらず人が良さそうで優しげな笑顔を浮かべている。
この笑顔が幼い頃から私は好きだった。
「後ろの彼が話してくれた付き合ってる人?」
「うん。そうだよ」
「はじめまして。九条夏樹と言います。瀬奈さんとお付き合いさせていただいてます」
結婚するわけでもないのに夏樹が父に挨拶している姿がなんとも違和感を感じる。
だけどお父さんはニコニコした笑顔で夏樹を受け入れていた。
リビングに向かうと、ここに久しぶりに帰ってきた安心感が私の心を満たしていくのが分かった。
そしてダイニングテーブルにはたくさんの料理が準備されている。
どうやらお父さんが全て準備してくれたようで、いい匂いが鼻腔いっぱいに広がった。
久しぶりにお父さんの手料理が食べることができすごく楽しみだ。
「またたくさん作ってくれたんだね」
「そりゃ瀬奈が帰ってくるし、彼氏連れてくるって言うから父さん気合い入れちゃったよ」
「めちゃくちゃ美味しそうです!」
お父さんは私の彼氏という存在を思いのほかすぐに受け入れてくれているようだった。
光輝と付き合ってる時から彼がいるとは話していたが、その時の彼と夏樹が違う人物だということは知らない。
ダイニングテーブルに三人で席に着き、お父さんが作ってくれた料理を食べる。
唐揚げやだし巻き玉子、刺身など私が好きな食べ物が準備されていた。
「んー美味しい!お父さんのご飯久しぶりだけどやっぱ美味しいね」
「よかった喜んでくれて」
お父さんと夏樹も打ち解けることができており少しだけ緊張が解れた。
だけどまだ本題は聞けてないため、私だけが強ばった表情を浮かべている。
「瀬奈。どうした?」
「えっ」
「帰ってきてからずっと険しそうな顔してるぞ」
そんなつもりは全くなかったけど、やっぱりお父さんはさすがだ。
会ってなくても何かを感じとってくれている。
「話したいことがあったの」
「うん、聞くよ」
「⋯美玲のことなんだけど」
妹の名前を出した途端、一瞬お父さんの眉がピクっと動いたのを見逃さなかった。
お父さんにとっても私にとっても、辛い過去を甦らせるには十分な言葉だ。
夏樹も私たちの空気が変わったことを感じとったのか、黙り込み様子を伺っているようだった。
きっとお父さんも私が何を考えているのかなんとなくは想像ついているんだろう。
「今ね私は彼と住んでるんだけど、その家のポストに盗撮された写真が入ってたの。どうやら美玲がやったことみたいで、それに彼女は私を恨んでる」
「⋯⋯」
「私が幸せになることを。私がお父さんに育てられて不自由なく過ごしていることを。自分と比較して、妬んで恨んでる」
「⋯⋯それは父さんのせいかもしれないな」
持っていた箸を起き深くため息をついたお父さん。
お父さんのせい、とはどういうことだろう。
「父さんが向き合わなかったからかもしれない。母さんが不倫して妊娠した後、完全に関わることを辞めてしまったから」
「でもそれは⋯⋯」
「子供は関係ないのに、関係を完全に断ち切ろうとした。それが今、瀬奈にふりかかってしまっているのかもしれない」
お父さんが悪いなんて思わなかった。
母が不倫したのは"つまらなかったから"という理由だとお父さんから聞いたことがある。
つまらなかった、というのがどういう意味を指しているのかは私にも分からない。
だけど父の愛は本物で母も私のことも愛してくれていた。
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