揚げ物、お好きですか?リメイク版

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隻眼のワイバーン(イリア回想)

隻眼のワイバーン1

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 「女王様!ご報告です!!」
 何時もと変わらない。静かな王宮に、慌てた騎士団員の声が響く。
 「何事じゃ?」
 これも何時もと変わらず、圧倒的な美貌を振りまき、女王様は騎士団員に尋ねた。
 「はっ!アメニ村が謎の疫病に冒されている。との連絡がありました。」
 「疫病とな?」
 「はっ!!」
 「して、その容態は?病状はどうなっておる?」 
 「はっ!病の類より、毒に似た症状という事と、死者も出ている様子であります。」
 女王様は、何重にもなった美しい顎を触りながら、思考なされる。
 「ふむ。ただの疫病ではないな。もしや、『神々の気まぐれ』やもしれぬ。イリアよ。頼まれてくれるか?」
 女王様は、横に居る私に指示を出した。
 「はっ。かしこまりました。騎士団長、弓術隊総隊長、救護班長に伝令を!」
 「はっ!!!」
 騎士団員は、急いで王室を出た。

 数十分後。
 作戦会議室に、騎士団長、弓術隊総隊長、救護班長が到着する。
 騎士団長 ハセン・エルミナンド
 弓術隊総隊長 エリアス・クロムウェル
 救護班長 エターナ・ミリアリア
 彼らは、私の友人でもある。
 「申し訳ありません。皆さん。緊急に集まって頂き。」
 私は皆に頭を下げる。
 「謝る必要はないよ。イリア。僕達に緊急招集って事は、かなりヤバい状態なんだろ?」
 騎士団長のハセンが、「気にするな」と言わんように手で制す。
 「はい。アメニ村が謎の疫病に襲われているという情報が入りました。症状は、病より毒に似た症状。既に、死者も出ている様子です。」
 「ただの疫病じゃないのか?」
 弓術隊総隊長のエリが言う。
 「はい。女王様が仰るには『神々の気まぐれ』の可能性がある。との事です。」
 「『神々の気まぐれ』か……。」
 救護班長のエターナは、それを聞いて、何かを考え始めていた。
 「私の魔術師隊、数名に現地調査に行かせました。間もなく、連絡が入ると思います。」
 「流石、早いね。」
 ハセンは、そう言い、通信水晶に目をやる。
 アメニ村は、エルヘイム女王国の北部に位置する小さな村。カルバニア王国との国境付近にある、ビタッチ村、メタポス村と北からの往来する民の宿場町になっている。
 距離はかなり離れているが、魔法『ゲート』を使えば一瞬で行ける。この国の宝具には、魔法と同じ名の『ゲート』言う、異世界と繋がるアイテムがあるらしいが、私は見たこともなかった。
 おっと。余談になってしまったわ。
 私も通信水晶に目をやる。
 「イリア様。アメニ村に着きました。」
 早速、部下から連絡が入った。
 「お疲れ様です。早速ですが、村に入って状況を確認してください。村に入り次第、疫病にかかった者の治癒もお願いします。毒に似た症状という事なので、まずは、解毒魔法や毒消しを使って下さい。そのあと、治癒魔法、治癒ポーション、回復魔法、回復ポーションの使用をお願いします。その際は、連絡をよろしくお願いします。それと、異変を感じたら、直ぐに連絡してください。些細な事で構いませんので。」
 「かしこまりました。」
 通信は一端、途切れる。
 ……これまで、経験してきた疫病なら、治癒魔法で治るはず。
 しかし、新種の疫病ならば……サンプルを持ち帰り、早急に解明し、新ポーション、新魔法を組み上げなくてはならない……。いや、我々が感染した場合を考えると、その場で解明、解析しなければならない。そう考えておかないといけないでしょう。
 そして、最悪の場合。疫病の蔓延を防ぐ為、村を焼き払わなければならない事態になる。村人ごと……。それだけは、避けたい。
 
 それから、一時間、何の連絡もない。
 おかしい。一時間もあれば、村人に話くらいは聞けているはず。それだけ、順調にいっているのか?
 いや、そんなはずはない。女王様がおっしゃったのだ『神々の気まぐれ』かもしれないと。
 「イリア。これは、確実におかしいわ。嫌な感じがする。何かあったと思った方がいい。私達、救護班が向かった方がいいわよ。もう、解析する器具の準備も終わっているはずだし。」
 そう、エターナが言う。
 「そうだな。エターナの言う通り。オレも弓術隊を数隊連れて一緒に出るよ。救護班だけじゃ、『もし』という事態に対処できねぇ。騎士団と魔術師隊も何時でも出れるようにしておいてくれ。」
 エリもエターナの意見に賛同する。
 『神々の気まぐれ』を何度も経験している二人がそう言う。私も嫌な感じしかない。
 「分かりました。二人ともお願いします。ハセン。私達も何時でも出れるように準備をしましょう。」
 「ああ。分かった。」
 私達はそれぞれ準備に取りかかった。

 
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