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隻眼のワイバーン(イリア回想)

隻眼のワイバーン3

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 「直接、ワイバーンの毒霧を食らうな!隙を見て、矢を放て!!」
 エリの指示が弓術隊にとぶ。
 「救護班!ワイバーンの毒霧には、治癒系、解毒系の魔法、アイテムは効きません!!回復魔法、回復ポーションを使って、救護にあたって下さい!!」
 これと言って、治療法もなく、一番歯がゆい思いをしているであろう、エターナが救護班に指示を出す。
 「騎士団は、このまま待機。これで良いかい?イリア?」
 「はい。ありがとうございます。本来なら、村人を救出したいのですが、状況が状況。むやみやたらと救出に行って、感染者を増やす訳にはいきません。」
 私はハセンにそう言う。
 実際のところは分からない。疫病又は毒は、感染者からも感染する。
 それが接触して感染。または空気感染だった場合……。
 いや、もうこの状況から垣間見えるように、これは、空気感染でも感染する。そう断定してもいいでしょう。
 空気感染をするのだから、もう……既に私達も感染していると思って行動した方がいいのかもしれない。
 しかし、現状では解決する手段がない。解毒魔法や治癒魔法などの効果のない状況では……。
 考えている時間も無い。そんな状況下の中で、最も助かる確率の多い選択をしなければならない。
 最も有力な対処法。それは『神々の気まぐれ』で作られたであろう、あのワイバーンを倒す事。
 『神々の気まぐれ』では良くあることなのだ。元凶となるモンスターを倒すと、自体が急速に収まる事が。なので、あの『隻眼のワイバーン』を討伐する事に集中する。
 「第一、第二魔術師隊、弓術隊がワイバーンの気を引きつけているうちに、ワイバーンの左翼を狙って下さい。どのような状態か分かりませんが、ワイバーンは左目が潰れている。視界が狭いはずですので。左翼を中心に、周りの毒素も焼滅させれる事を考えて、炎系の魔法を使って下さい。第三、第四魔術師隊は騎士団に炎の魔法障壁を付与をお願いします。」
 あの魔術師隊員の彼が言う通りならば、私が思うにウイルス性。
 ウイルスなら、凍らせてもいいだろうけど、飛散を防ぐ為には炎で焼き払った方が手っ取り早い。
 いや、炎に賭けるしかないという状況。
 熱や冷気に耐性があるなら、現状、最早、お手上げ状態になってしまう。
 それに、氷魔法と火魔法は相性も悪い。魔法同士がぶつかれば、最悪、水蒸気爆発を起こしてしまうおそれもある。疫病以上に被害が出る可能性だってある。それならば、やはり炎だ。
 そして、まずは、あのワイバーンを地上へと落とす!落とした後、騎士団に総攻撃をかけてもらう。武器による攻撃が効けば、かなり優位に戦えるはず。
 近接戦闘は、毒に冒される危険が最も高い。本来なら、耐毒障壁なのだけれど……解毒方の分からない現状では、耐毒魔法障壁はあまり役に立たない。それなら、炎の魔法障壁で防ぐべき。
 魔術師隊は一斉に、炎系の魔法を唱え放つ。
 翼に魔法の集中攻撃を食らい、狙い通り、ワイバーンは地上へ落ちる。
 良かった。魔法は効くようだ。
 「騎士団、突撃!直接、皮膚に触れるな!!皮膚にも毒を持っている可能性がある。」
 ハセンは騎士団に指示を出す。
 これで、終わってくれればいいのですが……。
 騎士団は、剣や槍でワイバーンを攻撃する。しかし……。
 剣や槍の攻撃はことごとく弾かれる。
 外殻はかなりの強度を誇っていた。
 そうこうしていると、ワイバーンは立ち上がり、その長い尻尾で騎士団を凪払い、翼を再生させ、また空へと飛ぶ。
 「ちっ!自己再生まで持ってやがるのか!!」
 エリは恨めしそうに叫ぶ。
 やはりと言うべきか……一筋縄ではいかない。『神々の気まぐれ』。並みのモンスターとは桁違いだ。
 再び、空へと戻ったワイバーン。今度は、毒霧ではなく、違うブレスを吐いた。
 それに触れた、騎士団達の悲鳴が上がる。
 鋼の剣や鎧が溶けて、皮膚を浸食していた。
 なに!?どういう事!!鋼を溶かすなんて!!酸?!
 これは、いけない!!
 「弓術隊!負傷した騎士団員を回収!!急げ!!!」
 私と同じ考えに至ったのだろう。エリが弓術隊に命令を出す。
 弓術隊は速やかに騎士団員達を連れ、避難する。
 「容態は?!」
 「酷いけど……これは、毒ではないわね!!毒でなければ、回復魔法で治るはずよ!!」
 エターナは、騎士団員に回復魔法をかける。
 傷はみるみる塞がっていった。
 ……良かった。しかし、安心は出来ない。次にあのブレスを吐かれたら……。いや、あのブレス以外にも何かあるかもしれない。早期に決着をつけねば!
 「エリ!援護をお願いできますか!!」
 「了解!!」
 「第一魔術師隊は、私の援護をお願いします。他の隊は、騎士団の治療にあたって下さい。」
 私はエリと第一魔術師隊を連れて、最前線へと出た。
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