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本当の出会いは……
本当の出会いは……7
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「ほら、ヤマト見て。これが、『ファイアーボール』だよ。」
小さな少女は、その小さな体に不釣り合いな大きさの杖を持ち、小さな炎の玉を放ち、誇らしげに俺に向かって言う。
ああ。それは知っている。ここ半年で、よく見るようになった魔法というやつだ。
「わわ!本当に、火の玉が出るだ!!・・・・・って本当に凄いね!!」
俺の意識とは別に『俺』は、その炎の玉を見て、言う。
「えへへへへ。そう?やっぱり、私って凄い?凄い??」
そうか、これは夢だ。それに気がつくのに、そう時間は掛からなかった。
それにしても、この幼い少女は誰だ?どこかで見掛けた気がするのだけど……。
「僕にも出来るかな?」
「ふふふ。どうだろ~。でも、ヤマトならきっと出来るよ!」
夢の中の『俺』は『僕』と言う。
これは、幼い頃の俺の夢……というところだろうか?それとも、幼児化した夢?
俺は幼い少女にそう言われ、大きな杖を受け取り、立派に構える。
「『××××××××××……』あれ?続きはなんだったけ?」
自分が言った、肝心な名前や詠唱文にはモヤがかかったように、上手く聞き取れない。
「あははは。ちゃんと覚えないと、魔法を使うなんて出来ないよ?仕方ないなぁ~。いい?もう一度、教えるよ。」
幼い少女は『俺』の横に並び、口では仕方ないと言いながら、その顔は嬉しそうに笑っていた。
その笑顔を見て、俺はなぜか懐かしい気持ちになる。
あれ?俺……この光景を見た事がある?
そう思った時、意識は、白みがかる。
ゆっくりと開いていく、まぶた。
何時もより眩しく見える朝日と鳥達の鳴く声が、やたらと騒がしく感じる。
そして、意識が覚醒すると共に、頭に強烈な痛みが走った。
あたたたた!頭いてぇ~~。
あまりの痛さに布団から半身を起こした。
あっ!そうだった!!俺、イリアの実家に来てるんだった。
しかも、飲み過ぎて二日酔いだ!!
ぬぉ~~!!頭がガンガンする!!
一気に、今の状態が思い出される。
瞳の色なんかの話を聞いてたら、すげぇ飲んだんだった!!
ぬぉ~~~~~~!!
頭を抱えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえ、静かにドアが開き、その隙間から、イリア顔だけが、ちょこっと出て来た。
「ヤマト様~。おはようございます。もうそろそろ、朝食を食べて、新種の作物の調査に向かわないといけませんよ~。大丈夫ですか?」
あいつ、昨日、レイボー出してたのに、ケロッとしてやがる。何で、そんなに平気なんだ?
「いや、大丈夫じゃない。すまないが、水を一杯もらえないか??」
「はい。分かりました。少々、お待ち下さい。」
正直に俺は大丈夫じゃない事を伝え、イリアはそう言って、水を取りに行ってくれた。
痛む頭を抱えながら、今、俺達は、イリアの実家からさほど離れていない森へやって来ている。
お目当てはそう、新種の作物。
昨日、あれだけ飲んだのに、ターニャさんとイリアのお父さんは二日酔いになっていないようだ。ピンピンして、軽快に歩いている。
一方の俺は……。一歩進む度に、頭に響く。みんなについて行くことが出来ない。なので俺は後方。心配して、エリが俺の隣を警戒しながら歩いてくれていた。
「主様。野生のモンスターは臆病とはいえ、襲って来ない訳ではありません。わたくしから、離れないようにして下さい。」
何度も同じ事をエリ。やはり、この子はとても優しい子だ。二日酔いで、注意力もない俺には、とてもありがたい。
「お~い。ヤマト様~!!エリ~!!ありましたよ。新種の作物~。」
少し先を歩いていたイリアは、俺達に向かって、大きく手を振り、新種の作物が見つかった事を教えてくれた。
そして、イリア達から少し遅れ、新種の作物の所へ到着した。
あら?あらあらあら?!
予想以上にかなりの量が実ってらしゃるわ。しかも、想像とは違って高々と……。
あれは、花かな?白くて何とも言えない形をしている。松ぼっくりに似てるのかな?あっ!いや……ホップだ。ビールに使うホップに似ているんだ。
「これだよ。ヤマト君。新種の作物。ハーブの一種なんだろうけど、焼いて食べると、とても苦いんだ。けどな、村の一部のやつらには大人気なんだよ。」
「なんでしょうね?とても不思議な形をしていますし……。」
「……うん。なんか、かわいい。」
イリアのお父さんの言葉のあと、イリアとララは、それぞれ作物を手に取り、思い思いに言う。
俺も一つ手にとってみる。
あっ。これ、やっぱりホップの一種なんじゃ?『球花(きゅうか)』『毬花(まりはな)』とか言われてるやつじゃないの?
それなら、天ぷらにして食べてるの見たことあるな。俺は食べた事ないんだけど、苦味がクセになるとかならないとか……。焼いて食べられるんだから、揚げても問題ないはず……。もしかしたら、エラールテことビールに使えるんじゃ?
俺達は、少し収穫してイリアの実家へと戻った。
小さな少女は、その小さな体に不釣り合いな大きさの杖を持ち、小さな炎の玉を放ち、誇らしげに俺に向かって言う。
ああ。それは知っている。ここ半年で、よく見るようになった魔法というやつだ。
「わわ!本当に、火の玉が出るだ!!・・・・・って本当に凄いね!!」
俺の意識とは別に『俺』は、その炎の玉を見て、言う。
「えへへへへ。そう?やっぱり、私って凄い?凄い??」
そうか、これは夢だ。それに気がつくのに、そう時間は掛からなかった。
それにしても、この幼い少女は誰だ?どこかで見掛けた気がするのだけど……。
「僕にも出来るかな?」
「ふふふ。どうだろ~。でも、ヤマトならきっと出来るよ!」
夢の中の『俺』は『僕』と言う。
これは、幼い頃の俺の夢……というところだろうか?それとも、幼児化した夢?
俺は幼い少女にそう言われ、大きな杖を受け取り、立派に構える。
「『××××××××××……』あれ?続きはなんだったけ?」
自分が言った、肝心な名前や詠唱文にはモヤがかかったように、上手く聞き取れない。
「あははは。ちゃんと覚えないと、魔法を使うなんて出来ないよ?仕方ないなぁ~。いい?もう一度、教えるよ。」
幼い少女は『俺』の横に並び、口では仕方ないと言いながら、その顔は嬉しそうに笑っていた。
その笑顔を見て、俺はなぜか懐かしい気持ちになる。
あれ?俺……この光景を見た事がある?
そう思った時、意識は、白みがかる。
ゆっくりと開いていく、まぶた。
何時もより眩しく見える朝日と鳥達の鳴く声が、やたらと騒がしく感じる。
そして、意識が覚醒すると共に、頭に強烈な痛みが走った。
あたたたた!頭いてぇ~~。
あまりの痛さに布団から半身を起こした。
あっ!そうだった!!俺、イリアの実家に来てるんだった。
しかも、飲み過ぎて二日酔いだ!!
ぬぉ~~!!頭がガンガンする!!
一気に、今の状態が思い出される。
瞳の色なんかの話を聞いてたら、すげぇ飲んだんだった!!
ぬぉ~~~~~~!!
頭を抱えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえ、静かにドアが開き、その隙間から、イリア顔だけが、ちょこっと出て来た。
「ヤマト様~。おはようございます。もうそろそろ、朝食を食べて、新種の作物の調査に向かわないといけませんよ~。大丈夫ですか?」
あいつ、昨日、レイボー出してたのに、ケロッとしてやがる。何で、そんなに平気なんだ?
「いや、大丈夫じゃない。すまないが、水を一杯もらえないか??」
「はい。分かりました。少々、お待ち下さい。」
正直に俺は大丈夫じゃない事を伝え、イリアはそう言って、水を取りに行ってくれた。
痛む頭を抱えながら、今、俺達は、イリアの実家からさほど離れていない森へやって来ている。
お目当てはそう、新種の作物。
昨日、あれだけ飲んだのに、ターニャさんとイリアのお父さんは二日酔いになっていないようだ。ピンピンして、軽快に歩いている。
一方の俺は……。一歩進む度に、頭に響く。みんなについて行くことが出来ない。なので俺は後方。心配して、エリが俺の隣を警戒しながら歩いてくれていた。
「主様。野生のモンスターは臆病とはいえ、襲って来ない訳ではありません。わたくしから、離れないようにして下さい。」
何度も同じ事をエリ。やはり、この子はとても優しい子だ。二日酔いで、注意力もない俺には、とてもありがたい。
「お~い。ヤマト様~!!エリ~!!ありましたよ。新種の作物~。」
少し先を歩いていたイリアは、俺達に向かって、大きく手を振り、新種の作物が見つかった事を教えてくれた。
そして、イリア達から少し遅れ、新種の作物の所へ到着した。
あら?あらあらあら?!
予想以上にかなりの量が実ってらしゃるわ。しかも、想像とは違って高々と……。
あれは、花かな?白くて何とも言えない形をしている。松ぼっくりに似てるのかな?あっ!いや……ホップだ。ビールに使うホップに似ているんだ。
「これだよ。ヤマト君。新種の作物。ハーブの一種なんだろうけど、焼いて食べると、とても苦いんだ。けどな、村の一部のやつらには大人気なんだよ。」
「なんでしょうね?とても不思議な形をしていますし……。」
「……うん。なんか、かわいい。」
イリアのお父さんの言葉のあと、イリアとララは、それぞれ作物を手に取り、思い思いに言う。
俺も一つ手にとってみる。
あっ。これ、やっぱりホップの一種なんじゃ?『球花(きゅうか)』『毬花(まりはな)』とか言われてるやつじゃないの?
それなら、天ぷらにして食べてるの見たことあるな。俺は食べた事ないんだけど、苦味がクセになるとかならないとか……。焼いて食べられるんだから、揚げても問題ないはず……。もしかしたら、エラールテことビールに使えるんじゃ?
俺達は、少し収穫してイリアの実家へと戻った。
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